Far East Tea Company 編集チーム 約 5 分
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玉露は50〜60度の低温で90秒から2分。この温度帯が玉露らしい味を決める。低温ではテアニン(旨味の主役)がよく溶け出し、カテキン(渋味の原因)は溶けにくい。結果として、渋味がほとんどなく、深い旨味と甘味だけが口に広がる。70度を超えるとカテキンも溶け始め、バランスが崩れる。

なぜ玉露は低温で淹れるのか

玉露は50〜60度で淹れると、旨味成分のテアニンを引き出しながら、渋味成分のカテキンを抑えやすい。被覆栽培で蓄えた甘味を壊さず、玉露らしい濃い旨味をもっとも感じやすい温度帯だからだ。

テアニンとカテキンの溶出温度の違い

茶葉の成分のうち、旨味を担うテアニン(L-テアニン)は低温でよく溶ける水溶性のアミノ酸だ。一方、渋味の原因となるカテキンは、温度が高いほど溶出量が増える。つまり、温度を低く保つことで「旨味を引き出しながら渋味を抑える」という選択的な抽出が可能になる。

緑茶の入れ方に関する詳細はお茶と温度の関係でも解説している。煎茶との温度の違いを比較してみると、玉露の低温抽出の意味がよくわかる。

被覆栽培と玉露の成分バランス

玉露は収穫前の20日以上、遮光ネットや葦簾(よしず)で覆われて育つ。日光を遮ることで、茶葉は光合成を補うためにテアニンをクロロフィルに変換せず、テアニンをより多く蓄積する。結果として、テアニン濃度が非常に高くなる。被覆栽培の詳しい仕組みはリンク先で確認してほしい。

温度帯 テアニン溶出 カテキン溶出 味わいの変化
50°C よく溶ける 渋味成分(ガレート型)が少ない 旨味が突出、渋味が出にくい
60°C よく溶ける やや溶ける 旨味強め、ほのかな渋味
70°C よく溶ける 増える 旨味と渋味のバランス
80°C以上 溶ける 多く出る 渋味が前面に出る

基本の淹れ方(ステップごと)

玉露は1人3g、湯量30〜50mL、湯温50〜60度、抽出90秒〜2分が基本だ。少量の湯で低温抽出すると、旨味が濃く、渋味を抑えた玉露らしい一杯になり、二煎目以降の変化も追いやすい。

ステップ1 — お湯を冷ます(湯冷まし)。沸騰したお湯を湯冷まし(または別の器)に注ぎ、2〜3分置く。55度前後が理想。温度計があれば正確に計れる。なければ、手で器の外側を触ってみてほんのり温かい程度が目安だ。

ヒント: 淹れたお茶に辛味や渋味を感じるなら、お湯が高すぎた証拠だ。次回はもう少し冷ましてから注いでみてほしい。

ステップ2 — 急須に茶葉を入れる。1人分3gが基本。茶葉は繊細なので、計量スプーンで丁寧に扱う。急須を冷ましておくと温度が安定する。

ステップ3 — お湯を注ぎ、待つ。冷ましたお湯をゆっくり注ぐ。蓋をして90秒から2分待つ。茶葉が少しずつ開き、水色は鮮やかな黄緑色になる。蓋を取った瞬間に立ち上る香り — 磯の香り、青草、甘さ — これが玉露の「覆い香(おおいか)」だ。

ステップ4 — 全部注ぎ切る。複数の湯のみに均等に少しずつ回しながら注ぐ。急須を最後まで傾け、最後の一滴まで出し切ること。最後の数滴が最も旨味が濃い。茶葉をお湯に浸したままにしてはいけない。

ステップ5 — 二煎目・三煎目も楽しむ。茶葉はすでに開いているので、二煎目は60〜70度で30〜60秒。三煎目は70〜80度で30秒。一煎目は旨味が主役、二煎目は少しさっぱりした緑の風味、三煎目は軽やかで草のような味わい。それぞれ別のお茶のように感じられる。

