Far East Tea Company 編集チーム 約 12 分
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夕食のあと、まだ湯気のやわらかい烏龍茶なら飲めそう。でも、夜に目が冴えないか、妊娠中でも大丈夫か、気になって検索する方は多いはずです。花香、焙煎香、ふっと残る苦味。落ち着く一杯ほど、カフェインが気になります。

先に数字を置くと、公的な目安は烏龍茶の「浸出液」(茶葉を湯で抽出した飲用状態の液体)100mLあたり20mgです。ただ、この数値は茶葉15g、90℃、650mL、0.5分という条件で測ったもの。ペットボトルの烏龍茶も、茶葉を多く使うリーフの烏龍茶も、同じ20mgで語り切れるわけではありません。

私たちが茶葉で淹れる烏龍茶を見るとき、気にしたいのは品種、発酵度、淹れ方の3つです。数字を知ると怖くなるというより、朝に岩茶、午後に高山烏龍、夜は水出しと選び分けやすくなる。ここが面白い所なんです。

烏龍茶のカフェイン量 — ひとつの数字では語れない

公的な目安は20mg/100mLですが、茶葉と淹れ方次第で一杯の量は大きく動きます。軽発酵の高山烏龍と発酵度の高い東方美人では、同じ150mLでも体感は変わります。

厚生労働省のQ&Aでは、烏龍茶の浸出液は100mLあたり20mg。抽出条件は茶葉15g、90℃のお湯650mL、0.5分です。150mLの湯のみなら約30mgほどで、コーヒーより穏やか。まずはここが基準です。

ただし、この20mgは特定条件の比較値にすぎません。Borosらの2016年研究では、市販烏龍茶の乾燥葉中カフェインは10.96〜39.71mg/gまで広がりました。Yongらが2022年に中国茶1,398検体を「HPLC」(成分を分離して量る分析法)で測った調査でも、烏龍茶の平均は約27mg/g。平均はあっても、幅が大きいのです。

つまり、同じ150mLでも急須や蓋碗でしっかり淹れた烏龍茶と、すっきり作られたペットボトルでは中身が違います。数字は入口で、実際の一杯は別の話。烏龍茶の成分の記事も合わせて読むと、この振れ幅が見えやすくなります。

なぜ品種によってこんなに違うのか

烏龍茶の差は、発酵度だけでなく芽葉の若さ、仕立て、焙煎の重なりで生まれます。発酵度15%前後の高山烏龍から85%近い東方美人まで、同じ「半発酵茶」でも性格は大きく違います。

発酵度が変えるカフェインのバランス

烏龍茶は「半発酵茶」(途中まで酸化発酵を進めて止める茶)と呼ばれますが、実際の発酵度は15%前後から85%近くまでかなり広いです。軽発酵の高山烏龍は緑茶に近い軽さで、同じ烏龍茶の中ではカフェインも穏やかに出やすい傾向があります。一方、東方美人のような重発酵タイプは紅茶に近い仕立てで、抽出されるカフェインも比較的高めになりやすい傾向があります。つまり、「烏龍茶=20mg」と一律に考えるより、品種の発酵度を確認してから淹れ方を選ぶほうが実際の摂取量をコントロールしやすいです。

もちろん、発酵度だけで決まるわけではありません。若い芽を多く使うか、茶葉をどれだけ細かく仕上げるかでも抽出量は変わります。それでも、軽発酵と重発酵で性格が変わるのは確か。烏龍茶の種類の記事を見ると、高山烏龍と東方美人が同じ烏龍茶に入る理由がよく分かります。

具体的に品種ごとの印象を見ると、高山烏龍(阿里山や梨山など台湾高地産)は花のような甘い香りが先に来て、口に含むとやわらかいとろみがあります。カフェインが穏やかに出やすいぶん、余韻まで落ち着いた味わい。岩茶(武夷山産の岩肌で育つタイプ)は焙煎の香ばしさと鉱物的な骨格が特徴で、何煎も飲み重ねると温かみと深みが増します。東方美人(台湾産・小緑葉蝉という虫が葉を噛むことで引き出されるハチミツ・桃の香り)は重発酵ならではの熟した甘さと、紅茶に近い穏やかな収れん感。品種によってこれほど香りが変わるのは、発酵度と産地の組み合わせが影響しているからです。カフェインと同じく、一種類の言葉では語りきれません。

焙煎はカフェインを減らすのか

大紅袍や岩茶は強い「焙煎」(火入れで香りを整える工程)を経るため、カフェインもかなり減りそうに感じます。けれど、焙煎で大きく変わるのは主に香りです。香ばしさ、甘い余韻、苦味の輪郭。その一方で、カフェインの減少は限定的と見るほうが実態に近いです。ほうじ茶も焙煎茶ですが、標準値では煎茶と同じ20mg/100mLです。焙煎は「カフェイン対策」ではなく、風味を引き出す工程です。

