Far East Tea Company 編集チーム 約 14 分
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私たちが普段飲んでいる緑茶・紅茶・烏龍茶など、味も香りも色も異なるこれらのお茶が、全て同じ茶葉から作られているのを知っていますか?

これらのお茶が異なる味わいや香りを持つのは、製造方法の違いによるものです。

なぜ紅茶が発酵茶と呼ばれるのか、紅茶の香りはどうやって生まれるのかを、製造工程をたどりながら見ていきます。

発酵茶(紅茶)の製造工程の特徴

発酵茶とは、酵素による発酵を完全に進めて作るお茶をいいます。

煎茶や深蒸し煎茶のような不発酵茶とは逆に、茶葉のもつ酸化酵素の働きを利用して、酸化発酵をさせるのが特徴です。不発酵茶の製法については不発酵茶(緑茶)の製造工程をご覧ください。

元々は19世紀頃に中国で発展した「工夫製法(職人技の製法)」でしたが、今は機械製が中心です。

主な製法としては「オーソドックス製法」と「アン・オーソドックス製法」の二つがあり、さらにこの二つを組み合わせた製法も生み出されています。

ここでは、伝統的な「オーソドックス製法」をご紹介します。

発酵と酸化?

お茶の世界で使われる発酵とは、味噌やヨーグルトのように微生物(菌)によって起こる発酵とは違い、茶葉のもつ酸化酵素よって起こる酸化のことを指しています。

酸化とは、酸素と酵素が結びついて、元の成分を変化させる反応をいいます。

一部、後発酵茶のように微生物の力で発酵させるお茶もありますが、基本的にお茶業界では、この酸化発酵を発酵と呼んでいます。

収穫された生葉が出荷されるまで

収穫時期になると茶葉は摘み取られ、摘み取られた生葉は揉みや乾燥の工程を行った「荒茶」へと加工されます。その後「仕上げ」を行い、製品として出荷されていきます。

荒茶ができるまで

生葉は摘み取られた後「萎凋 → 揉捻 → 玉解き・ふるい分け → 発酵 → 乾燥」という工程を経て「荒茶」へと加工されます。

1. 萎凋

生葉に含まれている水分を均一に取り除くため、葉をしおれさせる工程を萎凋と呼びます。

以前は日陰干しが多かったのですが、現在は萎凋槽を使って大量の温風でしおれさせる「人工萎凋」が行われています。

2. 揉捻

茶葉の細胞を破壊し、葉の中の酸化酵素の働きを促して形を整えていきます。

酸化酵素が空気中の酸素に触れると活性化し、カテキンやペクチン、葉緑素が酸化発酵します。この酸化酵素こそが、紅茶の香り・味・コク・水色を作る重要な要素であり、紅茶と緑茶の違いへと繋がります。酸化発酵によって変化する紅茶特有の成分は紅茶の成分で扱っています。

この工程では大体45〜90分発酵させますが、酸化発酵が一気に進みすぎないように発酵を抑える目的で玉解機にかけ、冷却してから再び揉む作業を繰り返します。

3. 玉解き・ふるい分け

揉捻で茶葉は塊になるので、これを解いて平均的に空気に触れるようにし、酸化発酵をさらに促します。この工程では20〜30分ごとに玉解機にかけます。

機械のメッシュで茶葉をふるい、下にふるい落とされたものは「ふるい下」といい、次の工程に移します。ふるいに残った大きい葉は「ふるい上」といって再び揉捻の工程に戻されます。

4. 発酵

室温25〜26度、湿度90%の発酵室に、厚み4〜5cmほどに均一に広げ、2〜3時間放置します。この工程の間に、緑色だった葉が鮮やかな赤銅色になり、紅茶らしい香りも漂い始めます。

ただし、発酵しすぎると紅茶本来の香りが台無しになってしまい、水色も黒っぽくなるため、発酵を止めるタイミングを見極める必要があります。

5. 乾燥

発酵終了時の茶葉はまだ水分が多く、そのままだと発酵が続いてしまうため、乾燥機に入れて100度前後の高温熱風で乾燥させます。乾燥させることで酸化酵素を失活させ、水分を5%以下にまで減らします。

仕上げ

乾燥まで終えると「荒茶」は完成しますが、「荒茶」ではまだ製品として出荷できません。そこで「仕上げ」として「選別・整形 → ブレンド」を行うことで、ようやく製品として出荷できます。

