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お茶の早生・晩生品種
一年中いつでも美味しく飲むことができるお茶。しかし、お茶は種類や栽培地域によって摘採時期(茶葉が摘み取られる時期)に違いがあることをご存知ですか?
この記事ではお茶の摘採時期についてご紹介します。
お茶の摘採時期はいつ?
一番茶の収穫は、早い地域だと3月下旬から、遅い地域では5月下旬まで行われます。ただしこの摘採時期は、品種・緯度・標高・日照時間などによって少しずつ変わります。農作物の中でもお茶の摘採時期は非常に短く、朝に摘採のタイミングを迎えたお茶は、その夜には固くなり始めてしまうんだとか。そのため、美味しいお茶を作るためには、非常に短い時間で摘み終えなければなりません。
生産者が複数の品種を栽培する目的の一つが、この摘採時期を長く確保するため。
仮にある生産者が栽培するお茶が全て同一の品種だった場合、短い摘採期間に作業が追いつかず、新芽が育ち過ぎて味が落ちたり、葉が固くなったりしてしまう恐れがあります。
複数の品種を栽培することで摘採のタイミングを少しずつずらし、摘採時期を長く確保して初めて、ベストな状態で全ての新芽を摘み取ることができるのです。
「早生」「晩生」って?
お茶には100種類以上の品種があり、品種によって摘採時期が変わるのですが、その中でも「早稲品種」と「晩生品種」があります。
早生(わせ)は摘採時期が比較的早いことで、これに分類される品種を「早生品種」といいます。
晩生(ばんせい・おくて)は早生と逆に摘採時期が比較的遅いことで、これに分類される品種を「晩生品種」といいます。
農家は、早生品種・中生品種(「やぶきた」など摘採の基準になる品種)・晩生品種を組み合わせて栽培することで摘採時期を10日前後にまで広げることができ、これによりすべての茶葉を一番良いタイミングで摘むことができるのです。
鹿児島には「早生」が多い?
温暖な気候を利用して3月下旬から摘採を始める鹿児島県のお茶は、市場に出回るのが日本一早い「走り新茶」として有名です。「走り新茶」は一年で最も早く売られるお茶ということもあり、通常のお茶よりも高い市場価格がつく傾向にあり、少しでも早く出荷を始めるために早生品種で作られることがほとんどです。
日本で二番目に多く作られている品種である「ゆたかみどり」は、代表的な早生品種の一つ。
実は、その大部分は鹿児島県で栽培されており、「ゆたかみどり」の他にも「さえみどり」や「あさつゆ」などの早生品種が多く栽培されています。「走り新茶」を少しでも早く、高値で取引するために、鹿児島では鹿児島では早生品種の栽培が盛んなのです。
代表的な早生品種
早生品種には、さやまかおり・つゆひかり・くりたわせなど数多くの品種がありますが、中でも代表的な品種といえばゆたかみどりとさえみどりです。
さやまかおり
やぶきたより0〜2日早生。濃厚な香りが特徴で、主に静岡県・埼玉県・三重県などで栽培されています。カテキンを多く含むため、比較的渋めの味わい。
つゆひかり
やぶきたより2日ほど早生。茶葉が明るい緑色で美しく、特に静岡は栽培に力を入れています。渋味の中に旨味と甘味が引き立つ爽やかな味わいが特徴。
くりたわせ
種子島などの暖かい地域で栽培されている品種で、早生の中でも特に摘採期が早い「極早生」と呼ばれる品種。キレのある苦味とフレッシュな甘みが特徴。
ゆたかみどり
繁殖力が強く収穫量も多いゆたかみどりは、日本で2番目に作付面積が大きい品種で寒さに弱いので特に鹿児島で多く栽培されています。独自の栽培方法と加工方法で苦味が少なくほどよい甘みとコクがある深い味わいを作り出しています。
さえみどり
育てやすく味のバランスが良い「やぶきた」と、甘みと旨みが強く天然玉露とも呼ばれている「あさつゆ」を掛け合わせた最高級品種。やぶきたの味のバランスの良さにあさつゆの甘みと旨味が加わり、上品で優雅な味わい。
代表的な晩生品種
晩生品種には、かなやみどり・はるみどり・おくひかりなどがありますが、代表的な品種はおくみどりとべにふうきです。
