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根強い人気を持つ優秀な緑茶用品種

”あさつゆ”は、”やぶきた”と同時期に登録された、非常に古い品種でありながら、現在においても根強い人気のある品種です。年間何百種類ものお茶を飲む私たちも、”あさつゆ”と聞くと期待感がグッと高まるほど、安定感のある美味しい品種です。

”あさつゆ”の特徴

通称「天然玉露」

”あさつゆ”はその強い旨味から、「天然玉露」と喩えられます。「玉露」とは20日以上の被覆栽培を経て作られる、緑茶の中でも最高級のお茶のことで、通常の煎茶にはない、格別に濃厚な旨味が特徴的なお茶。

通常手間暇をかけて作られるこの玉露と同じくらいの旨味が、ただ自然に作るだけで実現することから付いた異名で、それだけ強い旨味を持った品種であることがよく分かります。

寒さに弱い早生品種

”あさつゆ”は”やぶきた”と比べて7日ほど早く摘むことができる早生品種で、摘採時期を広く取ることができるため、農作業の負荷軽減にも役立つ品種です。

ただし、その分寒い時期に新芽が出てしまうため、霜の被害を受けやすく、寒冷な地域や山間部にはあまり向いていません。

耐寒性や耐病性も低いため、九州や静岡県の一部の地域でしか作られておらず、人気はあるものの希少な品種なんです。

そんな、温暖な地域の特権とも言えるような”あさつゆ”ですが、その味わいはどのようなものなのでしょうか?

”あさつゆ”の味わい

「天然玉露」と喩えられるだけあり、やはり”あさつゆ”の一番の特徴はその旨味にあります。

滋味深く優しい煎茶

元来テアニン(アミノ酸)の含有量が多く、渋味成分であるカテキンが少ない品種なので、旨味をしっかりを感じられるまろやかな味わいが魅力的です。

その旨味を活かすために、被せや深蒸しで作る場合もあり、その場合は香りが弱まってしまうため、強めに火を入れることで火香を付け、インパクトのある味わいに仕上げる”あさつゆ”も非常に美味しいんです。

香りにもクセがなく、穀物のような柔らかい甘やかな香りが万人に愛されています。

以上のように、”あさつゆ”は「天然玉露」と呼ばれるだけのポテンシャルを持った品種です。もし”あさつゆ”に出会うことがあれば、ぜひ飲んでみてください。

2023年, 9月 20日