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発酵したお茶にはいくつか種類がありますが、その中でも特に一般的に馴染みが薄いのが「後発酵茶」です。

この記事ではちょっと変わった「後発酵茶」をご紹介します。

後発酵茶って?

後発酵茶の有名なお茶といえばプアール茶ですが、その定義は茶葉に含まれる酵素で発酵させるのではなく、乳酸菌などの微生物によって発酵させたお茶です。

後発酵茶は世界的に見ても珍しいお茶なのですが、日本では「碁石茶(ごいしちゃ)」「阿波番茶(あわばんちゃ)」「バタバタ茶」「石鎚黒茶(いしずちくろちゃ)」の4種類の後発酵茶が作られています。

後発酵茶の味・香り・色

後発酵茶には、お茶では珍しく酸味があります。 ただし、お茶の種類によって味・香り・色は大きく変わり様々です。

例えばプアール茶だと烏龍茶をより香ばしくしたような味で色も茶色ですが、碁石茶は酸味苦味があります。また阿波番茶だとふわっと酸味を感じる味わいで色も黄色です。

後発酵茶の製造工程

後発酵茶の製法は大きく分けて「カビだけの発酵」「乳酸菌だけの発酵」「カビと乳酸菌の発酵」の3種類です。

さらに製造工程はお茶によって少しずつ異なるので、後発酵茶で最もメジャーなプアール茶の製造工程を例にします。

摘まれた茶葉は、まず加熱して酸化を止めます。次に茶葉を揉みほぐして乾燥させます。

その後、蒸して乾燥させ、乾燥したら微生物発酵をします。最後にまた乾燥させて完成です。

後発酵茶は作業がとても多いのが特徴です。

不発酵茶の種類

有名な不発酵茶、そして国内で生産されている不発酵茶をご紹介します。

プアール茶

原産地は中国雲南省で、麹菌を使って作られたお茶です。

プアール茶の歴史は古く、2000年以上前から作られており、初めて歴史書に出てきたのは唐の時代だとか。

色は烏龍茶に近く、それに加えてほんのり土のような香りがするのと、苦味があるので苦手な人もいますが、1度飲むとクセになる人が多いのがプアール茶の特徴です。

健康に良いとされているので、日本でもエステサロンや岩盤浴場などで出されることがあります。

ミヤン

乳酸菌で発酵させて作るタイ北部の伝統的なお茶です。

ミヤンは「食べるお茶」と呼ばれており、その名の通り、飲むのではなく食べます。

ミヤンの木から摘み取った茶葉を加熱し、壺に入れてなんと3ヶ月から1年間かけて発酵します。

味は酸味がと苦味が強く、基本的には発酵した茶葉をそのまま口に入れて噛んで楽しみますが、生姜などの薬味と一緒に食べることもあるそうです。

最近では北部でも都会の方では食べる人が減少しており、存在自体を知らない人も多いそうです。

碁石茶

高知県大豊町で作られてるお茶で、400年以上の歴史を持ちます。

かつては特産物として生産されており、当時貴重だった塩と物々交換に使われるような高級品でした。

碁石茶は摘採した茶葉を失活させた後にカビをつけて発酵させ、さらにその後乳酸菌で再度発酵させて作るお茶です。乳酸菌が多く含まれているので便秘改善効果などが期待されおり、健康思考の人から特に注目されています。後発酵茶の中では酸味が少なく、赤ワインに似た味がします。

阿波番茶

徳島県那賀郡や勝浦郡で作られています。

阿波番茶の歴史は古く、空海が日本にお茶の文化を持ち帰った際に伝えたのが起源とされています。茶葉が柔らかいと製造段階で溶けてしまうので、一番茶を摘まずに夏まで成長させて、あえて硬くなった茶葉を使うのが特徴。乳酸菌の発酵で作られており、味は酸味があるものの、カテキンやカフェインが少ないので苦味がなくすっきりしています。

バタバタ茶

カビの発酵で作るお茶で、富山県下新川郡朝日町という限られた地域で生産されています。バタバタ茶は、淹れたお茶を泡立てて飲むのが特徴。泡立てる時に茶筅をバタバタと振ることからバタバタ茶と呼ばれるようになったとか。

どくだみ茶のようなクセのある味ですが、泡立てることでまろやかな味わいになります。飲

む時に少し塩を入れるのが通の飲み方だそうです。

石鎚黒茶

愛媛県西条市で生産されている、カビと乳酸菌の発酵で作るお茶です。

一時は製造者が一軒だけになり、技術の継承が途切れそうになったことがあります。そこから復活し、さらには国の無形民俗文化財にも登録されたことから「幻のお茶」「奇跡のお茶」とも呼ばれています。ほのかに酸味があるもののクセが少なく、香りも爽やかで飲みやすいお茶です。

石鎚黒茶に含まれる高い栄養分が注目され、健康食材としても話題になっています。

2023年, 1月 08日