かなやみどり
やぶきたより4日晩生で、主に鹿児島県と静岡県で栽培されています。ミルクのような独特の甘いかおりが特徴的。
はるみどり
やぶきたより6日晩生で、かなやみどりから生まれた品種。煎茶としての品質が極めて高く、高級茶です。
おくひかり
山間部などの寒い地域でも栽培することができる珍しい品種。香りが強く、味もはっきりしています。
おくみどり
作付面積は国内3位で、主に、鹿児島・三重・京都・静岡あたりで栽培されています。
自然な甘さとマイルドな口当たりで後味スッキリの味わいです。香り高いので特にお茶の香りを楽しみたい人におすすめの品種です。
べにふうき
品種登録は平成5年と他の品種に比べて歴史は浅いものの日本茶だけでなく、和紅茶品種としても有名な品種。メチル化カテキンが多く含まれているので、抗アレルギー効果が期待できるお茶として話題になっています。
日本茶の品種|さえみどり
「やぶきた」と「あさつゆ」をかけあわせて生まれた非常に優秀な品種”さえみどり”
日本第3位のシェアを誇る優良品種”さえみどり”はどんな品種なのでしょう。
日本で3番目に多く作られる早生品種”さえみどり”
2019年現在、日本で作られる緑茶のシェアの約4%を占める”さえみどり”は、”やぶきた”、”ゆたかみどり”に次いで3番目に多く作られている品種です。
濃厚な旨味とストレートな香りが特徴的な緑茶用品種”さえみどり”についてご紹介します
"さえみどり"の特徴
さえみどりの特徴は何といっても優れた品質です。
"やぶきた"×"あさつゆ"から生まれた品種
育てやすく収穫量・品質共に優れた”やぶきた”と、甘みと旨みが強く「天然玉露」とも呼ばれている”あさつゆ”。この優良な2つの品種の、良いところ取りで生まれたのが”さえみどり”です。
品質ナンバーワンと称えられる最高級品種で、煎茶のみならず玉露に使われることもあり、なおかつ”やぶきた”に似て収穫量も多いというまさに傑作品種です。
肥料や被覆栽培で旨味をたっぷりと乗せて作られることが多く、クセがないため合組(ブレンド)にも使いやすく、今後に大きな期待がかけられている品種です。
寒さには強いが霜に弱い
“さえみどり”は強い耐寒性を持つ反面、霜の被害に弱く、また耐病性もあまり強くありません。
山間部や北部などの寒冷地では、新芽が出る4月ごろに霜が降りてしまうことがあるため、そういった地域には不向きな品種といえます。
温暖な地域を好む品種なので”さえみどり”ができた当時は、鹿児島県を中心とした南九州で栽培されていましたが、近年ではその高い品質から静岡県や近畿地方でも栽培が進んでいます。
早生品種
“さえみどり”の収穫期は”やぶきた”より5日ほど早く、新茶は4月中旬~5月上旬に収穫される早生品種です。
一般的に新茶時期の茶市場は、流通が早ければ早いほど高値がつく傾向があります。
鹿児島県など南の暖かい地域では3月下旬に収穫が行われる年もあり、品質が高く、他の品種に先駆けて早く作れることから、温暖な気候に恵まれた地域ではより好まれる品種なのです。
“さえみどり”の味わい
味のバランスが良い”やぶきた”と、甘味と旨味が強い”あさつゆ”の味をうまく引き継いだ”さえみどり”
香りや味は比較的さっぱりしていますが、苦渋味が少なく、濃厚な甘味と旨味が楽しめます。
力強く濃厚な味わいのお茶を好む人は少々物足りなく感じるかもしれませんが、トロッと濃厚な旨味を感じられる上品で優雅な味わいは飲む人を贅沢な時間へいざなってくれます。
また、水色も青みがかった美しい緑色なので、大切なお客様へのおもてなしにもおすすめです。
茶種|釜炒り茶
お茶は発酵度合いで「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」「後発酵茶」に分けられます。
私たちが飲む緑茶は「不発酵茶」で、不発酵茶には蒸気で蒸して作る「蒸し製法」と、釜で炒って作る「炒り製法」がありますが、主流は蒸し製法。
炒り製法で作られたお茶「釜炒り茶」は日本では非常に生産量が少なく、その希少さから「幻のお茶」といわれています。
釜炒り茶って?
