お茶の成分|カフェイン
カフェインは、コーヒーやお茶に含まれるアルカロイドの一種で、眠気覚ましや消化・吸収を促進する効能などを持っています。
今回は、カフェインの基礎知識や詳しい効能、お茶から摂取できるカフェインの量についてご紹介します。
カフェインって?
カフェインは、お茶やコーヒーに含まれる「アルカロイド」という化合物の一種です。
お茶・コーヒー・紅茶といった飲料に含まれるほか、栄養ドリンクに配合されていたり、頭痛薬や咳薬などの医薬品にも利用されています。
カフェインはお茶の苦味成分
カフェインは、カテキンやテアニンと同じく、お茶の味わいを構成する成分の一つで、お茶の苦味を構成する成分です。
カテキンが渋味を持つ一方、カフェインはさっぱりとした軽い苦味を演出します。
カフェインを発見したのは?
カフェインは1819年、ドイツの医師であるルンゲという人物によって発見されました。
1819年は日本でいうと江戸時代の後期に当たるので、カフェインの存在はかなり早い時期からヨーロッパで知られていたことになります。
カフェインは、当初コーヒーの中から発見されましたが、1827年にはお茶にも含まれていることが明らかに。
その後、カフェインの持つ多くの効能が確認されるようになりました。
カフェインの効能
カフェインには、以下のような効能があります。
- 眠気を覚ます
- 心臓や腎臓に作用し、利尿を促す
- 胃酸分泌を促し、食物の消化や吸収を助ける
- 体脂肪の分解を促進する
また、カフェインは飲んでからすぐに体に吸収されるので、即効性があるのが特徴です。
カフェインは摂りすぎに注意!
摂取することでさまざまなメリットがあるカフェインですが、摂りすぎるとかえって体に悪いことが分かっています。
たとえば、栗原久氏が2015年に発表した研究によれば、以下のようなことが明らかになっています。
- カフェインは100mg以上摂取すると、睡眠障害のリスク因子となる
- カフェイン200mg以上の摂取から1時間以内は、心筋梗塞の発症リスクが高まる
そのため、眠気を覚ましたいからといって過度にカフェインを摂取することはおすすめしません。
ただし、一般的な煎茶一杯(60ml)に含まれるカフェインの量がおよそ16mg程度なので、あくまで普通にお茶を楽しむ分には健康に問題はありません。
お茶とコーヒーはどっちがカフェインが多い?
「カフェインと言えばコーヒー」というイメージが強いですが、同量の茶葉とコーヒー豆を比べると、カフェイン含有量が多いのはお茶です。
例えば煎茶ならコーヒーの1.7倍、玉露であれば2.7倍程度のカフェインを含んでいます。
ただし、カップ一杯分で比べると、一杯あたりの茶葉・豆の使用量の関係から、お茶よりもコーヒーの方がカフェインを摂取できる量が多くなります。
たとえば、コーヒーとお茶の、100mlあたりのカフェイン含有量を比べると以下のようになります。
- レギュラーコーヒー:約60mg/100ml
- 煎茶:20mg/100ml
- 紅茶:30mg/100ml
- 烏龍茶:20mg/100ml
つまり、カフェインを摂りたい場合には、煎茶よりもコーヒーの方が効率よく摂取することができるのです。
お茶からカフェインを摂るためには?
コーヒーと同様にカフェインを含むお茶ですが、その種類や淹れ方によって、摂取できるカフェインの量が変わります。
ここでは、お茶からカフェインを多く摂る方法についてご紹介します。
玉露・抹茶を選ぶ
カフェインは、成熟した芽よりも、まだ若く柔らかい芽に多く含まれています。抹茶や玉露などの高級茶は、若い芽のみを摘んで作られるため、他のお茶と比べてカフェインの含有量が多いのです。
高温で淹れる
カフェインは低温だと溶け出しにくく、高温に溶け出しやすい成分です。80度以上の熱湯を使って淹れることで、より多くのカフェインを摂取することができます。
ただし、玉露はその豊かな旨味や甘味を味わうお茶です。高温で淹れると、苦渋味が強く出てしまい、折角の玉露の風味を台無しにしてしまうので、その点には注意してください。
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お茶の成分|テアニン
「テアニン」はお茶に含まれるアミノ酸類の一種で、ストレス解消や全身の血行を良くする効能を持っています。
ここでは、テアニンの基礎知識や詳しい効能、テアニンを多く摂れる方法までご紹介していきます。
テアニンって?
