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お茶は摘採時期によって、一番茶(新茶)に始まり、二番茶・三番茶・秋冬番茶などの名称がつき、一般的には摘まれた時期が早いほど品質が高く美味しいお茶だといわれています。
緑茶と、烏龍茶や紅茶では摘採時期が異なりますが、ここでは緑茶の摘採時期と、それによって変わるお茶の味わいや特徴についてご紹介します。
*品種や環境によって味や時期は少しずつ異なるのであくまで代表的な味や時期をご説明します。
「新茶」ってどんなお茶?
「新茶」と「一番茶」は、呼び方が違うだけで同じお茶を指します。
立春から八十八夜の、5月の2日〜3日に摘まれるお茶で、最も品質が良く高値で取引されるのが新茶(一番茶)です。
新緑のようなフレッシュな香りと味を楽しむことができ、「飲むと1年間無病息災で過ごせる」といわれる縁起物なので、贈り物としても人気が高いお茶です。
「一番茶」「二番茶」って?
栽培地域や品種によって時期は前後しますが、主な摘採時期は年に4回です。
- 一番茶→4月下旬〜5月下旬
- 二番茶→6月中旬〜7月上旬
- 三番茶→7月下旬〜8月上旬
- 四番茶(秋冬番茶)→9月下旬〜10月上旬
一般的に、摘採時期は気温が高ければ高いほど早くなるため、日本で最も摘採が早いのは鹿児島県、最も摘採が遅いのは奈良県や静岡県の標高の高い地域となります。
上記の摘採時期は、静岡県の平均的な摘採時期を参考にしています。
番茶って?
番茶は「晩茶」とも書き、晩(おそ)い時期に摘んだ、古い葉や硬い葉で作られた下流茶のことを指します。
地域や生産者によって、二番茶以降を番茶と呼ぶ場合もありますし、三番茶以降をそう呼ぶ場合もあります。また、新芽が伸びすぎて硬くなった葉や、通常の摘採期から遅れて出てきて摘み残され次の摘採期に摘まれた葉、煎茶の仕上げ工程で葉が大きすぎて選別された葉、整枝のため刈り取った茎や葉なども番茶となるため、非常に意味合いの広い言葉です。
通常のお茶と同じように加工され、安価な茶葉として販売されたり、苦渋味をカバーするためにほうじ茶として販売されたり、ペットボトル茶などの各種原料茶となったりと、様々な用途があります。
一番茶の特徴
一番茶(新茶)は1年間で最も品質が良く、かつ最も高値で取引されるお茶です。
渋味の原因となる「カテキン」が少なく、甘味・旨味の要因となるアミノ酸「テアニン」が多く含まれているため、お茶の甘味・旨味を楽しむことができるお茶です。また、新緑のような爽やかな香りが楽しめるのも、一番茶の特徴の一つです。
一番茶が一番美味しいといわれる理由は、育成速度が関係しています。
二番茶・三番茶の場合は萌芽から1ヶ月前後で摘み取られますが、一番茶は前年の最後の摘採(秋整枝)から半年ほどかけて、たっぷりと栄養分を蓄えてながらゆっくりと成長します。その分旨みや香りが詰まっているのです。
ちなみに「一番茶」と「新茶」の使い分けですが、「一番茶」はこの記事のように二番茶や三番茶などほかの時期に摘み取られたお茶と区別するときに使い、「新茶」は今年初めて摘まれた「初もの・旬のもの」という意味で使われることが多いようです。
二番茶の特徴
二番茶の摘採は、一番茶の摘採から40日前後で行われます。
一番茶の摘採後に萌芽した芽を摘んで作られるのが二番茶で、日照時間が長い時期に生育するため、「カテキン」を多く含みます。そのため一番茶に比べて苦く感じる人もいますが、抗菌・生活習慣予防などに良いとされています。
二番茶は、通常のように加工され廉価な茶葉として販売される場合もありますし、ペットボトル茶の原料として買われる場合もあり、一番茶と比べると大きく値段は落ちますが、生産者の収入を支える大事なお茶なのです。
三番茶・四番茶・秋冬番茶の特徴
二番茶のさらに1ヶ月ほど後に摘採が行われるのが三番茶。そして更にその1ヶ月後に摘まれたお茶が秋冬番茶(四番茶)と呼ばれます。
一番茶・二番茶と比べると味も香りも栄養も著しく落ちるため、非常に安価で販売されるお茶です。「カテキン」の苦渋味をカバーするために、ほうじ茶に加工されたり、ペットボトル茶の原料や加工の原料茶として使われることが多いお茶です。
一般的に、摘採を行う度に茶樹はダメージを受けます。そのため、翌年の一番茶の品質向上のため二番茶以降を収穫しない生産者もいらっしゃいます。
また、三番茶や秋冬番茶(四番茶)は非常に安価なため、電気代や加工費のかかるお茶の製造は行わず、茶園の管理のために刈り落としのみを行う場合もあります。