釜炒り茶は文字通り、釜で炒って作られたお茶のことです。
日本のお茶は95%以上が蒸し製法で作られており、大変な手間と技術が必要な釜炒り茶は全体の1%未満。まさに幻のお茶です。
釜炒り茶の始まりは15世紀頃に中国から九州に伝えられたといわれています。
当時のお茶といえば、蒸して固めたものを粉にして飲んだり、煮て干したものを沸騰させて飲んだりと、飲むまでに手間がかかっていました。
しかし、炒って作ったお茶(現在の釜炒り茶)はお湯を注ぐだけで飲めるという手軽さでまたたく間に世間に広まり、今に至ります。
日本では希少なお茶ですが、中国茶のほとんどはこの釜炒り茶です。
釜炒り茶の特徴
蒸して作られる茶葉は細くなるのに対して、釜炒りした茶葉は丸い形をしていることから「玉緑茶」と呼ばれることも。
釜炒り茶の特徴は「釜香」と呼ばれるその香りで、茶葉を釜に入れ、火で炒った時の香ばしい香りがそのまま茶葉についています。
緑茶独特の、苦渋味が少なくあっさりとした口当りのお茶です。
釜炒り茶の成分
不発酵茶は発酵のプロセスが無いため成分や栄養素の変化が起こりにくく、茶葉がもともと持っている豊富な栄養素をほとんどそのまま含んでいます。
ビタミンCや、テアニンなどのアミノ酸をはじめ、抗酸化効果が期待できるタンニン(カテキン)、免疫強化やガン予防に効果的とされるβカロチンなど多くの栄養成分がぎゅっと詰まっています。
釜炒り茶の製造工程
釜炒り茶は、通常緑茶で行う工程「蒸し」をしない代わりに「炒り」を行います。 生の茶葉を釜に入れて炒ることで失活させるのです。
炒りの作業には豊富な経験と技術を要するため、専門の職人さんが行います。
釜炒り茶の産地
釜炒り茶は主に九州で生産されており、お茶の有名な産地である静岡や京都でもほとんど作られていません。
現在は、佐賀県・熊本県・長崎県・宮崎県の自然豊かな山の中で生産されています。
九州での生産が盛んな理由は、「釜炒り茶が中国から伝えられたのが九州だったから」といわれています。
釜炒り茶の飲み方
飲み方は緑茶や煎茶を飲むときと同じで、80度前後のお湯を使って淹れます。釜炒り茶は水出しで飲んでも美味しいですよ。
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茶種|抹茶・碾茶
飲み物としてはもちろん、お菓子などにも使われ、国内だけでなく海外でも高い人気を誇る抹茶。
茶道で使うお茶から、若者が好む流行りのスイーツまでその用途が幅広い抹茶と、その原料である碾茶(てん茶)についてご紹介します。
抹茶・碾茶って?