「テアニン」とは、お茶に特有のアミノ酸の一種です。
お茶にはテアニン以外にも、以下のようなアミノ酸類が含まれています。
- グルタミン酸
- アルギニン
- アスパラギン酸
- セリン
- その他
中でもテアニンは、お茶に最も豊富に含まれるアミノ酸で、お茶に含まれるアミノ酸類全体の50%程度をテアニンが占めています。
テアニンはお茶の甘味・旨味成分
テアニンはお茶の甘味や旨味を構成する成分です。お茶の旨味は、テアニンとその他のアミノ酸との相乗効果で作り上げられています。
コーヒーやココアには含まれず、お茶を飲むことでしかテアニンの演出する爽やかな甘味や旨味を感じることはできません。
テアニンを発見したのは日本人
テアニンは、1950年に酒戸弥二郎という人物によって、玉露から発見された成分です。
テアニンという名前の由来もお茶にあり、チャの古い学名である「thea sinensis」にちなんで「theanine」と名付けられました。
テアニンの効能
お茶特有の成分であるテアニンには、以下のような効能があります。
リラックス効果
テアニンはお茶の旨味・甘味を司るだけではなく、摂取することで「脳から出るα波が上昇する」という効能があります。
α波とは「リラックスしているときに出る脳波」のことで、科学的には「動物の脳が発生する電気的信号(脳波)のうち、8〜13ヘルツ成分」を指します。
(参考:浅野祐太(2010)「アルファ波とリラックス効果に関する研究」平成22年度電気関係学会東北支部連合大会)
このα波が脳から出ると、以下のような効果が得られます。
- 記憶力の向上
- 集中力のアップ
- 全身の筋肉がほぐれ、血行が良くなる
- ストレスが緩和される
このように、多くの効能を享受できることから、海外ではテアニンを抽出したサプリメントなども販売されており、その健康効果からリラックスをしたい時や集中力を高めたい時などに効果的です。
カフェインの興奮を抑制する
お茶には興奮作用を持つカフェインが含まれており、本来であればお茶にはコーヒーのように強い興奮作用があるのですが、実際にそのような興奮は感じられず、とても穏やかな興奮作用で留まります。
これは、カフェインの興奮作用をテアニンが抑制するためです。
そのため、カフェインから得られる興奮作用をマイルドにし、穏やかな興奮を持続させることができます。
お茶からテアニンを摂るためには?
テアニンは、お茶の中でも特にかぶせ茶・玉露・抹茶などの高級茶に多く含まれる傾向があります。これは、被覆栽培によってテアニンからカテキンが生成されるのを抑制して作られるためです。
また二番茶・三番茶よりも、一番茶に多く含まれており、一番茶の中でも若く柔らかい芽により多く含まれます。一番茶の中でもベストなタイミングで摘採されたお茶に、最も多くのテアニンが含まれているのです。
そのため、「テアニンをしっかりと摂りたい」という方は普段よりも少しお高めのお茶を選んでみてください。
また氷水や低温のお湯でお茶を淹れると興奮作用のあるカフェインの溶出が抑えられます。
そのため、高温で淹れた際よりもテアニンのリラックス効果や旨味をはっきりと感じることができるでしょう。
※参考文献:日本茶検定協会監修(2008)『日本茶のすべてがわかる本』農山漁村文化協会
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緑茶(煎茶)に含まれる成分・効能について
烏龍茶に含まれる成分・効能について
紅茶の成分・効能について
お茶の成分|サポニン
サポニンは配糖体の一種で、お茶にごく微量に含まれる成分です。
抗菌や解熱、抗喘息などの効能があります。
ここでは、サポニンの基本情報から味、効能までご紹介していきます。
サポニンって?
サポニンは配糖体の一種で、お茶にごく微量に含まれる成分です。
石鹸を意味する「シャボン」と語源が同じで、抹茶の泡立ちなどに関与しています。
サポニンはすごく苦い?
サポニンは、独特の苦味や渋味、えぐみを持つ成分です。
ただ、前述の通りサポニンはお茶にごく微量にしか含まれていません。
したがって、サポニンによってお茶が著しく苦くなるということはありません。
サポニンは動物界にも存在する?
サポニンは、植物界の中に多く存在する成分です。
例を挙げると、キキョウや甘草、ナツメの実の中にサポニンが含まれています。
ただし、サポニンは植物に限定された成分というわけではなく、ナマコやヒトデなどの動物もサポニンを保持しています。
※参考:『岩波生物学辞典(第5版)』
サポニンの効能
サポニンには、以下のような効能があります。
- 抗喘息
- 抗菌・抗ウィルス
- 消炎・解熱
- 鎮静
- 血圧を下げる
- 抗肥満
※参考:薬学用語解説(公益社団法人日本薬学会)、機能性成分・活用性等調査(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構)、『日本茶のすべてがわかる本』(農文協)
効能として「抗菌・抗ウィルス」を挙げましたが、サポニンは特にインフルエンザウイルスを撃退するのに効果的だと言われています。
そのため、体調の悪い時には薬と併せてお茶でうがいなどをするのも良いでしょう。