「緑茶は体にいい」と聞く一方で、夜に飲んでも大丈夫か、妊娠中はどのくらいまでか、子どもに出していいかが気になる方は少なくありません。緑茶、グリーンティー。呼び名は違っても、気にしているのは「カフェイン」(中枢神経を刺激して眠気を遠ざける成分)です。
先に数字を言うと、煎茶は100mLあたり20mg、玉露は160mg、玄米茶は10mg、ほうじ茶は20mg、抹茶は粉末2gで約64mgが目安です。同じ緑茶でもかなり差があり、煎茶と玉露では8倍。ここが最初に押さえたい所です。
しかも判断材料は茶種だけではありません。茶葉の量、湯の温度、抽出時間で一杯の中身は変わります。数値を知っておくと、朝に煎茶、午後に玄米茶、夜はほうじ茶といった選び分けがしやすくなるんです。日常で効く知識。
緑茶のカフェイン量
緑茶のカフェインは茶種で大きく異なり、100mLあたり10mgから160mgまで開きます。
| 茶種 | カフェイン量(100mLあたり) | 一杯換算 |
|---|---|---|
| 煎茶 | 20mg | 約30mg(150mL) |
| 玉露 | 160mg | 約96mg(60mL) |
| 玄米茶 | 10mg | 約15mg(150mL) |
| ほうじ茶 | 20mg | 約30mg(150mL) |
| 抹茶(粉末) | — | 約64mg(粉末2g) |
出典: 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)
文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)を基準にすると、煎茶の浸出液は100mLあたり20mg、玉露は160mg、玄米茶は10mg、ほうじ茶は20mgです。ほうじ茶も玄米茶も緑茶の一種ですが、数値は同じではありません。見た目や香りより、まずは数字。
抹茶は少し考え方が違います。煎茶や玉露のように茶葉を取り除いた浸出液ではなく、粉末そのものを飲むため、粉末2gで約64mgが目安になります。薄茶1杯でもしっかり入る量。少量でも印象が強い理由です。
もう一つ押さえておきたいのが「同じ緑茶でもペットボトルと急須では数値の考え方が違う」という点です。公表されている緑茶のカフェイン量は、基本的に急須や茶器で一定条件で抽出した浸出液を前提にしています。一方、ペットボトル緑茶は製造時に茶葉量や抽出条件、ブレンドが調整されているため、ラベル表示を優先するのが確実です。コンビニで買える500mLの緑茶であれば、多くの場合ラベルに「1本あたり ○mg」と明記されているので、そちらを目安にすると分かりやすいでしょう。
また、緑茶の種類によってはティーバッグと急須で同じ品名でも味わいや成分が微妙に異なります。ティーバッグは粉砕された茶葉を使うため抽出が速く、1煎目で多くの成分が出やすい傾向にあります。手元にある緑茶がティーバッグなら、浸す時間を短めに(30秒〜1分)にするだけで、カフェインと渋味の両方を穏やかに保てます。小さな調整が、夜の一杯の過ごしやすさを決めます。
湯のみ1杯を150mLで見ると、煎茶とほうじ茶は約30mg、玄米茶は約15mg、玉露は約240mgほどになります。玉露を小ぶりの茶器で少量ずつ味わう文化には、旨味だけでなくカフェイン量の面でも意味があります。濃い一杯です。
ただし、この数値は一定条件で抽出した比較値でもあります。厚生労働省のQ&Aでは、煎茶は茶葉10gを90℃430mLで1分、ほうじ茶と玄米茶は15gを90℃650mLで30秒、コーヒーは粉10gを熱湯150mLで抽出した条件です。条件付きの数字。
この条件が意味するところは、「家庭でこの通りに淹れなくても大丈夫」ということでもあります。実生活では、茶葉3gを250mL前後のマグで80℃・1分程度、というカジュアルな入れ方も多いはずです。この場合、カフェインは標準条件より若干少なめに出る傾向があり、渋味も穏やかになります。急須を使う日とマグで気軽に淹れる日とでは、実効カフェインも味わいも少しずつ違う。そう捉えると数値との距離感がつかみやすくなります。
同じ茶葉でも、朝は80℃で1分、午後は70℃で40秒、夜は水出しで数時間、と使い分けていくと、一日のリズムにうまく嵌まります。カフェインをゼロにする必要はなく、時間帯ごとに少しずつ下げていけばいい。知っておくだけで、緑茶の選び方が大きく広がります。
カフェインの成分記事でも触れている通り、同じ煎茶でも茶葉を多くし、温度を上げ、長く置けばカフェインは増えやすくなります。煎茶と聞いて安心していても、淹れ方しだいで一杯の性格はかなり変わります。
なぜ玉露と煎茶でこんなに違うのか?