分かりやすい比較がほうじ茶でしょう。ほうじ茶も焙煎茶ですが、公的な標準値では煎茶と同じ20mg/100mLです。烏龍茶の焙煎も同じで、火入れしたから低カフェインになる、とは言い切れません。半発酵茶の製造工程の記事を読むと、焙煎が風味に効く工程だと分かります。

烏龍茶のカフェインはコーヒーより多い?緑茶・紅茶との比較

標準値では烏龍茶は20mg/100mLで、コーヒー(60mg)より少なく、紅茶(30mg)よりやや少なめです。煎茶・ほうじ茶と同水準で、カフェインが強い飲み物ではありません。

食品成分表ベースで並べると、玉露160mg、コーヒー60mg、紅茶30mg、煎茶20mg、烏龍茶20mg、ほうじ茶20mg、玄米茶10mg/100mLです。烏龍茶は中くらい。強い部類ではありません。ただし玉露だけは別格で、同じお茶でも桁が変わります。

とはいえ、体感は量だけで決まりません。烏龍茶にも含まれる「テアニン」(お茶特有のアミノ酸)とカフェインの組み合わせは、覚醒感を鋭くしすぎにくいと考えられています。Owenらの2008年試験ではL-テアニン100mgとカフェイン50mgの組み合わせで注意課題の成績が向上し、Giesbrechtらの2010年試験では97mgと40mgの組み合わせで覚醒感が上がりつつ疲労感が減りました。烏龍茶そのものを試した研究ではありませんが、お茶を飲んだときの穏やかさを考える手がかりにはなります。

さらに烏龍茶には、「OTPP」(烏龍茶特有の重合ポリフェノール)があります。筑波大学のZhangらによる2020年の試験では、烏龍茶飲料とカフェイン単体のどちらも24時間の脂肪酸化を約20%高めましたが、睡眠中は烏龍茶のほうが脂肪酸化の低下が小さく、睡眠構造も損なわれませんでした。カフェインだけでは説明しきれない所です。関連する成分の基礎はカフェインの記事テアニンの記事緑茶のカフェイン記事も参考になります。

カフェインを調整して烏龍茶を楽しむ

温度と時間を少し変えるだけで、烏龍茶のカフェインはかなり調整しやすくなります。水出しにすれば抽出量は抑えられ、煎を重ねれば二煎目以降は穏やかになります。同じ茶葉でも選択肢が広がります。

まず扱いやすいのが水出しです。低温ではカフェインの抽出が進みにくく、苦味も立ちすぎません。夜に飲みたいときや、妊娠中で量を慎重に見たいときに向いた方法です。作り方は水出し茶の淹れ方が参考になります。

次に効くのが煎を重ねること。一煎目にカフェインが出やすいため、二煎目、三煎目は相対的に軽くなります。烏龍茶は何煎も楽しめるお茶なので、午後以降は二煎目から飲むという選び方も実用的です。温度を80℃前後まで下げるのもひとつの手。香りを保ちつつ、抽出を少し穏やかにできます。

量の目安も見ておくと安心です。EFSAは健康な成人の習慣的な摂取量として1日400mgまでを安全上の目安とし、これは標準値の烏龍茶なら150mLで13杯強に当たります。就寝に近い時間帯は、EFSAが100mgの単回摂取でも睡眠に影響しうると示しているため、150mLなら3杯強がひとつの境目です。寝る2〜3時間前から控えると無難でしょう。

妊娠中はさらに慎重に。EFSAは1日200mgを目安とし、WHOも300mg/日を超える高摂取を減らすよう勧告しています。標準値の烏龍茶なら150mLで5〜6杯ほどですが、コーヒー、紅茶、チョコレートまで合算で考える必要があります。私たちなら、気になる時期は少なめの茶葉か水出し、あるいは日中の一杯に寄せます。淹れ方の基本は烏龍茶の淹れ方に詳しい。

淹れ方の組み合わせを少し整理しておきましょう。①茶葉多め・高温(95℃)・短時間(30秒)はカフェインが抽出されやすく、香りも華やか。岩茶や高山烏龍を本来の形で楽しみたい朝向き。②茶葉少なめ・中温(80〜85℃)・1〜2分は、カフェインを穏やかに抑えながら甘味が出やすい。午後のひとり時間やデスクワークの合間に。③冷水(10〜15℃)・6〜8時間の水出しは最もカフェインが少なく出て、甘味と香りが際立つ。夕食後や寝る前の一杯に向きます。煎を重ねる「多煎式」は、一煎目に出やすいカフェインを二煎目以降に分散できるため、少しずつ飲み続けるスタイルにも合います。同じ茶葉でこれだけ調整できるのが、烏龍茶の面白さです。

FETCとして烏龍茶を見ていると、「20mg」というひとつの数字では足りないと感じます。品種で変わり、発酵度で変わり、淹れ方で変わる。朝の目覚めには岩茶、午後のリラックスには高山烏龍、夜は水出し。そうやって場面に合わせて選べるのが烏龍茶の魅力です。

