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お茶に詳しくなくても「玉露」と聞いて高級なイメージが湧く人は多いのではないのでしょうか。

お茶の中でも「お茶の王様」とも呼ばれる最高級のお茶、玉露についてご紹介します。

玉露って?

玉露とは最高品質の煎茶のことです。

製造方法は通常の煎茶と同じですが、栽培方法が異なります。摘み取り前の20日前後を日光を遮断して栽培することで、旨味をたっぷりと蓄えさせるのが、玉露の特徴の一つです。

日本の茶葉全体の年間生産量が86,300トンに対し、玉露の生産は240トン程度。400分の1程度の生産量しかありません。特に最上級品となれば年に一度しか摘採されないものもあり、大変希少なお茶として扱われています。

玉露の歴史

玉露はそもそも「高級な煎茶」を開発しよう研究された上で誕生したお茶なのです。

1835年に有名な茶商「山本山」の6代目山本嘉兵衛が煎茶に被覆栽培を行ったことから誕生しました。

そこからは諸説ありますが、新芽が「甘露の味がする」と評価されたことから「玉露」と名がついたともいわれています。

玉露の特徴

手間ひまをかけて作られた玉露は味もその価格も抜きん出ています。

一番茶の手摘みなど、最高級のものだと煎茶の20倍ほどの価格がつくことも。

被覆栽培という特殊な栽培方法により生まれた茶葉は、深く濃い美しい緑色の水色、濃厚な甘味・旨味とコクがあるまろやかな味わい、覆い香と呼ばれる独特な香りを持ち、飲んだ人を感動させるほどです。

玉露の成分の特徴

煎茶に含まれるビタミンやカリウム、カフェインタンニン(カテキン)はもちろんのこと、玉露にはアミノ酸の一種であるテアニンが豊富に含まれています。

テアニンは旨味のもととなるだけでなく、神経機能や精神に働きかける作用があるため、リラックス効果や睡眠改善効果、さらには認知症予防などの幅広い効果が期待されています。

逆に、太陽光を浴びることで作られるカテキンがほとんど含まれていないので苦味が少ないお茶でもあります。

玉露の製造工程の特徴

玉露の製造工程は煎茶と同じですが、栽培方法が異なります。

玉露は摘み取りの3週間前からの約20日間は太陽光を遮る被覆栽培を行います。

お茶の葉は日光を浴びることで渋味が増すので、それを防ぎ、さらに旨味をたっぷり蓄えさせるのが目的です。

摘採も基本的には手摘みで行うので、玉露の栽培はほかのお茶と比べて手間と時間がかかります。

玉露の産地

玉露は全国各地で作られていますが、特に有名なのが京都府の宇治と福岡県の八女です。

京都府の宇治

玉露と抹茶の原料となる碾茶の生産量が日本一の京都

中でもお茶の有名な産地である宇治は、お茶を求めて国内だけではなく海外からも多くの人が訪れます。

玉露独自の栽培方法「被覆栽培」はここ宇治で開発されたといわれており、宇治には多くの玉露ブランドがあります。

「宇治の玉露」はまさに高級の代名詞。手間と時間をかけ、手摘みした一番茶を使った玉露は世界が認める最上品質のお茶です。

福岡県の八女

福岡県の玉露の生産量は、京都府に次いで日本二位です。

福岡県が玉露を作り始めたのは明治12年。

八女は霧が発生しやすい土地で、霧が太陽光を適度に遮ることでアミノ酸を豊富に含む茶葉が育ち、昔から「天然の玉露」として重宝されてきました。

そんな八女の玉露は日本トップクラスの品質をもち、全国茶品評会で過去に10年連続農林水産量を受賞したり、玉露の部で1位〜26位までの全てを独占するなど、常に高い評価を得ています。

玉露の飲み方

煎茶を淹れる最適な温度は80度前後ですが、玉露の場合は60度前後。煎茶と同様、低温で抽出することで旨味だけを楽しむことができます。

また高級玉露は、少しだけ口に含み、味や香りをゆっくり楽しむという嗜むような飲み方をします。


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2023年, 1月 08日