玉露は被覆栽培の新芽を多く使い、茶葉量も多くなりやすいため高カフェインになります。
日本茶業学会の研究によると、被覆栽培で茶樹を2〜3週間ほど遮光すると、新芽はアミノ酸(特にテアニン)とカフェインを葉の内側に蓄えやすくなることが知られています。日光が少ない環境だと光合成で糖に変わる前に成分として留まりやすいためで、これが玉露や抹茶原料である碾茶の「濃さ」を作り出す根本です。同じ緑茶というくくりでも、畑での育ち方の段階から化学成分の組み立てが違うわけです。
そのため、同じ茶葉産地で一番茶と二番茶、さらに煎茶と玉露を並べると、カフェインとテアニンの比率がきれいな階段状に変化します。一番茶の玉露がトップで、一番茶の煎茶、二番茶の煎茶、三番茶や番茶と下がっていく。数値を一つ知っているだけでは気づきにくいこの「階段」こそが、飲み分けを決める物差しになります。
玉露と煎茶の差は、単に高級茶だからという話ではありません。栽培方法、摘採時期、抽出条件。この3つが重なって、100mLあたり160mgと20mgという大きな差になります。背景の違いです。
被覆栽培で成分の組み立てが変わります
まず大きいのが「被覆栽培」(収穫前に日光を遮って育てる方法)です。玉露や抹茶の原料は、この方法で育てられることが多いです。日光を遮ると旨味に関わる成分が保たれやすく、カフェインも高くなりやすい傾向があります。被覆栽培の記事を読むと、玉露と抹茶が濃く感じられる理由が見えやすくなります。
若い新芽ほどカフェインは多めです
次は「摘採時期」(いつ摘むか)です。一般に、やわらかい新芽ほどカフェインは多く、育った葉ほど少なめになります。一番茶は香りと旨味が豊かで、二番茶や三番茶は日常向き。一番茶と二番茶の違いを知ると、同じ緑茶でも性格が変わる理由がつかめます。
新芽が持つカフェインは、植物にとって一種の防御物質として働いていると考えられています。若くてやわらかい部位ほど虫や病原菌に狙われやすく、それを守るためにカフェインが多めに配置されている、という説明です。これは農水省の資料や日本茶業学会の論文でも言及されている見方で、「春先の一番茶は香りも味もカフェインも豊か」という現場感覚と整合しています。つまりカフェインは茶葉にとって意味があって存在している成分であり、決して「邪魔物」ではないということ。
温度だけでなく茶葉量も効いてきます
「玉露は低温で淹れるのだから、カフェインも少ないのでは」と感じる方は多いはずです。実際、「抽出温度」(成分が湯へ移る速さに関わる条件)だけを見ると、カフェインは高温のほうが出やすいです。ただ、玉露は低温でじっくり入れる代わりに茶葉量が多くなりやすく、もともとの含有量も高い。そのため、一杯としては高カフェインになりやすい。
煎茶は中温で軽やかに、玉露は少量を濃く。淹れ方の文化まで含めて、カフェイン量の差ができています。味わいの設計図そのものです。
淹れ方のもう一つの軸は「抽出時間」です。同じ茶葉量・温度でも、1分と3分では液体中のカフェインと渋味の出方が大きく変わります。一般的な煎茶なら60〜90秒、玉露は低温で約2分、ほうじ茶や玄米茶は30秒前後が目安。分数の違いは、そのまま一杯のキャラクターを決めます。時計を見る習慣を一度つければ、家で淹れる一杯の再現性はぐっと高まります。
一杯のカフェイン量を自分で見積もる
表の数値を知ると、手元の一杯がどれくらいのカフェインになるかをある程度自分で計算できます。煎茶・ほうじ茶・玄米茶であれば、100mLあたりの濃度(20、20、10mg)に実際のカップ容量をかけるだけ。150mLなら約30mg、200mLなら約40mg、マグカップで250mLを入れれば約50mgです。玄米茶だけは半分に落ちます。
玉露の場合は少し感覚が変わります。100mLあたり160mgが目安なので、60mLの小さな茶杯でも約96mg。1煎目に強く出やすいため、同じ茶葉で2煎目、3煎目と進めるほど、同じ体積でも実効濃度は目に見えて下がっていきます。朝は1煎目、午後は3煎目、といった楽しみ方は、味の違いを味わう以外にカフェインの調整にもなります。
抹茶の場合は、茶葉を濾さずに粉末そのものを飲むため、使った粉の量が直接カフェインになります。薄茶2gで約64mg、濃茶4gで約128mg。ラテにするときは加える牛乳の量でボリュームが増えても、カフェインは粉の量次第。ラテを大きなグラスで出したから薄い、とは言い切れないので注意したいポイントです。
こうした「自分で見積もるクセ」を一度身につけると、外で買うボトル飲料や缶の緑茶を選ぶときも判断が速くなります。500mL入りの緑茶なら、ラベルに「100mLあたりカフェイン ○mg」と書いていれば、そのまま5倍すれば全量のカフェインが出ます。表示のない製品は、煎茶ベースであれば100〜150mg程度と仮定しておくと大きく外れません。日常の小さな計算が、そのまま体調管理に直結します。
コーヒーや他の飲み物との比較
数値ではコーヒーが最も高めですが、体感はテアニンとの組み合わせで大きく変わります。
