
福岡県は、国内のお茶の生産量第5位の都道府県です。平成30年の生産量は1,890トンと、国内生産量の2.2%程。
「やぶきた」を中心に、「かなやみどり」「おくみどり」「さえみどり」「やまかい 」などの品種が栽培されています。
生産される茶種は、煎茶・かぶせ茶・玉露・番茶・釜炒り茶など様々ですが、特に伝統本玉露の生産量は日本一を誇り、日本有数の高級茶の産地でもあります。
福岡県のお茶づくりの歴史
福岡県のお茶づくりは、県の南西部にある八女市で始まりました。
室町時代、周瑞禅師が筑後国上妻郡鹿子尾村(現在の黒木町笠原)に霊巌寺を建て、中国から持ち帰ったお茶の種を蒔いたといわれています。 同時期に、釜炒り茶の栽培や製造などを、鹿子尾村の庄屋である松尾太郎五郎久家に伝えたと言われており、これが福岡のお茶づくりの発祥となりました。
江戸時代の中期には、八女から京都や大阪へ、少量ながらも釜炒り茶が流通するようになりました。 ただし、当時はまだお茶の生産量が少なかったため、ほとんどのお茶は久留米藩内での流通に留まっています。
現在の八女茶最大の特徴である玉露が生まれたのは、明治時代の初期といわれています。 山門郡(現在のみやま市)にある清水寺の住職・田北隆研によって、玉露の栽培法や製茶法を教えるための修練所が作られ、玉露の生産が普及しました。
その反面釜炒り茶は、明治20年(1887年)アメリカが出した粗悪茶輸入禁止条例により、輸出量が激減。その後国内市場に置いても釜炒り茶よりも通常の蒸製緑茶の人気が高まった結果、釜炒り茶の生産は次第に縮小していきました。
その後、大正時代には煎茶の製造技術も発達し、複数存在していた郡産茶を「八女茶」のブランドの元に統合し、現在の八女茶に続きます。
栽培している地域
福岡県のお茶の栽培地域の約90%は八女地域にあり、その全てを「八女茶」と呼んでいます。
八女茶
福岡県の南西部にある八女市と、その隣にある筑後市、広川町などで作られるお茶です。主に煎茶が作られていますが、山間部では玉露も生産されています。
八女の玉露は、日本でも最大級の生産量を誇り、全国茶品評会でも19年連続で入賞するなど、非常に高い評価を得ています。八女の玉露は、生産量・質ともに、日本トップクラスの玉露だといえるでしょう。