Far East Tea Company 編集チーム 約 5 分
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ほうじ茶は、番茶や煎茶を高温で焙煎して作る。工場では150〜200度のドラム焙煎が主流で、浅煎りから深煎りまで温度を調整する。焙煎によって茶葉の成分が変化し、独特の香ばしさ(ピラジン類)が生まれる。緑茶として出発した茶葉が、焙じることで香りも味わいも大きく変わる——それがほうじ茶の製造の醍醐味だ。

ほうじ茶とは — なぜ「焙じる」のか

原料(番茶・煎茶・茎茶)

ほうじ茶の原料は主に番茶だ。摘み取り後半に収穫した成熟した葉で、煎茶と比べてカテキンが少なく、焙煎しやすい。茎茶(くき茶)を使うと、より軽くて甘味のある「くき焙じ」になる。一番茶を使えば、深い甘味を持つ高品質なほうじ茶になる。

焙煎で何が変わるか(クロロフィル分解・カフェイン減少・ピラジン生成)

高温の焙煎はいくつかの化学変化を同時に引き起こす。アミノ酸と糖がメイラード反応を起こし、ピラジン類という芳香成分が生まれる——これが「焙煎香」の正体だ。コーヒーやトースト、香ばしいご飯の香りと同じ反応だ。クロロフィルが分解して茶葉が茶色になり、カテキン(渋味の原因)が一部分解して渋味が和らぐ。また、カフェインの一部が焙煎中に昇華するとされており、これがカフェイン量が低くなる要因のひとつとも言われる。最終的なカフェイン量は原料茶の種類や淹れ方にもよる。成分の詳細はほうじ茶の成分の記事に譲り、ここでは製法に絞る。

製茶工場での焙煎工程

焙煎温度と時間

工場では回転ドラム式の焙煎機が使われる。コーヒーロースターに似た仕組みで、茶葉を連続撹拌しながら均一に加熱する。温度150〜200度、アクティブな焙煎時間は合計10分以内が標準だ。

浅煎り・深煎りの違い

150〜170度で短時間の浅煎りは、元の緑茶の性格を少し残した軽やかな香ばしさ。170〜200度の深煎りはチョコレートのような深みと強い焙煎香が出る。水色も変わる——浅煎りは淡い赤褐色、深煎りは濃い赤褐色だ。

二段階焙煎(プロの技法)

高品質なほうじ茶では二段階焙煎を行うことがある。まず比較的低温で予備乾燥に近い一次焙煎を行い、一度冷ます。その後、高温で仕上げ焙煎して香りを引き出す。具体的な温度は茶葉や機械によって異なるが、均一な火の通りと複雑な香りを両立する職人技だ。

工程 内容 温度 時間
予熱 ドラムまたは焙烙を目標温度に 150〜200°C
投入 乾燥した茶葉を薄く均一に投入
焙煎初期 水分が蒸発、茶葉が色づき始める 150〜170°C 1〜3分
本焙煎 メイラード反応でピラジン生成、香りが強まる 170〜200°C 2〜5分
冷却 素早く広げて冷やし、反応を止める 室温 即時

冷却を怠ると余熱で反応が続き、意図した焙煎度を超えてしまう。素早く広げることが品質管理のポイントだ。

自宅でほうじ茶を焙じる方法

フライパンで焙じる手順(5ステップ)

焙烙や業務用焙煎機がなくても、フライパンで再現できる。番茶や手元にある安価な緑茶で試してみるとよい。

  1. フライパンに茶葉を薄く広げる。油なし、加熱前から入れる。中火にかける。
  2. 最初の1分は混ぜない。底の層から水分が飛び始めるのを待つ。
  3. 最初の香りが立ち上ってきたら、木べらでやさしくかき混ぜ始める。焦げないように動かし続ける。好みの色と香りになったら(目安2〜4分)火を止める。
  4. すぐに皿の上に広げて冷ます。残熱で焦げないよう素早く。
  5. 沸騰直前のお湯(90〜100度)で30秒蒸らして完成。水色は澄んだ赤褐色が目安。

ほうじ器を使う方法

茶道具店などで売られる「ほうじ器」(陶製の焙烙の現代版)は、直火にかけて使う。フライパンより均一に熱が伝わり、焦げにくい。少量を何度も焙じるのに向いている。

市販の煎茶・番茶を焙じるコツ

市販の煎茶でも焙じられる。ただし深蒸し煎茶は葉が細かく焦げやすいので注意が必要。普通蒸しの番茶や古くなった煎茶を活用するのが扱いやすい。ほうじ茶の詳しい特徴ほうじ茶の健康効果についても、それぞれ記事でまとめている。

ほうじ茶の味を決める要素

原料の違いによる風味差

番茶ベースは安定した香ばしさ。茎茶ベースは甘味が強く軽やか。一番茶ベースは旨味の残りが多く上品。同じ「ほうじ茶」でも、原料によって性格がかなり変わる。

焙煎度合いと香気成分

浅煎りは緑茶の草感が少し残り、飲みやすい。深煎りはピラジン類が増え、ビター感とチョコレート的な深みが出る。食事に合わせるなら深煎り、単独で楽しむなら浅煎りがおすすめだ。

原料 焙煎度 風味プロフィール
番茶 浅煎り ライトな香ばしさ、飲みやすい
番茶 深煎り 力強い焙煎香、食事に合う
茎茶(くき茶) 浅〜中煎り 甘味強め、軽やか
一番茶 浅〜中煎り 旨味と甘味が残る、上品

産地と特徴 — 京都・加賀・静岡

京都の「京番茶」は、一番茶・二番茶以降に摘んだ三番・四番茶や選別後の大ぶりの葉を、茎ごと強火で炒り上げたもので、独特の燻製香が特徴だ。石川県(加賀)の「加賀棒茶」は茎を主原料とした香り高い逸品で、全国的に知られている。静岡は全国有数の茶産地で、番茶の主産地のひとつでもある。ほうじ茶ラテへの応用はほうじ茶ラテのレシピでも紹介している。

同じ茶葉が、火を加えることで香りも水色も変わる。まずは自宅のフライパンで、その変化を確かめてみるといい。

焙じたての香りを楽しむなら、茶葉コレクションでほうじ茶をどうぞ。

タグ: 加工方法

よくある質問

ほうじ茶の香ばしさは何で生まれる?

150〜200度の焙煎で、アミノ酸と糖がメイラード反応を起こし、ピラジン類が生まれる。これが煎った穀物やトーストに近い、ほうじ茶らしい香りの中心だ。

ほうじ茶の原料にはどんな茶葉を使う?

基本は摘み取り後半の成熟した番茶。茎茶を使うと軽く甘いくき焙じになり、一番茶を使うと旨味と甘味が残る上品な仕上がりになりやすい。

浅煎りと深煎りでは味がどう変わる?

浅煎りは150〜170度寄りで、緑茶の草感を少し残した軽い香ばしさ。深煎りは170〜200度で、焙煎香が強く、ビター感やチョコレートのような深みが出る。

工場の焙煎で品質を左右するポイントは?

回転ドラムで茶葉を動かし続け、温度と時間をそろえることが大切。焙煎後すぐ広げて冷やさないと、余熱で反応が続き、狙った焙煎度を超えてしまう。

自宅ではどうやってほうじ茶を焙じる?

油をひかないフライパンに茶葉を薄く広げ、中火で始める。最初の1分は混ぜず、香りが立ったら木べらで動かし、合計2〜4分を目安にしてすぐ冷ます。