茶葉の量と水の量 — 比率の目安

玉露は「茶葉多め・湯量少なめ」が基本で、1人分なら茶葉3gに対して30〜50mLが目安だ。煎茶より濃い比率にすることで、低温でも旨味がしっかり出て、小さな湯のみで飲む玉露らしい濃度になる。

人数 茶葉 水の量 1杯の量
1人 3g 30〜50mL 30〜50mL
2人 5g 60〜80mL 30〜40mL
3人 7〜8g 90〜120mL 30〜40mL

急須の選び方については急須ガイドで詳しく解説している。玉露には横手型の急須より、宝瓶のような取っ手のない小ぶりな茶器が向く。低温で淹れるため、取っ手がなくても熱くならないためだ。

玉露を楽しむ3つのスタイル

玉露は正統派の少量抽出、氷出し、飲み終えた茶葉を食べる方法まで、3つの楽しみ方がある。どのスタイルでも共通するのは、低温で引き出した旨味を主役にし、時間をかけて変化を味わうことだ。

正統派 — 小さな湯のみで濃厚に

一口分のお茶を、小さな陶器の湯のみでゆっくり味わう。口の中で旨味がじわりと広がり、後から甘味が来る。この一杯のために、ほぼ料理と同じ手間をかける。それが玉露の流儀だ。

氷出し — 真夏の贅沢

急須または容器に茶葉3〜5gと氷30〜50gを入れ、常温で30〜60分待つ。氷が溶ける過程でゆっくりと抽出される。温度が非常に低いため、テアニンだけが溶け出す。旨味が純粋に凝縮された、余韻の長い一杯になる。夏の午後にぜひ試してほしい。

茶葉を食べる — 最後の楽しみ

三煎終えた後、茶葉は柔らかく戻っている。ポン酢や醤油をかけると、草の香りとほのかな旨味のある一品になる。高品質な被覆栽培の茶葉は、捨てるには惜しい。すすり茶の記事でも同様の楽しみ方を紹介している。

玉露と煎茶の違いについては煎茶の入れ方と比べてみると対比がよくわかる。テアニンの詳しい働きはテアニンの記事で、被覆栽培の詳細は被覆栽培の記事を参照してほしい。

玉露は「時間をかけること」そのものが味になるお茶だ。お湯を冷ます時間、茶葉が開く時間、最後の一滴を待つ時間。急がないことが、一番の調味料かもしれない。

玉露の品種特性や産地・文化については、玉露とはで詳しく解説しています。

玉露に合う急須をお探しなら、急須・茶器コレクションをご覧ください。

タグ: 淹れ方

よくある質問

玉露はなぜ50〜60度で淹れるのが基本なのですか?

50〜60度では旨味の主役であるテアニンが出やすく、渋味の原因となるカテキンは抑えやすいです。70度を超えると渋味が前に出て、玉露らしい甘味が弱まります。

玉露の茶葉と湯量の目安はどのくらいですか?

基本は1人分で茶葉3g、湯量30〜50mLです。少量の湯で濃く出すため、小ぶりの宝瓶や急須を使うと比率を保ちやすく、最後の一滴まで注ぎ切れます。

玉露が渋くなったときは何を直せばいいですか?

辛味や渋味が出たら、湯温が高すぎた可能性があります。次回は湯冷ましを長めにし、55度前後を起点にしてください。好みには個人差ありです。

二煎目と三煎目はどう淹れるとよいですか?

二煎目は茶葉が開いているため、60〜70度で30〜60秒が目安です。三煎目は70〜80度で30秒ほどにすると、軽やかで草のような風味が出ます。

淹れ終わった玉露の茶葉は食べられますか?

三煎後の茶葉は柔らかく戻っているので食べられます。ポン酢や醤油を少しかけると、青草の香りとほのかな甘味がある小さな一品になります。