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「カテキン」は、お茶に特有のポリフェノールの一種で、悪玉コレステロール値の低下や、ストレス減少など、さまざまな効能を持つ成分です。
ここでは、カテキンの基本情報や、効率よくお茶からカテキンを摂るための方法をご紹介します。
カテキンって?
「カテキン」はポリフェノールの1種で、お茶の渋味の元となるお茶特有の成分です。
タンニンと呼ばれることもありますが、厳密にはタンニンは広く「皮をなめす性質を持った物質」のことを指すため、カテキンと全く同じ意味合いではありません。
お茶の中に含まれるカテキンは、主に以下の4種類。
- エピカテキン
- エピカテキンガレート
- エピガロカテキン
- エピガロカテキンガレート
「ポリフェノールは健康に良い」という話を耳にしたことのある方は多いと思いますが、カテキンも医学的に健康効果が実証されている成分のひとつです。
それぞれ微妙に異なる効果を持っていますが、「悪玉コレステロールを抑える」などの基本的な効能は同じです。
カテキンはお茶の渋味成分
カテキンは、お茶の渋味を構成する成分です。
カテキンにはタンパク質と結合し凝集する性質があります。これが舌で起こると、舌のタンパク質と結合して収斂作用が起き、渋味を感じるのだと言われています。
適度な渋味があることで、お茶の味わいに奥行きが生まれたり、キレのあるお茶になったりと、お茶の味わいを作り上げるのになくてはならない成分なのです。
紅茶・烏龍茶の色が赤いのは、カテキンのせい
カテキンは酸化することで、テアフラビン・テアルビジン類の合体カテキンへと変化します。
カテキンは水溶液中では無色な成分ですが、これらの合体カテキンは赤っぽい色をしているため、酸化発酵を経て作られる紅茶や烏龍茶の水色は赤銅色なのです。
カテキンの効能
カテキンの主な効能には、以下のものが挙げられます。
- 抗菌・解毒作用
- 抗酸化作用
- 悪玉コレステロールを抑える作用
- 脂肪の吸収を抑える作用
- 認知症を予防する作用
- 消臭作用
- ストレスの低下作用
抗菌・解毒作用
カテキンは抗菌・解毒作用を持つ成分です。
O-157やインフルエンザ、マイコプラズマ肺炎の原因菌に対しての抗菌作用を持ち、赤痢菌・コレラ菌などの食中毒菌やピロリ菌の増殖抑制作用があることも明らかになっています。
また、植物の毒素に多いアルカロイドと結合しやすいため、解毒作用もあります。
抗酸化作用
カテキンには、「抗酸化作用」という健康効果があります。
「抗酸化作用」は、体の中にある余分な物質(活性酸素)を無毒化してくれるはたらきのこと。「すべての病気の予防になる」と言われるほど重要な機能で、組織の老化を防ぎ、免疫力を保つ役割を担っています。
カテキンの抗酸化力はビタミンCやビタミンEの数十倍ともいわれるほど。お茶にはカテキン以外にもビタミンC・Eなどの抗酸化ビタミン類も含まれているので、非常に強い抗酸化作用を持つ飲みものなのです。
悪玉コレステロールを抑える作用
悪玉コレステロールを抑えることもカテキンの効能のひとつ。
コレステロールには「HDLコレステロール(善玉)」と「LDLコレステロール(悪玉)」の2種類がありますが、カテキンはこの内、LDLコレステロールのはたらきを抑える効果を持っています。
中でも、お茶に豊富に含まれる「エピガロカテキンガレート」はその効果が強いと言われています。
脂肪の吸収を抑える作用
カテキンは、食事とともに摂取することで、脂肪の吸収を抑える効果を持っています。
市販されている特保のお茶にもこのカテキンの効能を利用したものがあるように、様々な生活習慣病の原因となる肥満の対策にもぴったりな飲み物です。
認知症を予防する作用
記憶障害や判断力の低下を引き起こし、社会問題の一つにもなっている認知症。
あるアメリカの研究によると、カテキンは特にアルツハイマー型の認知症の予防に効果があることが明らかになっています。
消臭作用
カテキンには消臭作用があることも明らかになっており、口臭の抑制や出がらしを再利用した消臭剤など、様々な製品・利用法が見出されています。
1991年に宇井美樹氏らが行なった研究では、カテキンを含んだチュイーンガムに口臭抑制効果があることがわかっています。
ストレスの低下作用
お茶を飲むと心が落ち着く、と感じたことはありませんか?
実は、お茶を飲むことがでストレスや緊張を取り除く効果があることは科学的に立証されています。
2012年に大和孝子氏らが発表した研究によると、市販の一般茶やカテキン茶を飲むことで以下のような効果が得られたと言います。
- 緊張や不安を取り除く
- 疲労感を回復させ、気分を改善する
また、市販されている高濃度のカテキン茶を飲むと、さらに抑うつや落ち込みを軽減させる効果があったとのこと。
お茶を摂取することで、精神的なストレスを緩和することができるのです。
お茶からカテキンを摂るためには?
カテキンの含有量は、品種や栽培方法、摘採時期によって大きく変化します。品種によって渋味の多寡が変わりますし、日本で多く作られている中国種よりも、インドなどで作られているアッサム種の方がカテキンの含有量は高くなります。
被覆栽培によってカテキンの生成が抑制される場合もありますし、逆に日照時間の長い二番茶・三番茶は、一番茶と比べて多くのカテキンを含んでいます。
ですのでここでは、一般的にお茶からカテキンを多く摂取する方法を以下3点に分けてお伝えしていきます。
- 高温のお湯で淹れる
- 二番茶・三番茶を購入する
- 出がらしの茶葉を食べる
高温のお湯で淹れる
カテキンは「低い温度では水に溶け出しにくい」という性質を持っています。
そのため、70度以上の高温で淹れることで、カテキンの成分がしっかりと溶け出したお茶になります。渋味はやや強くなりますが、カテキンを多く摂るには、高温で淹れるのがオススメです。
二番茶・三番茶を購入する
お茶の葉は、その収穫される時期から一番茶(新茶)、二番茶、三番茶などに分類されます。
一般的には一番茶が最も香りが良く、品質も高いと言われていますが、日照時間が長い時期に育つ二・三番茶は、光の作用によって生成されるカテキン類を、一番茶よりも多く含んで育ちます。
カテキンを多く摂りたい場合には、二番茶・三番茶を選ぶのがおすすめです。
出がらしの茶葉を食べる
カテキンは水溶性の物質ではありますが、その全てがお湯に溶け出す訳ではありません。茶葉に含まれるカテキンを全て摂取するためには、出がらしを食べるのが一番です。
おすすめはお茶のおひたしにして食べること。簡単で意外にも美味しく食べられるので、是非試してみてください。