目次

お茶を淹れる際に味を変える要因はいくつもあります。大きくお茶の味を左右する要因は以下のものが挙げられます。

  • 茶葉の量
  • お湯の温度
  • お湯の量
  • 抽出時間
  • 急須の素材

中でも、最もお茶の味を左右するのがお湯の温度です。

せっかくの美味しい茶葉であっても、淹れる温度によって美味しくも台無しにもなるのがお茶の奥深さですし、お茶と温度の関係を知っていれば、一つのお茶をいろんな方法で楽しむ事ができます。

お茶に最適な温度って?

お茶を淹れるベストな温度は、お茶の種類や品種によって変わりますし、人の好みによっても変わります。お茶の種類や品種が変われば、成分や味わいが変わりますし、温度によってある程度味わいをコントロールすることもできるためです。

例えば玉露は50〜60度で抽出して、旨味や甘味のみを十分に引き出す淹れ方を、紅茶烏龍茶は100度に近い沸騰したお湯を使い、お茶の渋味や香り引き出すように淹れます。

旨味がたっぷり含まれたお茶なのか、バランスの良い渋味が持ち味のお茶なのか、お茶によって「どう飲みたいのか」が分かれば、自ずとお茶の温度も決まってくるのです。

お茶ごとに最適な温度をまとめると以下のようになります。

  • 煎茶:40〜80℃
  • 紅茶:90〜100℃
  • 烏龍茶:90〜100℃
  • ほうじ茶:90〜100℃

お茶と温度の関係

紅茶や烏龍茶と煎茶では、茶葉に含まれる成分が大きく違うため、淹れ方が少し変わるのですが、抑えるべき基本はこの2点です。

  • 旨味・甘味は低温の方でも抽出されやすい
  • 苦味・渋味は高温だと大量に抽出される

簡潔にまとめると、低温なら甘味や旨味の引き立つお茶に、高温なら苦味や渋味が強いお茶になります。

例えば煎茶であれば、温度ごとに以下のような使い分けができます。

  • 60度:旨味・甘味をじっくり味わいたい時
  • 70度:苦味・渋味のポテンシャルを引き出したい時
  • 80度:しっかりと渋味を感じたい時やお茶のカフェインを摂りたい時

これは、温度によってお茶の味を構成する成分の出方が変わるためです。

お茶の成分と温度による抽出量の違い

続いて、お茶の味を構成する成分の種類と、それらの成分の抽出が温度ごとにどう変わるのかを解説します。

お茶の旨味成分

お茶の旨味を構成する成分は、アミノ酸です。

テアニン、アスパラギン酸、グルタミン酸 etc...茶葉には15種ほどの様々なアミノ酸が含まれており、そのアミノ酸の中でも50%を占めるのが「テアニン」です。

温度と時間によるテアニンの抽出量の変化
テアニンの抽出量

*参考文献 : 大森正司『お茶の科学 -「色・香り・味」を生み出す茶葉のひみつ』講談社, 2017

このグラフは温度ごとに、テアニンがどれくらい抽出されるのかを表したグラフです。

グラフを見ると、テアニンは時間をかける事によって低温でも抽出がされていることがわかります。これはテアニン以外のアミノ酸でも同じことが言えるので、玉露のように50〜60度で淹れる場合はもちろんのこと、水出し・氷出しの場合でも、時間をかけて抽出することで、しっかりと旨味を引き出す事ができます。

お茶の苦味・渋味成分

お茶の苦味成分は、カテキンカフェインから構成されていまます。

温度と時間によるカテキンの抽出量の変化
カテキンの抽出量
温度と時間によるカフェインの抽出量の変化
カフェインの抽出量

先ほどのテアニンのグラフと比べると、温度による抽出量の違いが大きいことがわかります。カテキン・カフェインは低温ではあまり抽出が進まず、高温だと急速に抽出が進むのです。

80度を超えたあたりから溶出量が増えるので、それ以上の高温で淹れたお茶は、苦味や渋味がアミノ酸の持つ旨味を上回り、苦味・渋味の際立ったお茶になります。

逆に低温や水出しの場合、時間をかけても苦味や渋味が出にくいため、旨味や甘味のみをしっかりと感じることができるお茶になるのです。

紅茶や烏龍茶は高温で淹れる?

上記の話は全てのお茶について言えることですが、温度に注意を払うのはほとんどの場合煎茶を淹れる時のみです。

紅茶や烏龍茶は基本的に、沸騰したお茶を使います。それは、紅茶や烏龍茶が、煎茶に比べてアミノ酸の含有量が少なく、香りや渋味を楽しむお茶だからです。揮発性の香気成分も高温で淹れた方が出やすいので、高温で淹れる方が香りや味わいを楽しむことができるのです。

お茶と最適な温度の関係

では、ここまでの話を踏まえて、もう一度「お茶を淹れるベストな温度」について考えてみましょう。

お茶を買うと、パッケージなどに淹れ方が書いてあるものがあります。もちろん、その通りにお茶を淹れても美味しいのですが、ここまでの話を知っているあなたなら、自分の好みにお茶を淹れることもできるはずです。

スッキリとしたお茶が飲みたいのであれば、『あさつゆ』のような品種を高温で淹れてあげることで苦味や渋味が強く出た、甘みの抑えられたキレのあるお茶を淹れる。

お客さんに出すお茶はとことん旨味を追求して、50度くらいまでゆっくりお湯を冷ましてから淹れる。

茶葉やシーンに合わせて自分の好きに淹れることができるのも、お茶の楽しみ方の一つです。

FAR EAST TEA COMPANYで販売している茶葉は、それぞれの商品ページにオススメの飲み方を紹介しています。是非そちらも参考にしながら、ベストな飲み方を探してみてください。

温度がお茶の味を変える!

温度を変えることによって、お茶の味わいもガラッと変わります。是非普段から飲むお茶も、今日の話を思い出しながらいつもと違う飲み方をしてみて、お茶の色んな味わいを楽しんでみてください。

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2023年, 1月 09日
タグ: HOW TO BREW