6. 選別(等級分け)

荒茶を何度もふるいにかけ、大きさや葉の形で選別します。この選別によって茶葉は等級に分けられていきます。この等級を「リーフグレード」といいます。

7. ブレンド

最後に茶葉をブレンド(配合)します。約20種類以上の茶葉を使いますが、様々な種類を混ぜるのではなく、同じ産地内のものを合わせて品質を安定させるのが目的です。ブレンドが紅茶の価値を左右するため、いかに消費者の好みにあったブレンドを行えるかがポイントになります。

酸化がつくり出す風味の化学

紅茶らしい赤み、きりっとした渋味、のどに残る厚みは、茶葉の中で進む酸化の結果です。生葉に多い成分が酵素と酸素に触れて別の物質へ変わることで、水色も香りも口当たりも、緑茶とは違う表情へと組み替わっていきます。

「ポリフェノールオキシダーゼ」の役割

紅茶の酸化を動かす中心は、茶葉にもともと備わる酸化酵素「ポリフェノールオキシダーゼ」です。摘みたての葉では酵素と成分は細胞の中で分かれていますが、揉捻で細胞壁が壊れると両者が混ざり、そこへ空気中の酸素が加わって反応が進みます。だから同じ茶樹でも、葉を傷つける強さや温湿度の管理で、香味の輪郭が変わります。

この酵素反応は、ただ長く置けばよいわけではありません。立ち上がりが早いと青さが抜けて香りが開きやすく、進みすぎると明るさが失われて重たく感じやすくなります。現場で色や香りを見ながら止めどころを決めるのは、数値や時間だけでは捉えきれない変化があるからです。

カテキンは何に変わるのか

生葉に多いカテキンは、酸化の過程でそのまま減っていくのではなく、新しい成分へ作り替えられていきます。代表的なのが「テアフラビン」と「テアルビジン」です。紅茶らしさの決め手は、この変換によって生まれると言ってよいでしょう。

同時に葉緑素の青さは後ろへ下がり、茶葉の見た目は緑から赤銅色へ移ります。つまり酸化は、味だけではなく色の設計でもあります。紅茶の成分全体の流れは紅茶の成分もあわせて読んでみてください。

「テアフラビン」が生む明るさ

「テアフラビン」は、酸化の比較的早い段階で生まれやすい成分で、紅茶のカップに透き通った琥珀色を与えます。舌の両脇をきゅっと引き締めるような渋味、飲み口の切れ、後味の明るさにも関わるため、上質な紅茶の輪郭をつくる存在です。

光にかざしたとき、ただ濃いだけではなく、赤みを帯びた透明感があるかどうかはひとつの目安になります。ダージリンのように軽やかで香りの抜けがきれいな紅茶では、このテアフラビンの働きが特に感じ取りやすい部分です。

「テアルビジン」が支える厚み

酸化がさらに進むと、より大きな分子群である「テアルビジン」が増えていきます。こちらは紅茶の深い赤褐色、口の中にゆっくり広がるコク、ミルクを合わせても負けにくいボディに関わる成分です。アッサム系の紅茶で感じるどっしりした飲みごたえは、この成分の寄与が大きいと考えられています。

ただし、テアルビジンが多ければ多いほどよいわけでもありません。厚みが出る一方で、明るさまで失うと輪郭がぼやけてしまいます。渋味を支えるテアフラビンと、深みを支えるテアルビジンの釣り合いが取れたとき、香り、色、口当たりが自然につながります。

香りはどのように立ち上がるか

酸化が進むあいだ、茶葉の中では香りのもとになる揮発性成分も増減します。その結果、青い葉の匂いが後退し、果実のような甘さ、花のような立ち香、麦芽を思わせる温かい香ばしさが前に出てきます。湯気に顔を近づけたときの印象が大きく変わるのは、この変化のためです。

しかも香りは、酸化率の数字だけで決まるものではありません。萎凋の長さ、揉捻の強さ、乾燥の入れ方が少し違うだけで、同じ紅茶でも蜜のように丸くも、すっと涼しい花香にも仕上がります。化学反応でありながら、最後は人の判断が味を整える工程です。