抹茶は知っていても碾茶(てん茶)を知らない人は多いのではないでしょうか。
碾茶は抹茶の原料となるお茶のことで、煎茶のように急須に入れて飲むお茶ではありません。
碾茶の多くは玉露と同じように20日間前後の被覆栽培で作られ、青海苔のような独特の香りと、まろやかでコクのある味わいです。
中国茶の甜茶(てんちゃ)と混同されることがよくありますが全く別のお茶です。
抹茶は、碾茶を細かく挽いたもので、茶道で使われているお茶です。
私たちがよく飲んでいるお茶は煎茶で、その煎茶ができたのは1783年。それ以前はお茶といえばこの抹茶でした。
茶道を思い浮かべ「抹茶は苦い」というイメージを持つ人も多いかと思いますが、実は抹茶は渋味苦味が少ない茶葉なんです。
抹茶は最近ではお菓子など、本来の飲み方以外での需要が増えたことで、食品加工用に被覆せずに栽培した碾茶を使って作られた抹茶もあります。
抹茶・碾茶の特徴
抹茶は碾茶をかなり細かく粉砕した微粒子になるため、湿度・温度・光などの影響を受けやすく、丁寧に扱わなければいけません。また飲み方もほかの緑茶とは異なります。
抹茶になる前の碾茶は滅多に市場に出ないため見る機会はなかなかありませんが、形状は青海苔によく似ています。
もともと被覆栽培で作るのが基本でしたが、お菓子などの原料になるものは被覆せずに栽培されることがあります。
また、碾茶がティーバッグやペットボトルのお茶になることはほとんどありません。
抹茶・碾茶の成分の特徴
抹茶の成分自体は玉露と大きな違いはありません。
しかし、お茶の葉から抽出して飲む通常のお茶と違い、細かく粉砕した茶葉をそのまま丸っと飲むため、煎茶などでは茶葉に残ってしまい、摂取できない成分もまとめて摂取できるのが特徴です。
脂溶性ビタミンやカテキンなど、健康や美容に良いとされている成分を沢山摂取できることから、最近は国内外で「スーパーフード」とも呼ばれています。
抹茶・碾茶の製造工程の特徴
碾茶は基本的には被覆栽培で作られます。摘み取る前の20日前後に茶畑に覆いをして太陽光を遮断し、茶葉をじっくり育てます。こうすることにより、苦味渋味が少なく、甘味旨味が強いお茶に仕上がります。
製造方法でも、揉捻(茶葉を揉むこと)のプロセスがなく、ただ乾燥させるだけという特徴があります。
また、お菓子などの原料になる碾茶は通常の煎茶の栽培と同じ方法で作られることもあります。
抹茶・碾茶の産地
抹茶・碾茶は全国各地で作られていますが、ここでは特に有名な産地をご紹介します。
京都府
碾茶の生産量が日本一の京都。
中でも城陽市上津屋の浜茶は平成29年度の全国茶品評会のてん茶の部で全国1位に輝き、その茶畑の景観が、日本遺産に認定されました。
碾茶の栽培方法「被覆栽培」は京都で開発されたといわれています
愛知県
特に愛媛県西尾市は、砂混じりの豊かな土壌と適度な湿度などの環境が碾茶の栽培に適しており、昔から盛んに栽培されてます。
西尾市では新芽を丁寧に手摘みする農家も多く、約150ヘクタールある茶園で高品質の碾茶が栽培されています。
抹茶・碾茶の飲み方
抹茶は、茶筅を使って点(た)てて飲みます。
点てたてが美味しいので温かいうちに飲みきりましょう。
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茶種|玉露
お茶に詳しくなくても「玉露」と聞いて高級なイメージが湧く人は多いのではないのでしょうか。
お茶の中でも「お茶の王様」とも呼ばれる最高級のお茶、玉露についてご紹介します。
玉露って?
