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今では世界中で愛されるようになった「抹茶」。「碾茶(てんちゃ)」は抹茶の原料となるお茶ですが、「碾茶」は普通の緑茶と何が違うのでしょうか?
今回は「碾茶」がどのように作られ、さらにどのようにして「抹茶」に加工されていくのかを解説します。
抹茶・碾茶の製造工程の特徴
抹茶の原料となる「碾茶」は、煎茶と違い、茶葉を揉む作業を行わないのが特徴です。そして抹茶は、その碾茶を臼で挽き、粉末状に加工したものです。
揉捻の工程が無いため、荒茶の製造にかかる時間は煎茶より短くなりますが、茶葉を熟成させたり、臼で挽いたりする作業があるため、煎茶などと同様製造には手間と時間がかかります。
収穫された生葉が出荷されるまで
収穫された生葉はまず「碾茶」にまで加工されます。その後仕上げ工程を経て「抹茶」となり、各地へと出荷されます。
碾茶ができるまで
碾茶は「荒茶」と「仕上げ」の大きく2つの工程を経て作られます。まずは「荒茶」の工程を解説していきます。
蒸熱
収穫された生葉には酸化酵素が含まれ、収穫直後から発酵(酸化)が始まります。その働きを失活させるために蒸気で加熱するプロセスです。蒸し時間は煎茶より短く、鮮やかな黄緑色と「覆い香」を引き立てます。抹茶の色を濃くしたいときは蒸し時間を長くします。
冷却散茶
冷却用の散茶機に茶葉を移し、5mほどの機械の中で吹き上げては落とすのを繰り返して茶葉を冷やします。くっついた葉同士を離し、冷えた後も重ならないようにする効果があります。
荒乾燥・本乾燥
専用の乾燥炉で150℃を超える熱風を当てて乾燥させます。この乾燥炉は3層ほどのベルトコンベアーに分かれています。まず下段で急速乾燥させた後、上段に吹き上げられ、その後下の段に降りる間にゆっくりと乾燥させていきます。
これで碾茶の「荒茶」の完成です。
仕上げ
「荒茶」の状態では茶葉の茎の部分が乾き切っておらず、抹茶を作るには不向きなため、さらに「仕上げ」加工を行います。碾茶の仕上げ加工のことを「仕立て」ともいいます。
選別
つる切りという機械を使って茶葉から茎の部分を切り取ります。さらに硬い葉や残ってしまった茎などを選別し、質の良い葉の部分だけを集め、一定の長さに切り揃えます。
乾燥
選別の終わった茶葉に風を当てて、ゆっくり時間をかけて乾燥させます。風を当てることで取り除けなかった茎などを分離させます。
合組
好みの味や色に仕上げるため、種類の違う碾茶をブレンドします。これでやっと「碾茶」の完成です。
石臼挽き
徹底的に温度・湿度管理された碾茶を出荷直前に石臼で挽きます。これで「抹茶」の完成です。