オーソドックス製法とCTC製法

紅茶の個性は酸化の有無だけでなく、葉をどう壊し、どう形づくるかでも大きく変わります。全葉の表情を残しながら仕上げる「オーソドックス製法」は香りの重なりを引き出し、機械的に細かく加工する「CTC製法」は、濃く安定した抽出を得意とします。

オーソドックス製法

伝統的な「オーソドックス製法」は、茶葉の形をできるだけ保ちながら、萎凋、揉捻、酸化発酵、乾燥、等級分けへと進む流れです。小規模生産では手で揉むこともあり、機械を使う場合でも葉の柔らかさや含水量を見ながら圧力を調整します。そのため、花香、果実香、蜜のような甘味など、層のある風味が出やすいのが特徴です。

葉が比較的大きく残るので、湯を注いだときの開き方にもゆとりがあります。一煎目は立ち香、二煎目は甘味、冷めてからは渋味の輪郭というように、時間とともに表情が移りやすいのも魅力です。ストレートで香りの違いを味わいたいときに向く製法と言えます。

CTC製法

「CTC」は Cut, Tear, Curl の略で、茶葉を切る、裂く、丸める工程を連続的に行う機械製法です。葉を細かく均一に加工するため、短時間で色も味も出やすく、毎回安定した濃度で抽出できます。ミルクティーやティーバッグ向けの紅茶に多く、アッサムやケニアの大規模生産で広く使われています。

CTC製法の紅茶は、湯を注いだ直後から赤みの強い水色が立ちやすく、渋味とボディがはっきり出る傾向があります。繊細な葉姿や余韻の細かな移ろいよりも、濃さ、力強さ、再現性を優先した設計です。朝の一杯をしっかり目覚める味にしたいときや、ミルクに負けない紅茶を選びたいときに相性がよい方法です。

項目 オーソドックス製法 CTC製法
主な流れ 萎凋 → 揉捻 → 酸化発酵 → 乾燥 → 等級分け 萎凋後に機械で Cut / Tear / Curl → 酸化発酵 → 乾燥
茶葉の形 全葉や大きめの砕葉が残りやすい 細かく均一な粒状になりやすい
味の傾向 香りに奥行きがあり、複雑で繊細 濃く、力強く、安定して抽出しやすい
向く飲み方 ストレート、香りの飲み比べ ティーバッグ、ミルクティー、アイスティー

葉の形は抽出にも影響する

茶葉が大きいオーソドックス製法では、湯の中で成分が段階的にほどけるため、香りと味の出方にグラデーションが生まれます。反対にCTC製法は表面積が大きく、短時間で一気に成分が出やすいので、忙しい朝でもしっかりした一杯を作りやすくなります。どちらが優れているかではなく、求める飲み心地に合うかどうかの違いです。

紅茶全体の特徴をつかむなら発酵茶(紅茶)の記事も参考になります。製法を知ってから飲むと、同じ紅茶でも「香りを追う一杯」なのか「濃さを楽しむ一杯」なのかが見えやすくなります。

お茶の種類と酸化レベルの関係

お茶の分類を大きく分ける目印のひとつが、茶葉をどこまで酸化させるかです。酸化をすぐ止めれば青くみずみずしい味が残り、途中で止めれば花香や焙煎香との重なりが生まれ、最後まで進めれば紅茶らしい赤みと厚みが立ちます。製法の違いは、そのままカップの個性になります。

茶種 酸化レベル 水色の傾向 味わいの印象
緑茶 0% 淡い緑色〜黄色 青さ、旨味、清い渋味
白茶 ごくわずか 淡い金色 やわらかく、花やはちみつのような甘味
黄茶 わずか 明るい黄金色 角が少なく、穀物のような丸み
烏龍茶 15〜85% 金色〜琥珀色 花香から焙煎香まで幅が広い
紅茶 ほぼ100% 濃い琥珀色〜赤褐色 コク、渋味、果実香、麦芽香

緑茶と白茶

緑茶は、摘採後すぐに蒸す、または釜炒りにすることで酵素を失活させ、酸化をほぼ0%で止めます。そのため、海苔や若葉のような青い香り、だしのような旨味、みずみずしい清さが残りやすくなります。生葉に近い形で残るカテキンの印象も、緑茶らしい渋味を支える要素です。

