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近年、その人気がグングンと高まっている緑茶用品種である”つゆひかり”。

あらゆる面で優秀な”つゆひかり”についてご紹介いたします。

”つゆひかり”の特徴

”あさつゆ”と”静7132”を親に持つ、静岡の星

天然玉露」とも呼ばれ、旨味が豊かな”あさつゆ”と、桜葉のような香りが特徴的な”静7132”を親にもつ”つゆひかり”は、まさに両者のいいとこ取りを実現したハイブリッド品種。

一般的に華やかな香りを持つ品種は、苦渋味が強い傾向にあるのですが、”つゆひかり”はその定説を覆し、旨味と香りを両立させた超優秀な品種なんです!

静岡県で生まれたこの品種は、新たな緑茶の1ページとして生産者の期待を背負い、2001年には県の奨励品種にも採用され、静岡県内で大きく広がりました。

その味わいが評価され、今では全国的に人気の高い、まさに日本茶の未来を担う品種です。

煎茶だけでなく紅茶にも

その香りを生かして、”つゆひかり”は煎茶だけでなく、釜炒り茶半発酵茶紅茶に加工されることもあります。

「萎凋」のプロセスを経ることで、華やかな香りが引き出され、ほのかな甘味を感じるお茶に仕上がります。

元来苦渋味が少ない品種なので、紅茶に加工しても渋味が薄く、すっきりと飲みやすい味わいのものが多く見られます。

高い耐病性と耐寒性

”つゆひかり”は病気や害虫、さらには寒さにも強く、日本中のあらゆる茶産地に適応し得る品種です。

寒さに強いので、山間部や北部でも作ることができ、その育てやすさと味わいの優秀さから、採用する生産者が非常に多い品種なんです。

以上のように、どこを取っても長所しか見つからない”つゆひかり”ですが、その味わいはどのようなものなのでしょうか?

”つゆひかり”の味わい

育て方によって味わいが大きく異なる

お茶の味わいは、その育て方や加工法によって大きく変化します。特に旨味と香り、2つの個性を持つ”つゆひかり”は、そのどちらの特性を伸ばすか、という生産者のコンセプトが分かれる品種でもあり、人によって大きく味わいが違うのが特徴的です。

①旨味豊かな滋味深い煎茶

その旨味を最大限に引き出すため、被せや深蒸しで作られた”つゆひかり”は、実に旨味が豊かな煎茶に仕上がります。

“やぶきた”と比べると、清涼感のあるすっきりした香りを持つため、旨味は強いのにすっきりと飲めるお茶になるんです。

明るく綺麗な水色のお茶なので、被せ深蒸しにすると、明るい濃緑の美しい水色になることも魅力の一つです。

②甘やかな桜の香りの煎茶

「クマリン」という桜葉を思わせる華やかな香気成分を持つ”つゆひかり”。その香りを生かして作られた煎茶は、透き通るような旨味の中に、ふわっと広がる桜の甘い香りが魅力的です。

山間部では、新芽が柔らかく育つため、香りを活かしやすい浅蒸しで作られる場合が多く、この香りのタイプの”つゆひかり”が多い傾向にあります。

以上のように、どの側面を切り取っても優秀なこの”つゆひかり”。お茶が好きな方には絶対に一度味わってみてほしいお茶です。

2023年, 9月 20日