June 14, 2020
日本茶の品種|やぶきた

やぶきたという名称を聞いたことがないあなたでも、知らないうちに必ず飲んでいるお茶。それが日本一生産されている緑茶の品種、やぶきたです。
この記事では日本で最もメジャーなお茶の品種、やぶきたをご紹介します。

やぶきたは緑茶のスタンダード

日本のお茶には100種類以上の品種がありますが、国内で作られる緑茶の80%近くはやぶきたです。。地域によってはそのシェアはなんと90%にものぼります。

もちろん同じ品種でも栽培する土地、育て方、加工法などで多少味が変わるので、「同じ品種=全く同じ味」というわけではありません。

やぶきたの特徴

ここまでやぶきたが日本中で栽培されるようになった理由はやぶきたの特徴にあります。

品質の高さ

やぶきたは非常に品質が良いことが有名です。特に煎茶としての品質は「極めて優れている」と評価されています。

味は渋み、旨味、甘み、コクなど総合してバランスが良く、万人に好かれる味わいです。

育てやすい

品質の良いやぶきたですが、実はとても育てやすい品種です。
広域適応性品種なので栽培地域を選ばず全国どこでも栽培することができます。

また寒さにも強く、寒さで葉の色が変わったり、枯れたりする凍害を受けにくいのも強み。

安定した品質

今でこそお茶は挿し木で育てるのが普通になっていますが、昔は種を植えて1から育てていました。

種から育てることで、育て方などによって品質にばらつきが出てしまい、茶農家が頭を抱えていたところに登場したのが、安定して高品質のお茶が育つやぶきたでした。

お茶は収穫まで5年から8年、植え替えは30年に1度程度とされています。

なので品種選びは茶園の運命を左右する大事な作業。安定して高品質なお茶が採れるやぶきたに人気が集まったのです。

収量が多い

やぶきたはもともと収量が多い品種なうえ、凍霜害を受けにくい時期に萌芽(お茶の葉から新しい芽がでること。萌芽が出て1ヶ月ほどで一番茶を摘む)するので、他の品種に比べ、たくさんの収量を望むことができます。

育てやすく、品質も高くて、たくさん収穫できる。それがやぶきたの特徴であり、ここまで日本中に広まった理由です。

やぶきたの歴史

やぶきたの歴史は1908年(明治41年)に静岡で発見されたことで始まります。

やぶきたとやぶみなみ

当時お茶の研究家だった杉山彦三郎は、静岡県静岡市で竹やぶを開拓して茶園を作り、お茶に関する様々な研究を進めていました。

ある時、その茶園で優良な茶の木、2本が選抜されました。

選ばれた2本のうち、竹やぶ側に植えられていた茶の木が「やぶきた」と名付けられ、竹やぶの南側に植えられていた茶の木は「やぶみなみ」と名付けられました。

観察と実験を続けた結果、やぶみなみよりも優良だったやぶきた一本に絞り、そこから品種改良を重ねて出来たのが、やぶきたです。

一気に広がった昭和時代

やぶきたはすぐに評価されたわけではありません。

杉山彦三郎の死後10年以上が経った戦後にやっと高い評価がつきはじめ、静岡県の奨励品種に指定されたり、農林水産省の登録品種になったりしたことで、一気に全国に広まりました。昭和47年には品種茶園の88%がやぶきたとなりました。

現在は静岡の天然記念物に

100年以上前に発見され、緑茶の歴史を作ったやぶきたの母樹は実は今も存在し、元気に青々とした葉をつけています。

静岡県の天然記念物に指定されたやぶきたの母樹は樹齢110年を超える老木となり、現在は地元の人やお茶好きの観光客などがこの母樹を見に集まっています。