May 30, 2020
お茶の成分について|香気成分

お茶に含まれる「香気成分」とは、香ばしい香りや若葉の香りなど、様々な香りを演出する成分のことを指します。 お茶の香りは、数百種類にもおよぶ香気成分によって作られているのです。

今回は、お茶に含まれる主な香気成分や、それぞれの香気成分がどのような香りを演出しているのかという点をご紹介していきます。

お茶の香りは繊細で複雑

「お茶の香り」と一口に言っても、そこには香ばしい香りや若葉の香り、甘い香りなどの様々な香りが含まれていて、それらの香りは無数の「香気成分」によって作り出されています。

お茶は香気成分を多く含む飲料で、緑茶で200種類ほど、紅茶・烏龍茶には600種類以上の香気成分が含まれています。 お茶の繊細かつ複雑な香りは、様々な香気成分のハーモニーが生み出しているのです。

紅茶・烏龍茶と緑茶の違い

紅茶・烏龍茶・緑茶など、ほぼ全てのお茶は同じチャの葉を原料として作られています。

ところが、それぞれのお茶には同じ原料から作られたとは思えないほど特有の香りがあります。これは、それぞれの製造法によって生まれる香気成分が異なるためです。

ここでは、3つのお茶の製造法と、そこで生まれる香りについて見ていきましょう。

緑茶

緑茶を製造する際には、製造の初期段階で摘みたての茶葉を蒸したり炒ったりする「殺青」というプロセスを踏みます。 これによって初期段階で香気成分を作る発酵が止まるため、茶葉の爽やかな香りが保たれます。

ただ、「発酵が止まる」と言っても含まれる香気成分が少ないわけではなく、緑茶にも200種類もの香気成分が含まれています。

紅茶・烏龍茶

紅茶や烏龍茶は、緑茶のように初期段階で茶葉を加熱することはせず、まずそれらを萎れさせるプロセスを踏みます。このように初期段階で加熱しない場合、茶葉の発酵が進むことで様々な香気成分が生まれます。

緑茶に含まれる香気成分は200種類程度でしたが、紅茶や烏龍茶に含まれる香気成分はなんと約600種類。 その結果、緑茶にはない、花や果物のような香りが加わって、紅茶や烏龍茶の味わいが完成するというわけです。

同じ茶葉でも発酵させる時間によって香気成分の種類や量が変わるのです。

主な香気成分

ここでは、お茶に含まれる主な香気成分について見ていきましょう。

リナロール

リナロールは、スズランのような軽く爽やかな香りを持つ香気成分です。

細菌やウィルス感染を防ぎ、免疫力を高める効果があります。

ゲラニオール

ゲラニオールは、バラの花のような香りを持つ香気成分です。

シトラスなどのフレーバーや、ビタミンEやAの製造原料として用いられることもあります。

青葉アルコール

青葉アルコールは、若葉の爽やかな香りを持つ香気成分です。

人造花精油や食品香料などにも用いられています。

シス-ジャスモン

シス-ジャスモンは、ジャスミンやクチナシのような、甘くて重厚感のある香りを持つ香気成分です。

特に紅茶の中に多く含まれるほか、フルーツ系やフローラル系の調合香料によく用いられます。

ジメチルスルフィド

ジメチルスルフィドは、青海苔のような香りをもつ香気成分です。

玉露やかぶせ茶など、被覆栽培を経て作られたお茶のほか、ノリやワサビなどの食品にも含まれており、大量に使用すると悪臭の原因にもなります。 ただし、お茶にはごく微量しか含まれておらず、かつ他の香気成分と混じり合って存在しているため、爽やかな香りを演出する一翼を担っています。

インドール

インドールは、青苦く重い香りを持つ香気成分です。 ジャスミン油やコールタールなどの中にも含まれています。

単体だとヂメチルスルフィドと同様悪臭の原因ともなる成分ですが、低濃度であれば花のような香りとして感じられます。

ピラジン

ピラジンは、加熱によって生じる香ばしい香りを持つ香気成分です。

特に日本茶で感じられる香ばしい香りは、ピラジンによるものです。

※参考文献:『日本茶のすべてがわかる本』、『現代用語の基礎知識2019』、『日本大百科全書』、『デジタル化学辞典(第2版)』

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