玉露とは最高品質の煎茶のことです。
製造方法は通常の煎茶と同じですが、栽培方法が異なります。摘み取り前の20日前後を日光を遮断して栽培することで、旨味をたっぷりと蓄えさせるのが、玉露の特徴の一つです。
日本の茶葉全体の年間生産量が86,300トンに対し、玉露の生産は240トン程度。400分の1程度の生産量しかありません。特に最上級品となれば年に一度しか摘採されないものもあり、大変希少なお茶として扱われています。
玉露の歴史
玉露はそもそも「高級な煎茶」を開発しよう研究された上で誕生したお茶なのです。
1835年に有名な茶商「山本山」の6代目山本嘉兵衛が煎茶に被覆栽培を行ったことから誕生しました。
そこからは諸説ありますが、新芽が「甘露の味がする」と評価されたことから「玉露」と名がついたともいわれています。
玉露の特徴
手間ひまをかけて作られた玉露は味もその価格も抜きん出ています。
一番茶の手摘みなど、最高級のものだと煎茶の20倍ほどの価格がつくことも。
被覆栽培という特殊な栽培方法により生まれた茶葉は、深く濃い美しい緑色の水色、濃厚な甘味・旨味とコクがあるまろやかな味わい、覆い香と呼ばれる独特な香りを持ち、飲んだ人を感動させるほどです。
玉露の成分の特徴
煎茶に含まれるビタミンやカリウム、カフェイン、タンニン(カテキン)はもちろんのこと、玉露にはアミノ酸の一種であるテアニンが豊富に含まれています。
テアニンは旨味のもととなるだけでなく、神経機能や精神に働きかける作用があるため、リラックス効果や睡眠改善効果、さらには認知症予防などの幅広い効果が期待されています。
逆に、太陽光を浴びることで作られるカテキンがほとんど含まれていないので苦味が少ないお茶でもあります。
玉露の製造工程の特徴
玉露の製造工程は煎茶と同じですが、栽培方法が異なります。
玉露は摘み取りの3週間前からの約20日間は太陽光を遮る被覆栽培を行います。
お茶の葉は日光を浴びることで渋味が増すので、それを防ぎ、さらに旨味をたっぷり蓄えさせるのが目的です。
摘採も基本的には手摘みで行うので、玉露の栽培はほかのお茶と比べて手間と時間がかかります。
玉露の産地
玉露は全国各地で作られていますが、特に有名なのが京都府の宇治と福岡県の八女です。
京都府の宇治
玉露と抹茶の原料となる碾茶の生産量が日本一の京都。
中でもお茶の有名な産地である宇治は、お茶を求めて国内だけではなく海外からも多くの人が訪れます。
玉露独自の栽培方法「被覆栽培」はここ宇治で開発されたといわれており、宇治には多くの玉露ブランドがあります。
「宇治の玉露」はまさに高級の代名詞。手間と時間をかけ、手摘みした一番茶を使った玉露は世界が認める最上品質のお茶です。
福岡県の八女
福岡県の玉露の生産量は、京都府に次いで日本二位です。
福岡県が玉露を作り始めたのは明治12年。
八女は霧が発生しやすい土地で、霧が太陽光を適度に遮ることでアミノ酸を豊富に含む茶葉が育ち、昔から「天然の玉露」として重宝されてきました。
そんな八女の玉露は日本トップクラスの品質をもち、全国茶品評会で過去に10年連続農林水産量を受賞したり、玉露の部で1位〜26位までの全てを独占するなど、常に高い評価を得ています。
玉露の飲み方
煎茶を淹れる最適な温度は80度前後ですが、玉露の場合は60度前後。煎茶と同様、低温で抽出することで旨味だけを楽しむことができます。
また高級玉露は、少しだけ口に含み、味や香りをゆっくり楽しむという嗜むような飲み方をします。
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茶種|煎茶・深蒸し煎茶
日本で一番飲まれているお茶「煎茶」は、日本茶の生産量の80%を占めています。
日本人なら誰もが無意識のうちに必ず飲んでいる煎茶・深蒸し煎茶の事をみなさんはどのくらい知っていますか?
煎茶・深蒸し煎茶って?
