お茶を淹れた後の出がらしの茶葉、そのまま捨てていませんか?
実は茶葉は美味しく飲めるだけでなく、そのあと食べることもできるんです。
ここでは溶け残った豊富な栄養素を丸ごと摂ることができる「お茶のおひたし」の作り方と、出がらしを使った他のレシピもあわせてご紹介します。
出がらしのお茶は食べられる?

出がらしの茶葉は食べられると聞いて驚かれるかもしれませんが、茶産地である京都府や静岡県ではよく食べられており、珍しいことではありません。料亭や割烹では、玉露の出がらしを小鉢に仕立てて出す店もあるほどです。
出がらしといっても味や香りが全て出尽くしているわけではないので、口に入れた瞬間にふわっとお茶の味と香りが広がります。特に玉露の出がらしは旨味の元となるテアニンが豊富に残っており、苦味も少なく、そのまま食べても驚くほど美味しいのです。
煎茶の中でも深蒸し煎茶は蒸し時間が長い分、茶葉が柔らかく食感がなめらかで食べやすいのが特徴。一般的な煎茶でも十分美味しく食べられますが、初めての方は上級煎茶や玉露から試してみるのがおすすめです。逆にほうじ茶の出がらしは焙煎で茶葉が硬くなっているため、おひたしには不向きです。
なぜ出がらしに栄養が残っているのか
茶葉には栄養素が豊富に含まれていますが、その栄養素は水に溶ける「水溶性」と油に溶ける「脂溶性」の2つに分けられます。お茶の栄養素の約7割は脂溶性で、お湯には溶け出しません。
水溶性の栄養素であるカテキン・カフェイン・テアニン・ビタミンCも、その全てがお湯に溶け出すわけではなく、お茶の豊富な栄養素の7割以上が茶葉に残ったままの状態なのです。
茶葉に含まれる脂溶性の栄養素はβカロチン・ビタミンA・ビタミンE・クロロフィル・食物繊維など。特に血行を改善してくれるといわれているビタミンEは、ほうれん草の約25倍も含まれています。
また、食物繊維は腸内環境を整える働きがあり、お茶を飲むだけでは摂取できない栄養素の代表格です。茶葉を直接食べることで、水に溶けずに残ったこれらの栄養分を丸ごと摂ることができるのです。一杯のお茶で水溶性の栄養を、出がらしを食べることで脂溶性の栄養を。茶葉の恵みを余すことなくいただける、理にかなった食べ方といえます。
お茶のおひたしの作り方

近年は健康志向ブームで出がらしの茶葉を使ったレシピが数多く存在しますが、今回はその中でも特に簡単な「お茶のおひたし」の作り方をご紹介しましょう。
材料

- 出がらしの茶葉:1〜2人分(急須1回分が目安)
- 醤油:小さじ1/2程度(お好みで加減)
- 鰹節:ひとつまみ(お好みで)
- お好みの薬味:ごま・すりおろし生姜・唐辛子・塩など
手順
①急須から取り出した茶葉をキッチンペーパーなどに包んで水分を軽く取ります。完全に乾かす必要はありませんが、水分が多すぎると醤油が薄まってしまうので、しっかりめに絞りましょう。

②茶葉を小皿に盛り、醤油を数滴たらします。鰹節をふわっとのせれば完成です。鰹節の旨味がお茶の風味と合わさって、シンプルながら奥行きのある味わいに。

ご飯のお供に添えると、醤油の塩気とお茶のほのかな苦味が食欲をそそります。小さな一皿ですが、お茶の時間をもう一歩先まで楽しめる副菜です。
味つけのアレンジ
醤油以外にも、ポン酢やめんつゆで作っても美味しくいただけます。ごまを振れば香ばしさが加わり、七味唐辛子を少々で大人の味わいに。すりおろし生姜を添えると、さわやかな後味で箸が進みます。ごま油を数滴たらすと中華風のニュアンスも出せるので、その日の気分で味を変えてみてください。
苦味を抑えるコツ
苦味が気になる方は、2〜3煎淹れた後の茶葉を使うのがおすすめ。1煎目でカフェインやカテキンの一部がお湯に溶け出しているため、苦味がぐっと減ってさっぱりとした味わいになります。また、玉露の出がらしは旨味が強く苦味が少ないため、初めて食べる方にも向いています。
おひたし以外のレシピ
出がらしの活用法はおひたしだけではありません。いくつかのアレンジレシピをご紹介します。
天ぷら
出がらしの水気をしっかり切り、薄く衣をつけて170〜180℃の油で揚げます。サクッとした衣の中からお茶の香りがふわっと広がる一品。玉露や上級煎茶の大きめの茶葉が向いています。天つゆよりも塩で食べると、お茶の風味がストレートに味わえます。静岡県ではお茶の新芽の天ぷらが春の味覚として親しまれていますが、出がらしでも十分に楽しめます。
ふりかけ
出がらしをフライパンで弱火にかけ、焦がさないように混ぜながら5〜7分ほど乾煎りします。パラパラになったら、ちりめんじゃこ・ごま・塩を加えて混ぜれば完成。密閉容器に入れれば冷蔵庫で3〜4日ほど持ちます。煎茶でもほうじ茶でも作れますが、ほうじ茶のふりかけは焙煎の香ばしさが加わって独特の味わいに。
チャーハン
刻んだ出がらしを卵やネギと一緒に炒めるだけ。お茶の風味はクセが少ないので、いつものチャーハンに自然になじみます。深蒸し煎茶の柔らかい茶葉が特に使いやすく、ご飯とよくからみます。仕上げに少量の醤油をまわしかけると、お茶の風味が引き立ちます。
お茶漬け
ご飯の上に出がらしをのせ、熱い煎茶を注ぐ「本物のお茶漬け」。茶葉から溶け出す最後の旨味と、茶葉そのものの食感を同時に楽しめます。鮭や梅干し、あられなどお好みの具材をのせてどうぞ。市販のお茶漬けの素では味わえない、繊細なお茶の風味が広がります。
お菓子の生地に
クッキーやシフォンケーキの生地に刻んだ出がらしを混ぜ込むと、ほんのり和風の味わいに。紅茶のシフォンケーキが人気ですが、煎茶のシフォンケーキもやさしい風味で一度試す価値があります。パウンドケーキやマフィンの生地にも合います。
出がらしの活用法はまだまだあります。掃除や消臭、美容や園芸での使い方については「お茶の出がらしの使い道」で詳しくご紹介しています。
農家さんが丹精込めて育てた茶葉は、飲んで終わりではもったいない。一杯のお茶を淹れたら、その茶葉をもう一度手に取ってみてください。小皿に盛って、醤油を数滴。お茶のもうひとつの楽しみ方が、そこにあります。
