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お茶は、品種・栽培方法・製造工程などの違いによって、その味や香りもさまざまです。
この記事では、玉露と間違えられやすい「かぶせ茶」をご紹介します。
かぶせ茶って?
かぶせ茶は新芽の育成期間中に覆いをして太陽光を遮る「被覆栽培」で作られたお茶で「冠茶」とも書きます。 同じく被覆栽培で作られる玉露と間違えられることがありますが、玉露ではありません。
玉露とかぶせ茶の大きな違いは被覆期間で、玉露が20日前後被覆することに対して、かぶせ茶の被覆期間は1週間前後。
そのためかぶせ茶は「煎茶と玉露の中間に位置するお茶」と表現されることが多いです。
かぶせ茶の特徴
かぶせ茶は煎茶と玉露の長所を合わせ持つお茶です。
玉露ほど旨味やコクは強くありませんが、苦味が少なく煎茶よりも甘味・旨味があり、まろやかな味わいで、香りも豊かです。茶葉の色も煎茶よりも鮮やかです。
玉露に比べると価格も下がるのでお手軽に高級茶の風味を味わえるのもかぶせ茶のいいところ。
またかぶせ茶はお湯の温度や蒸らし方によって味わいが変わります。低温でじっくり抽出すると玉露のような甘味・コク・旨味が強くなり、熱湯でさっと抽出すると煎茶のような爽やかな味わいになり、抽出温度で味を調節することができるのです。
かぶせ茶の定義
かぶせ茶は摘採前に、わらやむしろ寒冷紗(かんれいしゃ)などを使って茶葉を覆って日光を遮断する被覆栽培で作られたお茶のことです。
かぶせ茶の被覆栽培は玉露に比べると簡易で、被覆期間は1週間前後、遮光率も50%前後ほどです。
かぶせ茶の成分
通常のお茶に含まれているビタミン・タンニン(カテキン)・カフェイン・カリウムなどはもちろんのこと、玉露ほどではありませんが、旨味のもとになるテアニンなどのアミノ酸が豊富に含まれています。
また、日向を遮断することでテアニンがカテキンに変化するのを防ぐことができるため、通常の煎茶と比べてカテキンの含有量が少ないのが特徴です。
かぶせ茶の製造工程
かぶせ茶の製造工程は煎茶などと基本的には同じで、違いは栽培工程にあります。
何度か触れていますが、かぶせ茶は被覆栽培という栽培方法で育てます。
かぶせ茶の産地
かぶせ茶は、福岡県・鹿児島県・奈良県・京都府・静岡県など日本各地のお茶の産地で生産されていますが、特に盛んなのが三重県で、その生産量は日本全体のかぶせ茶の3分の1以上を占めています。
三重県のお茶は伊勢茶と呼ばれており、特に四日市市や亀山市では二番茶までしか摘まないため、高品質なかぶせ茶に仕上がります。
かぶせ茶の飲み方
煎茶を淹れる最適な温度は80度前後ですが、玉露の場合は60度前後。
煎茶と同様、低温で抽出することで旨味だけを楽しむことができます。