白茶は強く揉まず、軽い萎凋と乾燥を中心に作るため、酸化は最小限にとどまります。緑茶ほど青くはなく、うっすら金色で、乾いた花や干し草、はちみつを思わせる穏やかな甘味が前に出ます。同じ「酸化が少ないお茶」でも、早く熱を入れる緑茶と、静かに水分を抜く白茶では、舌に触れたときのやわらかさがかなり違います。

黄茶と烏龍茶

黄茶は軽い酸化のあとに「悶黄」と呼ばれる工程で葉をやさしく包み、青さをなじませることで、緑茶より丸く、白茶より穀物香のある味に整えます。水色は明るい黄金色で、渋味が前に出にくいのが特徴です。酸化をほんの少しだけ許すことで、角の取れたやわらかさが生まれます。

烏龍茶は15〜85%と幅が広く、軽発酵では蘭の花のような香り、重発酵では熟した果実や焙煎の甘香が現れます。つまり烏龍茶は、緑茶と紅茶の中間というより、酸化をどこで止めるかを積極的に設計した茶種です。揺青や静置を繰り返しながら香りを立ち上げる工程に、その個性がよく表れます。

紅茶はなぜ「ほぼ100%」まで進めるのか

紅茶は酸化をほぼ最後まで進めることで、赤褐色の水色、果実や蜜を思わせる甘い香り、しっかりしたコクを引き出します。ここでの「100%」は、茶葉が酸化できる範囲を十分に使い切る、という実務的な表現です。焦がすことではなく、酵素反応の山を見極めて止めることが重要になります。

そのため紅茶づくりでは、葉の色が赤銅色へ変わる様子や、青い匂いが抜けて甘い香りが立ってくる瞬間を見逃せません。発酵室での数分の差が、のどごしの軽さにも、ミルクに負けない力強さにもつながります。まさに見極めどころ。製法の違いを知ると、同じ紅茶でも産地ごとの個性がぐっと読み取りやすくなります。

数字は目安であって境界線ではない

ただし、0%、15%、100%という数字は法律の線引きというより、味の方向をつかむための目安です。たとえば重発酵の烏龍茶は、軽めの紅茶に近い琥珀色と熟香を見せることがありますし、白茶でも萎凋が深ければ思いのほか甘い余韻が長く残ります。酸化レベルは連続した帯のようなものです。

この連続性を知っておくと、同じ茶樹からどうしてここまで違うお茶が生まれるのかが見えてきます。不発酵茶の流れは不発酵茶(緑茶)の製造工程、半発酵茶の個性は烏龍茶の記事もあわせてご覧ください。工程表を知ってから飲むと、湯気の中の変化まで少し細かく感じ取れるようになります。

私たちが紅茶を選ぶときに面白いと感じるのは、酸化率の数字そのものより、その数字がどんな色、香り、口当たりとして現れているかです。茶葉の作り手がどこで止め、どこを残したのかを意識して一杯を飲むと、同じ紅茶でも見える景色が少し深くなります。

よくある質問

紅茶でいう発酵は、微生物による発酵と何が違いますか?

紅茶の発酵は、茶葉にもともとあるポリフェノールオキシダーゼが酸素と反応する酸化です。味噌やヨーグルトのように菌が主役の発酵とは別物で、後発酵茶とは仕組みが異なります。

萎凋ではなぜ茶葉をしおれさせるのですか?

萎凋は生葉の水分を均一に抜き、揉捻で砕けないしなやかさを作る工程です。現在は萎凋槽に温風を通す人工萎凋が中心で、葉の状態を整え、香りの土台にもなります。

揉捻と玉解きは味にどう関わりますか?

揉捻で細胞壁が壊れると、酵素や精油が空気に触れて酸化が始まります。玉解機で塊をほぐし、20〜30分ごとに空気に触れやすくすると、発酵のむらを抑えられます。

発酵室ではどんな条件で紅茶らしさが生まれますか?

室温25〜26度、湿度90%の発酵室で、茶葉を4〜5cmほどに広げて2〜3時間置きます。緑色が赤銅色へ変わり、果実や麦芽を思わせる香りが出ます。

製造の少しの差で品質や風味は変わりますか?

変わります。揉捻が不均一だと酸化にむらが出て、早く止めると青く薄い味、遅すぎると香りが重く水色も黒っぽくなりやすいです。作り手は色と香りを見て判断します。