カフェインは避けるための数字というより、選ぶための数字です。知っていれば、烏龍茶はもっと自由になります。香りで選び、時間帯で選び、その日の体調で選ぶ。数字の先にある、暮らしの一杯です。

よくある質問

烏龍茶のカフェインは緑茶より多いですか

厚労省Q&Aが示す標準値では、烏龍茶も煎茶も100mLあたり20mgで同じです。ただし品種と淹れ方で実際の一杯は動くため、一概に「どちらが多い」とは言えません。軽発酵の高山烏龍はさっぱりした抽出で煎茶に近く、重発酵の東方美人は紅茶に近い濃さになりやすい傾向があります。玉露は例外的に160mgと桁違いに高い点にご注意ください。

就寝前に烏龍茶を飲んでも大丈夫ですか

EFSAは100mgの単回摂取でも睡眠に影響しうるとしています。標準値なら150mLの烏龍茶は約30mgで、3杯強が境目の目安です。寝る2〜3時間前から控えるか、水出しや二煎目以降に切り替えると穏やかに楽しめます。カフェインの感受性には個人差がありますので、自分のペースで調整してみてください。

妊娠中は烏龍茶を何杯まで飲めますか

EFSAは妊娠中の目安を1日200mgとしています。WHOも1日300mgを超える摂取を減らすよう勧告しています。標準値の烏龍茶なら150mLで5〜6杯ほどですが、コーヒー・紅茶・チョコレートの合算が前提です。気になる時期は茶葉を少なめに、水出しや昼の一杯に寄せると安心です。心配な場合は担当医にご相談ください。

水出し烏龍茶はカフェインが本当に少なくなりますか

低温で長時間かけて抽出する水出しは、カフェインの溶出量を抑えやすい方法です。カフェインは高温ほど溶け出しやすい性質があるため、冷水(10〜15℃)で6〜8時間かけると、同じ茶葉を熱湯で淹れるより少なめに出る傾向があります。ただし、茶葉量を多くすれば水出しでもカフェインは増えます。「水出しだから何杯でも」ではなく、茶葉量もいつもより少なめにするとより安心です。夜の一杯としてよく選ばれる方法です。高山烏龍や東方美人は水出しにすると甘味と花香が引き立ちます。

子供が烏龍茶を飲んでも大丈夫ですか

子供のカフェイン摂取に関しては、EFSAや日本の公的機関から一律の上限値は現時点では示されていません。一般的な考え方として、体重が大人より軽いぶん体重あたりの摂取量が増えやすいことが指摘されています。小さな子供に濃く淹れた烏龍茶を多量に飲ませることは避け、薄め・少量を心がけるのが無難です。ペットボトルの烏龍茶より茶葉で薄く淹れた一杯のほうが量の調整がしやすいでしょう。不安なことがあれば、かかりつけの医師にご相談ください。

この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的助言に代わるものではありません。カフェインと健康について気になることがあれば、医師や専門家にご相談ください。

参考文献

よくある質問

烏龍茶のカフェインは緑茶より多いですか?

標準値では、烏龍茶も煎茶も100mLあたり20mgで同じです。ただし、茶葉の種類、発酵度、茶葉量、湯温、抽出時間で実際の一杯は変わります。緑茶の中でも玉露は100mLあたり160mgと高いため、同じ緑茶でも差が大きい点に注意してください。

夜に烏龍茶を飲んでも大丈夫ですか?

標準的な150mLの烏龍茶なら、カフェインは約30mgが目安です。ただし濃く淹れたリーフティーではそれより多くなることがあり、EFSAは就寝前の100mg程度でも睡眠に影響する可能性を示しています。眠りが浅くなりやすい方は、寝る2〜3時間前から控えるか、水出しや二煎目以降を選ぶと調整しやすいです。

妊娠中やカフェインに敏感な人は、烏龍茶をどのくらい飲めますか?

EFSAは妊娠中のカフェイン摂取量について、1日200mgを目安にしています。標準値の烏龍茶なら150mLで約30mgですが、コーヒー、紅茶、チョコレート、濃いお茶も合算して考える必要があります。妊娠中、授乳中、持病がある方、カフェインで動悸や不眠が出やすい方は、医師にご相談ください。

水出し烏龍茶は本当にカフェインが少なくなりますか?

水出しは低温でゆっくり抽出するため、熱湯で濃く淹れるよりカフェインが出にくい傾向があります。10〜15℃の冷水で6〜8時間ほど置くと、苦味も強くなりにくく、夜の一杯にも使いやすい方法です。ただし茶葉を多く使えば水出しでもカフェインは増えるため、茶葉量も控えめにすると調整しやすくなります。

烏龍茶のカフェインを控えめに淹れるコツはありますか?

茶葉を少なめにし、湯温を80℃前後に下げ、抽出時間を短めにするとカフェインを抑えやすくなります。一煎目にカフェインが出やすいため、午後以降は二煎目や三煎目を飲むのも実用的です。焙煎は主に香りや味わいを変える工程なので、強く焙煎された烏龍茶でも低カフェインとは限りません。