煎茶は、もともと「煎じたお茶」のことを指していましたが、現在では、生茶を蒸して酸化を止め、葉を何段階にも分けて揉んで乾燥させながら、針状に形を整えて製造したお茶のことを煎茶と呼びます。
一般的な煎茶の蒸し時間は30秒〜40秒ですが、その倍の60秒〜80秒かけて蒸したお茶のことを深蒸し煎茶といいます。
また、煎茶は柔らかい新芽で作るので一番茶・二番茶の茶葉を使うことが多いです。
煎茶が生まれたのは今から約300年以上前の江戸時代。
この頃、庶民の間でもお茶文化が広がり、人々が茶葉を煎じて飲んだのが煎茶の始まりです。しかし、この頃はまだ煎じて飲むお茶のことをまとめて煎茶と呼んでおり、お茶の色も黒く味も悪かったそうです。
その後1738年、のちに日本緑茶の祖と呼ばれる永谷宗円が、これまでのお茶の製造方法に工夫を重ねて、新しい製法「蒸し製法」を生み出しました。
この製法により、これまで茶色だったお茶の水色が鮮やかな緑色になり味も格段に改善しました。その後この方法で作られたお茶が日本中に広まり、今の煎茶に至ります。
煎茶・深蒸し煎茶の特徴
煎茶は日光をたっぷり浴びて育った茶葉を使って作られるため、渋味成分のカテキン・苦味成分のカフェインが増加し渋味と苦味を感じますが、旨味成分のテアニンも豊富に含まれているので、渋味・苦味・旨味をバランスよく味わえるお茶です。
水色は深い緑色で、新芽を使っているため清々しく爽やかな香りがします。
深蒸し煎茶は、深蒸しすることで香りが若干弱くなるものの、通常の煎茶より渋味が抑えられ、甘味とコクが出てまろやかな味わいになります。水色は濃い緑色です。
また、深蒸し茶は茶葉が細く抽出しやすいため、水出しとしてのお茶にも向いていたり、通常は茶葉に残ってしまう栄養成分も抽出されるという特徴があります。
煎茶・深蒸し煎茶の成分の特徴
不発酵茶は発酵のプロセスが無いため成分や栄養素の変化が起こりにくく、茶葉がもともと持っている豊富な栄養素をほとんどそのまま含んでいます。
ビタミンCやアミノ酸をはじめ、抗酸化効果が期待できるタンニン、免疫強化やガン予防に効果的とされるβカロチンなど多くの栄養成分がぎゅっと詰まっています。
煎茶・深蒸し煎茶の製造工程の特徴
煎茶のような不発酵茶を作るには、まず最初に蒸すことで酸化酵素の働きを止め、茶葉の酸化発酵が進まないようにします。このことを「失活」といいます。
その後さまざまな方法で繰り返し揉み、茶葉を柔らかくしながら水分を抜き、乾燥させます。
その後火入れ(焙煎のようなもの)と選別を繰り返し、最後に品質を均一にするためにブレンドを行い、やっと完成です。
煎茶の産地
日本で最も生産量の多いお茶である煎茶は、静岡県・埼玉県・三重県・京都府・福岡県・鹿児島県など、お茶作りを行っている全国の各地で作られています。
煎茶の飲み方
煎茶はティーバッグでもよく売られているので手軽に飲むことができますが、やはり茶葉から淹れて飲むお茶は格別です。
茶葉の目安は2人分で4グラムほど。
使うお湯は熱湯でも問題はありませんが、高温だと苦味渋味も抽出されてしまうので、高級な煎茶なら80度前後の温度が低めのお湯を使い、茶葉の旨味成分だけを抽出して味わうのがベストです。
深蒸し茶の場合は、湯のみの底に溜まった茶葉にも旨味成分や栄養分がたっぷり含まれているので是非最後の一滴まで楽しんでください。
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茶種|不発酵茶(緑茶)
「不発酵茶」と聞いてもピンとこない人が多いかと思いますが、そんなあなたも実はよく飲んでいるのが不発酵茶。
この記事ではそんな不発酵茶についてご説明します。
不発酵茶って?
