Far East Tea Company 編集チーム 約 10 分
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煎茶100mLには、ビタミンCが約6mg含まれています。日本の食事摂取基準(成人の推奨量100mg/日)の約6%にあたる量です。一食品としては控えめな量ですが、毎日2〜3杯を習慣にしている方であれば、積み重ねはそれなりのものになります。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のビタミンC推奨量は1日100mgです。その物差しで見ると、煎茶一杯は不足を一気に埋める存在ではありません。ただ、朝と午後に一日数杯お茶を飲む習慣があれば、食事からの摂取に着実にプラスになります。主役は果物や野菜、緑茶は日常の底上げ。実態に近い捉え方といえます。

一杯を120〜150mLで淹れるなら、ビタミンCは単純計算で7〜9mgほどになります。数字だけ見れば控えめでも、朝食後、昼食後、午後の一服に無理なく重ねやすい量です。緑茶の強みは、特別な準備をしなくても毎日の中に入りやすいところにあります。

お茶のビタミンを考えるときに大切なのは、「水に溶け出すもの」と「茶殻に残るもの」の違いです。ビタミンCやB2といった水溶性ビタミンは湯に溶けて一杯に届きます。一方、ビタミンE・A(ベータカロテン)・Kといった脂溶性ビタミンは茶葉に豊富に含まれていますが、お湯にはほとんど溶けません。例外は抹茶です。茶葉を丸ごと粉にして飲む抹茶なら、水溶性・脂溶性を問わず、一杯でまとめて摂取できます。

ビタミン 煎茶100mLあたり 備考
ビタミンC 約6mg 水溶性。日光合成で増加するため、遮光栽培の玉露・抹茶より煎茶に多い。酸化が進むと減少
ビタミンB2(リボフラビン) 約0.05mg 水溶性。少量だが緑茶全般に安定して含まれる
ビタミンE(トコフェロール) 水出しでは微量 脂溶性。茶葉に多く含まれるが湯にはほとんど溶けない。抹茶で摂取可能
ビタミンA(ベータカロテン) 水出しでは微量 脂溶性。茶葉の鮮やかな緑色の元。抹茶・茶葉を直接食べることで摂取
ビタミンK 水出しでは微量 脂溶性。主に抹茶飲用者に関係する

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)、文部科学省

ここで示している値は、茶葉そのものではなく、日本食品標準成分表(八訂)で測定された煎茶の「浸出液」の数値です。つまり、私たちが実際に飲む一杯に近い値ですが、抽出条件で少し動きます。水出しでは水溶性ビタミンの移行率が湯出しとやや異なり、低温抽出に関する茶業研究所の調査では、条件によっておおむね60〜90%程度という数値が報告されています。加熱による分解を避けやすいぶん、水出し煎茶でもビタミンCはかなり保たれます。

水溶性ビタミン — 毎日の一杯で届くもの

水溶性ビタミンの中心はビタミンCです。煎茶100mLあたり約6mg。日光を浴びることでビタミンCの合成が促進されるため、露天栽培の煎茶が最も多く、遮光栽培の玉露や抹茶はやや少なくなります。これは被覆栽培がテアニンや葉緑素を増やす一方で、光合成を抑えてビタミンC合成を減らすためです。

なお、ビタミンCとニトロソアミン(発がん性が指摘される化合物)の関係について、過去に研究が行われてきました。食事中のビタミンCがニトロソアミンの生成を抑制する可能性を示す実験的な報告はありますが、ヒトへの影響についてはまだ研究段階にあり、確立した結論はありません。緑茶の成分概要では、カテキンをはじめとする他の成分もあわせて確認できます。

ビタミンB2は一杯あたり約0.05mgと少量ですが、毎日飲む方にとっては長期的な積み重ねとして機能します。

日本食品標準成分表(八訂)で見ると、煎茶の浸出液100mLあたり、ビタミンB1(チアミン)は微量(検出限界以下)、ナイアシンは約0.2mgです。ビタミンB2約0.05mgは先ほどのとおり。葉酸は乾燥茶葉ベースでは100gあたり約16µgですが、浸出液への移行は高くありません。緑茶はB群の主力供給源ではないものの、日々2〜3杯でわずかな上乗せにはなります。

脂溶性ビタミン — 茶殻に残る栄養

ビタミンE・A・Kは茶葉に豊富に含まれています。しかし脂溶性であるため、お湯では効率よく抽出できません。煎茶や玉露を淹れた後の茶殻には、脂溶性ビタミンのほとんどが残ったままです。