100mLあたりで比べると、コーヒーは60mg、紅茶は30mg、煎茶は20mg、ほうじ茶は20mg、玄米茶は10mg、麦茶は0mgです。玉露は160mgで別格に高く、抹茶は粉末2gで約64mg。数字だけ見れば、煎茶はコーヒーの3分の1で、紅茶よりも少なめです。
一方で、実際に飲む量まで入れると見え方は少し変わります。コーヒーを200mL飲めば約120mg、煎茶150mLなら約30mg、玉露を60mL飲んでも約96mgです。小さな杯でも濃い玉露はかなり強い。量の錯覚が起きやすい飲み物。
ここで見落としやすいのが、ほうじ茶と煎茶がどちらも20mg/100mLという点でしょう。香ばしいから低カフェインと決めつけるのは早く、実際には原料や焙煎の違いまで見ないと判断しにくいです。ほうじ茶のカフェイン記事も参考になります。
ただ、体感はカフェイン量だけでは決まりません。お茶には「テアニン」(お茶特有のアミノ酸で、穏やかな気分に関わる成分)があり、カフェインと一緒に入ることで覚醒感が鋭くなりすぎにくいとされています。コーヒーより緑茶のほうが落ち着いて感じる人がいるのは、この組み合わせも一因です。テアニンの記事を合わせて読むと理解が深まります。
つまり、緑茶はカフェインがあるから避ける、ゼロではないから不安と単純に分ける飲み物ではありません。数値と体感、その両方を見ること。飲み分けの基本です。
カフェインを抑えて緑茶を楽しむには
低温・短時間・少ない茶葉を意識すると、緑茶のカフェインはかなり調整しやすいです。
まず有効なのが水出しです。低温ではカフェインの抽出が進みにくく、苦味も穏やかになりやすいです。夜にグリーンティーを飲みたいときや、食事と合わせて軽く楽しみたいときに向いています。作り方は水出し茶の淹れ方が参考になります。
次に意識したいのが、一煎目と二煎目の使い分けです。一煎目にカフェインの多くが出やすいため、二煎目以降は相対的に軽くなります。朝の一杯は一煎目、午後は二煎目へ。そんな使い分けも実用的です。
茶種の選び方も大切です。カフェインを抑えたいなら、玄米茶、番茶、茎茶、ほうじ茶のように比較的軽めのものが合わせやすいです。反対に、玉露や抹茶は少量でもしっかり入るので、集中したい朝や昼向き。場面で選ぶ感覚。
量の目安も見ておくと判断しやすくなります。厚生労働省が紹介する海外機関の情報では、健康な成人は1日400mgまでが目安です。煎茶が100mLあたり20mgなら、150mLで約30mgなので10杯を超えて初めて400mgに近づきます。かなりの量です。
妊娠中や授乳中、あるいは妊娠を予定している方は、同じく海外機関ベースで1日200〜300mgが目安とされています。煎茶150mLなら、下限の200mgで約6〜7杯ほど。ただし、コーヒー、紅茶、チョコレートなども合算で考える必要があります。不安があるときは、かかりつけの医師や専門家にご相談ください。
厚生労働省の同資料では、子ども向けの独自基準こそ示されていませんが、体重1kgあたり2.5mg程度までという海外の参考値が紹介されています。体重20kgのお子さまに当てはめると、1日50mgが一つの目安。煎茶150mLで約30mgなので、1〜2杯を超えない範囲で、寝る前は避ける。このくらいのバランスに落ち着けると安心感が出てきます。
カフェインの感じ方には個人差もあります。少量でも動悸や不眠が出やすい方は、玄米茶や番茶、水出し茶のようにゆるやかなものへ切り替える。反対にコーヒーは合うけれど胃に負担があるという方は、緑茶に移行することで落ち着く場合もあります。数字はあくまで目安。自分の体調で微調整するのが現実的です。
日本の日常と緑茶カフェインの距離感
日本では緑茶はペットボトル飲料、急須、粉末、ティーバッグと入り口がとても多く、同じ「緑茶」でも手にしているものは少しずつ違います。ペットボトルの緑茶は抽出時間や茶種の配合が調整されているため、急須で淹れた一杯と同じ数値で語ると誤解が生まれやすいです。公表されている成分値は急須で淹れた浸出液を想定していることが多いので、ペットボトルの場合はラベル表示を目安にするのが安全です。
また、農林水産省「茶をめぐる情勢」の資料では、日本の茶葉生産の大半が煎茶系で、玉露や抹茶は量としてはごく一部にとどまることが示されています。つまり普段の食卓で口にする緑茶の多くは20mg/100mL前後の「中庸な」カフェイン量。玉露や抹茶を毎日大量に飲むという場面は、日常ではそれほど多くありません。極端な数字に引きずられて緑茶全体を警戒する必要はない、というのが現実的な感覚です。
一方で、集中したい朝に濃いめの一杯を淹れる、午後のブレイクで薄いほうじ茶に切り替えるといった細やかな調整は、日本茶ならではの楽しみ方でもあります。カフェインの多寡は避けるための線ではなく、一日のリズムを作るためのものさし。そう捉え直すと、緑茶の選び方は一気に広がります。
よくある質問(FAQ)
緑茶とコーヒーではどちらがカフェインが多いですか?