不発酵茶とは、茶葉をほとんど発酵(酸化)させずに作ったお茶のことで、私たちが普段から飲んでいる日本茶(緑茶)はこの不発酵茶です。
ちなみにしっかり発酵させた茶葉は紅茶に、半分ほど発酵させた茶葉は烏龍茶などになります。
同じお茶の木から摘んだお茶の葉でも、発酵具合で味も香りも全然違うお茶に仕上がるのは茶葉の面白いところでもあります。
不発酵茶の味・香り・色の特徴
品種やお茶の種類によっても変わりますが、基本的に不発酵茶は味や香りが繊細で、淹れるととても綺麗な緑色になります。
ただし、日本茶には沢山の品種や種類があるため、一概には言えませが、「日本茶の味・香り。色」をイメージした時に頭に思い浮かぶのが不発酵茶のそれと思っていただいて相違ありません。
不発酵茶の成分の特徴
不発酵茶は発酵のプロセスが無いため成分や栄養素の変化が起こりにくく、茶葉がもともと持っている豊富な栄養素をほとんどそのまま含んでいます。
ビタミンCや、テアニンなどのアミノ酸をはじめ、抗酸化効果が期待できるタンニン、免疫強化やガン予防に効果的とされるβカロチンβカロチンなど多くの栄養成分がぎゅっと詰まっています。
不発酵茶の製造工程の特徴
まず最初に蒸すことで酸化酵素の働きを止め、茶葉の酸化発酵が進まないようにします。このことを「失活」といいます。
その後さまざまな方法で繰り返し揉み、茶葉を柔らかくしながら水分を抜き、乾燥させます。 その後火入れ(焙煎のようなもの)と選別を繰り返し、最後に品質を均一にするためにブレンドを行い、やっと完成です。
不発酵茶の種類
不発酵茶には、煎茶を始めとし、たくさんの種類があります。
煎茶
日本で消費されるお茶の約70%が煎茶です。新茶を摘んだあとにすぐに蒸して揉みます。
深蒸し煎茶
深蒸し 煎茶とは、通常の煎茶より2〜3倍長く蒸して作られたお茶のこと。蒸し時間が長いことで香りは落ちますが甘みが増します。
抹茶
抹茶の原料となるお茶は「てん茶」。てん茶は唯一揉む作業をせずに作られるお茶です。
釜炒り茶
釜炒り製法は中国から伝わった製法で、茶葉を蒸すのではなく、釜で炒って作られたお茶を釜炒り茶と呼びます。炒ることでほかのお茶にはない香ばしい香りがします。
ほうじ茶
通常のほうじ茶は一般的に、緑茶、特に番茶や茎茶を褐色になるまで強火で炒って作られたお茶。香ばしい味と香りが特徴です。
かぶせ茶
かぶせ茶は、煎茶のうち、10日間以上の被覆栽培を行なって造られたお茶のことです。日光を遮ることで旨味成分をたっぷりと蓄えており、「覆い香」と呼ばれる海苔のような香りが特徴的です。
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茶種|かぶせ茶
お茶は、品種・栽培方法・製造工程などの違いによって、その味や香りもさまざまです。
この記事では、玉露と間違えられやすい「かぶせ茶」をご紹介します。
かぶせ茶って?
かぶせ茶は新芽の育成期間中に覆いをして太陽光を遮る「被覆栽培」で作られたお茶で「冠茶」とも書きます。 同じく被覆栽培で作られる玉露と間違えられることがありますが、玉露ではありません。
玉露とかぶせ茶の大きな違いは被覆期間で、玉露が20日前後被覆することに対して、かぶせ茶の被覆期間は1週間前後。
そのためかぶせ茶は「煎茶と玉露の中間に位置するお茶」と表現されることが多いです。
かぶせ茶の特徴
かぶせ茶は煎茶と玉露の長所を合わせ持つお茶です。
玉露ほど旨味やコクは強くありませんが、苦味が少なく煎茶よりも甘味・旨味があり、まろやかな味わいで、香りも豊かです。茶葉の色も煎茶よりも鮮やかです。
玉露に比べると価格も下がるのでお手軽に高級茶の風味を味わえるのもかぶせ茶のいいところ。
またかぶせ茶はお湯の温度や蒸らし方によって味わいが変わります。低温でじっくり抽出すると玉露のような甘味・コク・旨味が強くなり、熱湯でさっと抽出すると煎茶のような爽やかな味わいになり、抽出温度で味を調節することができるのです。
かぶせ茶の定義