ここに抹茶の栄養学的な優位性があります。抹茶は茶葉を丸ごと挽いた粉末を水や湯に溶かして飲みます。茶殻が出ないため、水溶性・脂溶性を問わず茶葉に含まれる成分をそのまま摂取できます。同じ理由で、使用済み茶葉のおひたしのように茶葉を食べる調理法も、脂溶性ビタミンを摂る有効な方法のひとつです。

ビタミンAは「レチノール活性当量(RAE)」で見ると、煎茶の乾燥茶葉には100gあたり約1,100µg RAE(ベータカロテン当量で約13,000µg)が含まれます。抹茶1杯を2gとすると、単純計算では約22µg RAEの目安です。脂溶性ビタミンを丸ごと飲める点が抹茶の特徴ですが、これは目安であって栄養指導そのものではありません。

脂溶性ビタミンは、「飲む緑茶」と「茶葉ごと摂る緑茶」で受け取り方が大きく変わります。普段の煎茶では控えめでも、抹茶や茶葉を直接食べる方法では無視できない量になることがあります。とくにビタミンKは、抽出液だけを前提に考えるより、摂取方法まで含めて見たほうが実態に近い栄養です。

ビタミンEは茶葉の中で特に強力な抗酸化成分のひとつです。ベータカロテンは茶葉の鮮やかな緑色をつくり出す色素でもあります。ビタミンKについては、抹茶を習慣的に飲む方、とくにワルファリンなどビタミンKと相互作用する薬を服用中の方は、摂取量を自己判断で変えず必ず主治医にご相談ください。

茶種別ビタミンC比較

お茶の種類によって、一杯に届くビタミン量はかなり変わります。

茶種 ビタミンC(目安) 脂溶性ビタミン
煎茶 高め(約6mg/100mL) 茶殻に残る
玉露 浸出液では濃い(約19mg/100mL。茶葉中の含量は被覆栽培で低めだが、少量の湯に対して多めの茶葉で淹れるため浸出液濃度は高くなる) 茶殻に残る
抹茶 中程度(被覆栽培の葉) 丸ごと摂取できる
ほうじ茶 低め(焙煎で分解) 茶殻に残る
烏龍茶 少ない(酸化で分解) 茶殻に残る

抹茶を一杯2gで点てると、ビタミンCは日本食品標準成分表(八訂)の60mg/100gを当てはめて約1.2mgです。つまり、ビタミンCだけを見るなら、煎茶100mL一杯の約6mgのほうが多くなります。抹茶の栄養学的な強みは、脂溶性ビタミンを含む茶葉全体を摂れること、さらに食物繊維やカテキン量にあります。ビタミンC量だけ見れば、抹茶は煎茶に一歩譲ります。

逆に言えば、抹茶はビタミンCを取りにいく一杯というより、煎茶では届きにくい脂溶性ビタミンや葉そのものの成分を受け取る一杯です。煎茶は浸出液のビタミンC、抹茶は茶葉全体の栄養。どちらが優れているかではなく、一杯に何を求めるかで役割が自然に分かれます。

傾向として、酸化が進むほどビタミンCは減少します。製茶の酸化工程でビタミンCは徐々に分解されるため、発酵度の高い烏龍茶や紅茶では一杯に届く量はごくわずかです。ほうじ茶の場合は焙煎の熱によってビタミンCが壊れますが、脂溶性ビタミンは茶葉に残っています。

よくある疑問

緑茶はオレンジジュースよりビタミンCが多い?
いいえ。オレンジジュース100mLにはビタミンCが40〜50mg含まれますが、煎茶は約6mgです。緑茶は「ビタミンCが豊富な飲み物」として紹介されることがありますが、果物や野菜の代替にはなりません。毎日飲むことで日常的な底上げになる、という位置づけが正確です。

ほうじ茶の焙煎でビタミンは壊れる?
ビタミンCは熱に弱いため、焙煎によって大きく減少します。一方、ビタミンEやベータカロテンといった脂溶性ビタミンは茶葉に残りますが、これらはもともとほうじ茶のお湯にもほとんど溶け出しません。ほうじ茶はビタミン量という点では控えめな存在ですが、数値には表れない、ほうじ茶ならではの魅力があります。ほうじ茶の成分詳細もあわせてどうぞ。