100mLあたりで比べるとコーヒー(約60mg)の方が煎茶・ほうじ茶・玄米茶(10〜20mg)より多めです。ただし玉露は例外で、100mLあたり160mg前後と高めになります。実際の一杯で比較する場合は「容量」も含めて考えるのがおすすめです。
夜に緑茶を飲んでも大丈夫ですか?
カフェイン感受性は人により異なります。眠りが浅くなりやすい方は、就寝4〜6時間前からは濃い一煎目を避け、水出し、二煎目、あるいはほうじ茶や玄米茶、茎茶のような比較的軽めの選択肢に切り替えると安心です。体調や翌朝の目覚めで微調整してみてください。
子どもに緑茶を出してもいいですか?
厚生労働省や海外機関の参考値では、体重1kgあたり2.5mg程度までが子どもの一日カフェインの目安とされています。体重20kgなら1日50mg程度。煎茶150mLで約30mgなので、コップ1〜2杯以内に抑え、就寝前は避けるのが現実的です。濃く淹れない、二煎目を使うなどの工夫も有効です。
妊娠中の緑茶はどのくらいまで大丈夫ですか?
海外の主要機関では妊娠中のカフェイン上限を1日200mgと案内している場合が多く、緑茶150mL(約30mg)なら1日3〜4杯が一つの目安になります。ただし、コーヒー、紅茶、チョコレートなどほかのカフェイン源も合算してください。個別の体調については、医師や助産師へのご相談をおすすめします。
なぜ玉露だけカフェインがこんなに多いのですか?
玉露は収穫前に日光を遮る「被覆栽培」で育てられ、新芽の中にカフェインとテアニンが多く蓄えられます。さらに抽出時に茶葉量を多めに使い、少量を濃く淹れる飲み方が一般的です。この三つが重なることで、100mLあたり160mg前後という高めの数値に落ち着いています。
私たちがFETCで緑茶を見るとき、カフェインは避けるための数字ではなく、選ぶための数字だと考えています。朝に煎茶で輪郭を立て、午後は玄米茶でやわらげ、夜はほうじ茶へ寄せる。そんな使い分けができるからです。
量を知ると、緑茶はむしろ自由になります。同じ緑茶でも、玉露と煎茶では性格が違う。知識があれば、その違いを場面に合わせて楽しめます。数値と香りのあいだを行き来しながら、自分に合う一杯を見つける。その積み重ねです。
この記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的助言に代わるものではありません。カフェインと健康について気になることがあれば、医師や専門家にご相談ください。
参考文献
- 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂) — 茶種ごとのカフェイン成分値
- 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取について」 — 成人の摂取目安・抽出条件の定義
- 農林水産省「茶をめぐる情勢」 — 被覆栽培・茶種別生産統計
- 日本茶業学会誌 J-STAGE 掲載論文 — 被覆栽培がカフェインとテアニンに与える影響の研究
- 日本茶業中央会 — 日本茶業界の横断統計、品質基準、普及資料
緑茶そのものの特徴や種類については、緑茶(不発酵茶)とはをご覧ください。抹茶のカフェインは抹茶のカフェイン量でまとめています。
本記事はFar East Tea Companyの編集チームが、文部科学省・厚生労働省・農林水産省・日本茶業学会(J-STAGE)の一次情報を基に執筆・確認しています。
