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三重県は、意外にも国内第3位の茶生産量を誇る都道府県です。
第1位の静岡県、第2位の鹿児島県に比べると差はあるものの、2020年の生産量は5,080トンと、日本全体の7%ほどが作られるお茶どころです。
三重県内で生産されたお茶は、総じて「伊勢茶」と呼ばれ、三重ブランド認定品のひとつになっています。”やぶきた”を筆頭に”さやまかおり”、”おくみどり”、”さえみどり”などの品種が主に栽培されています。
三重県のお茶の特徴
三重県では、古くから県内の至る所でお茶が作られてきました。
地域によって差異はありますが、毎年日本全国数十件の生産者とお会いする私たちが感じる三重のお茶の特徴をご紹介します。
日本一のかぶせ茶の産地
かぶせ茶とは、摘採の1週間ほど前から被覆栽培を行って作るお茶のことで、三重県はこのかぶせ茶の生産量日本一を誇ります。
被覆栽培を行うことで、茶葉の旨味が濃くなり、渋味が抑えられ、「覆い香」と呼ばれる海苔のような香りが付加されます。この「覆い香」は高級茶の証とされ、手間と時間をかけて丁寧に作られるかぶせ茶は、玉露に次ぐ高級茶としても知られています。
原料茶の生産量日本一
近年、海外でも人気が高まりつつあるお茶フレーバーのドリンクやお菓子。実は、こういったアイスクリームなどのスイーツで利用される加工用原料茶の生産量は、三重県が日本一。
今後も原料茶の需要は高まっていくと考えられていますが、海外から廉価な原料茶が輸入されていたり、年々お茶の市場価格が下がっていることもあり、三重県としても新たなお茶の価値や商品開発に力を入れています。
日の目を浴びない影のお茶
三重県のお茶は、非常に美味しいのにも関わらず、ブランド茶としての名声は決して高くありません。
その理由は、京都や静岡など、他県の茶商に買われ、ブレンド茶として利用されることが多かったため。(三重県で生産がされ、静岡県で最終の仕上げがされたお茶は「静岡茶」として販売されるため。)
また、原料茶としての出荷が多く、「三重のお茶」として消費者の目に触れる機会が少ないのも理由の一つです。
近年では、「伊勢茶」としてのブランドを確立することが喫緊の課題とされています。
三重県のお茶づくりの歴史
三重県でのお茶の歴史は非常に古く、最も古い記録では、西暦900年の初め頃、今の四日市市水沢町一乗寺でお茶が栽培されていたという記録が残っています。
鎌倉時代に茶の栽培を国内に普及した明恵上人が、茶の種を植えたのが伊勢川上であることからも、伊勢茶の歴史が深いことがわかります。
江戸時代の終わりごろには、水沢町にある常願寺の住職・中川教宏が宇治からお茶の種を持ち帰って、お茶の栽培を広めて、産業としての発展に寄与しました。
このように長い歴史と全国3位の生産量を誇る三重県ですが、残念ながらそのことはあまり知られておらず、「伊勢茶」としてのブランドもまだ確立されていないという課題を抱えています。
三重県のお茶の産地とブランド茶
南北に長く伸びる三重県は、ほとんどの地域で温暖な気候を持つ都道府県です。
年間平均気温は14〜15度。雨が多く、水はけの良い土質は、お茶の栽培に適した地域だと言えます。
三重県内で生産されるお茶は全て「伊勢茶」というブランド茶に内包されますが、その中に、大きく分けて北勢地域と中南勢地域という生産地があります。
北勢地域
鈴鹿市、四日市市、亀山市を中心とした北勢地域では、三重県全体のおよそ7割のお茶が作られており、煎茶・かぶせ茶・碾茶(抹茶の原料茶)の生産が盛んです。
鈴鹿山脈の麓、豊かな水源と緩やかで水はけの良い傾斜地に恵まれたこの地域はお茶作りに適しており、良質なお茶が作られている地域です。
中南勢地域
松坂市、大台町、度会町を含む中南勢地域では、谷あいの傾斜地や、川沿いの平地を利用して良質な煎茶、深蒸し煎茶が多く生産されています。