水出し緑茶はビタミンCが多いって本当?
湯の熱で分解しにくいぶん、水出しのほうがビタミンCの保持率がよいとする報告があります。4℃前後で冷蔵しながら2〜4時間ほどかけると、水溶性ビタミンの抽出は進みます。ただし、日本食品標準成分表(八訂)の値は湯出し前提です。したがって、ここでは「数値が必ず高い」とは言わず、保持されやすい傾向として受け取るのが安全です。

ワルファリンを服用中ですが緑茶は飲んでもいい?
浸出液に移行するビタミンKは微量で、飲む緑茶だけなら影響は限られることが多いと考えられます。ただし抹茶や茶葉を食べる形で茶葉そのものを摂ると、ビタミンKが一定量に達する可能性があります。抗凝固療法中は、量を自己判断で増減せず、普段の摂取量も含めて必ず主治医に相談してください。

お茶はビタミンサプリメントではありません。それでも、毎日の習慣の中でビタミンCをはじめとした栄養を少しずつ届けてくれる飲み物です。一杯から得られるものを最大化したい方は、緑茶の健康成分の記事でカテキンや他の成分もあわせて確認してみてください。茶葉を丸ごと摂りたい方には、私たちの茶葉コレクションから抹茶を一度手に取ってみてください。

私たちからの選び方の提案

一杯でわかりやすくビタミンCを受け取りたい方には、日照下でじっくり育った煎茶をおすすめします。脂溶性ビタミンや茶葉そのものの成分までまとめて摂りたい方には、抹茶がもっとも効率的です。玉露は、少ない湯量に多めの茶葉でじっくり淹れる方式のため、浸出液が思いのほか濃密に仕上がります。日々二、三杯を習慣にすること自体が、これらの微量成分を自然に積み上げていく、いちばん素直な方法です。

参考文献

本記事の栄養データは日本食品標準成分表(八訂)をはじめとした公開資料に基づく教育目的の情報です。医療・栄養上のアドバイスではありません。特定の健康上の理由から栄養管理が必要な方は、医師または管理栄養士にご相談ください。

よくある質問

緑茶はオレンジジュースよりビタミンCが多いですか?

いいえ。100mLあたりで比べると、オレンジジュースは約40〜50mgのビタミンCを含みます。一方、淹れた煎茶では約6mgです。お茶は日々のビタミンC摂取を助けてくれますが、果物の代わりにはなりません。「ビタミンCが豊富な食品」として緑茶が紹介されることがありますが、実際に飲んだときに摂取できる量を過大評価しがちなため、この比較は重要です。

抹茶は煎茶よりビタミンが多いのですか?

抹茶のビタミンC量が煎茶を上回るとは言えません。抹茶は覆い栽培のため、日光による合成量が抑えられ、葉1g当たりのビタミンC量はむしろ少ない傾向があります。文部科学省の60mg/100gという数値を2gの抹茶1杯分に当てはめると、1杯あたり約1.2mgのビタミンCになります。これは、煎茶100mLに含まれる約6mgより少ない値です。抹茶が優れている点は、粉末状の葉をそのまま摂取するため、ビタミンE・A・Kといった脂溶性ビタミンを含む葉全体の栄養素にアクセスできることです。その強みは、より高いビタミンC量ではなく、栄養素の網羅性にあります。

ワルファリンを服用中でも緑茶を飲めますか?

淹れた緑茶、玉露でさえも、液体中のビタミンK含有量は極めて微量であるため、飲み物としての緑茶が大きな摂取源になる可能性は低いと考えられます。ただし、全葉を摂取する場合は話が変わります。抹茶や食べた茶葉は、葉ごと摂取するため、有意な量のビタミンKを含みます。ワルファリンやその他のビタミンK感受性薬を服用中の方は、自己判断で摂取量を変えないでください。日常的な緑茶の習慣も含め、必ず処方医にご相談ください。なお、栄養データは文部科学省発行「日本食品標準成分表(第8次改訂)」を参照しています。品種・栽培条件・収穫時期・淹れ方によって個々の数値は異なります。ビタミン以外の視点、カテキン・ポリフェノール・緑茶の健康特性については、関連ガイドで全体像を紹介しています。お茶はビタミン剤ではなく、そのように扱うことは本質を見誤ることになります。お茶がもたらすのは、穏やかで安定したビタミン—特にビタミンC—の流れと、一杯を特別にする風味・温もり・固有の成分です。葉そのものをより深く楽しみたい方には、抹茶が全葉栄養への直接的な道です。日光栽培の煎茶から覆い栽培の抹茶まで、場面に合った一杯が見つかる茶葉ラインアップをご覧ください。