かぶせ茶は摘採前に、わらやむしろ寒冷紗(かんれいしゃ)などを使って茶葉を覆って日光を遮断する被覆栽培で作られたお茶のことです。
かぶせ茶の被覆栽培は玉露に比べると簡易で、被覆期間は1週間前後、遮光率も50%前後ほどです。
かぶせ茶の成分
通常のお茶に含まれているビタミン・タンニン(カテキン)・カフェイン・カリウムなどはもちろんのこと、玉露ほどではありませんが、旨味のもとになるテアニンなどのアミノ酸が豊富に含まれています。
また、日向を遮断することでテアニンがカテキンに変化するのを防ぐことができるため、通常の煎茶と比べてカテキンの含有量が少ないのが特徴です。
かぶせ茶の製造工程
かぶせ茶の製造工程は煎茶などと基本的には同じで、違いは栽培工程にあります。
何度か触れていますが、かぶせ茶は被覆栽培という栽培方法で育てます。
かぶせ茶の産地
かぶせ茶は、福岡県・鹿児島県・奈良県・京都府・静岡県など日本各地のお茶の産地で生産されていますが、特に盛んなのが三重県で、その生産量は日本全体のかぶせ茶の3分の1以上を占めています。
三重県のお茶は伊勢茶と呼ばれており、特に四日市市や亀山市では二番茶までしか摘まないため、高品質なかぶせ茶に仕上がります。
かぶせ茶の飲み方
煎茶を淹れる最適な温度は80度前後ですが、玉露の場合は60度前後。
煎茶と同様、低温で抽出することで旨味だけを楽しむことができます。
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茶種|ほうじ茶
淹れた時の茶色い水色や香ばしい味から、緑茶とは違うお茶だと思っている人もいますが、ほうじ茶は緑茶の一種です。
最近はお茶として飲むだけでなく「ほうじ茶ラテ」「ほうじ茶チョコ」「ほうじ茶アイス」などお菓子やほかの飲み物に使われることも多く、若者からの人気も高いほうじ茶。
この記事ではそんなほうじ茶を詳しくご紹介します。
ほうじ茶って?
ほうじ茶は私たちにとって身近なお茶で、飲む機会が多いにも関わらず、緑茶とは別の種類と思われていたり、番茶と同じだと思われていたりと曖昧に認識されることが多いお茶です。
ほうじ茶は緑茶の一種であり、厳密には番茶とも違い、煎茶や番茶を焙煎したものがほうじ茶です。 一般的には、一番茶の新芽が使われることはほとんどなく、二・三番茶以降の茶葉や茎の部分が使われるので、比較的廉価で身近なお茶です。
ほうじ茶の歴史は曖昧な部分が多く、公式な記録は残されていません。
昭和初期に起きた大不況のあおりを受けてお茶が売れなくなった時代に、売れ残ったお茶を何とか保存できないかと焙煎したのがほうじ茶の始まりという説もあれば、明治時代にはすでに存在していたという説もあります。
ほうじ茶の特徴
ほうじ茶は、茶葉を焙煎することで生まれる香ばしい香りと味わいが特徴のお茶です。 苦渋味がなく、すっきりとした味わいで飲みやすいのが特徴です。
また、もともとカフェインが少ない番茶を使っているので、胃が弱い方・お年寄りでも安心して飲むことができます。寝る前のリラックスタイムにもオススメです。
ほうじ茶の成分の特徴
ほうじ茶には、美容に良いとされるビタミンや、抗がん作用が注目されるタンニン(カテキン)などさまざまな成分が含まれており、最近ではダイエット飲料として飲まれることも。
中でもアミノ酸が加熱されることによって変化してできる「ピラジン」という成分は、ほうじ茶の香ばしい香りの元となる、ほうじ茶の味わいの左右する香気成分です。
ほうじ茶の製造工程の特徴
ほうじ茶は、通常の煎茶の製造工程に加え、最後に焙煎をして作られます。
この焙煎は家庭でも簡単に行うことができます。 方法は煎茶の茶葉をフライパンで煎るだけ。茶葉を焦がさないよう、様子を見ながら弱火で10分程度で完成です。
美味しいほうじ茶ができるだけではなく、部屋いっぱいにお茶の良い香りが広がりますよ。
ほうじ茶の飲み方
ほうじ茶を入れるときは香ばしい香りを出すために高温で入れるのがポイントです。
沸騰したお湯を使い、焙煎で生まれる火香を楽しんでみてください。