日本のお茶の産地|京都府
お茶の産地として有名な京都府ですが、意外にも生産量は静岡・鹿児島・三重・宮崎に次いで第5位の都道府県です。
平成30年の生産量は3,070トンと、国内生産量の3.6%程度。
ですが、玉露や抹茶など、お茶の中でも特に上級茶とされるお茶に関しては、大きいシェアを占めています。
”やぶきた”を中心として”鳳春”、”うじみどり”、”きょうみどり”、”あさひ”、”うじひかり”、”展茗”、”さみどり”などの奨励品種があり、さまざまなお茶が栽培されています。
京都府のお茶づくりの歴史
京都でお茶が作られるきっかけとなったのは、明恵上人という鎌倉時代の僧。鎌倉時代に中国から伝わったお茶を、いまの京都市右京区にある栂尾の高山寺と宇治に蒔いたのが始まりだといわれています。
高山寺には、いまも「日本最古之茶園」の碑が立っています。
室町時代には、足利義満が「宇治七名園」と呼ばれる茶園を自ら作り、お茶の栽培を奨励しました。宇文字園・川下園・祝園・森園・琵琶園・奥の山園・朝日園の七つの茶園が作られましたが、現存しているのは宇治善法の奥の山園のみとなっています。
16世紀後半になると、宇治で現在の「被覆栽培」が開発されました。
これにより、濃緑色のある旨味の強い茶が作られるようになり、宇治は国内でも銘茶の産地として認められるようになりました。
江戸時代には永谷宗円が、「青製煎茶製法」や「宇治製法」とも呼ばれる製法を完成させました。これは茶葉を乾燥させながら揉むという日本独自の製法で、これによって「煎茶」が生まれ、宇治は「日本緑茶発祥の地」といわれるようになりました。この製法は現在においても、日本茶製法の主流の製法です。
江戸時代後期には、被覆栽培で作られた茶葉を宇治製法で仕上げる「玉露」が生み出され、文化人の間で広く飲まれました。
古くから銘茶の産地として認められていた京都は、現在においても茶の名産地としてのイメージが強く、府をあげて茶園の景観維持、お茶産業の振興、お茶文化の発信などが進められています。
栽培している地域
京都でお茶が栽培されているのは、山城地域という、京都府南部のエリアです。この地域には宇治市、宇治田原町、和束などが含まれています。
ここが、京都府における主なお茶の栽培地域です。
京都府のブランド茶といえば「宇治茶」。宇治茶は「静岡茶」「狭山茶」と共に、日本三大茶として高い評価を得ています。
宇治茶
宇治市とその周辺で作られるお茶です。
平均気温、年間雨量、昼夜の寒暖差などから、宇治周辺はお茶づくりにぴったりの地域といわれています。
宇治茶は碾茶(てんちゃ)と玉露が中心ですが、煎茶も作られています。
碾茶とは、抹茶の原料となるお茶をいいます。そのため、宇治は抹茶の産地としても広く知られています。
日本のお茶の産地|三重県
三重県は、意外にも国内第3位の茶生産量を誇る都道府県です。
第1位の静岡県、第2位の鹿児島県に比べると差はあるものの、2020年の生産量は5,080トンと、日本全体の7%ほどが作られるお茶どころです。
三重県内で生産されたお茶は、総じて「伊勢茶」と呼ばれ、三重ブランド認定品のひとつになっています。”やぶきた”を筆頭に”さやまかおり”、”おくみどり”、”さえみどり”などの品種が主に栽培されています。
三重県のお茶の特徴
三重県では、古くから県内の至る所でお茶が作られてきました。
地域によって差異はありますが、毎年日本全国数十件の生産者とお会いする私たちが感じる三重のお茶の特徴をご紹介します。
日本一のかぶせ茶の産地
かぶせ茶とは、摘採の1週間ほど前から被覆栽培を行って作るお茶のことで、三重県はこのかぶせ茶の生産量日本一を誇ります。
被覆栽培を行うことで、茶葉の旨味が濃くなり、渋味が抑えられ、「覆い香」と呼ばれる海苔のような香りが付加されます。この「覆い香」は高級茶の証とされ、手間と時間をかけて丁寧に作られるかぶせ茶は、玉露に次ぐ高級茶としても知られています。
原料茶の生産量日本一
近年、海外でも人気が高まりつつあるお茶フレーバーのドリンクやお菓子。実は、こういったアイスクリームなどのスイーツで利用される加工用原料茶の生産量は、三重県が日本一。
今後も原料茶の需要は高まっていくと考えられていますが、海外から廉価な原料茶が輸入されていたり、年々お茶の市場価格が下がっていることもあり、三重県としても新たなお茶の価値や商品開発に力を入れています。
日の目を浴びない影のお茶
三重県のお茶は、非常に美味しいのにも関わらず、ブランド茶としての名声は決して高くありません。
その理由は、京都や静岡など、他県の茶商に買われ、ブレンド茶として利用されることが多かったため。(三重県で生産がされ、静岡県で最終の仕上げがされたお茶は「静岡茶」として販売されるため。)
また、原料茶としての出荷が多く、「三重のお茶」として消費者の目に触れる機会が少ないのも理由の一つです。
近年では、「伊勢茶」としてのブランドを確立することが喫緊の課題とされています。
三重県のお茶づくりの歴史
三重県でのお茶の歴史は非常に古く、最も古い記録では、西暦900年の初め頃、今の四日市市水沢町一乗寺でお茶が栽培されていたという記録が残っています。
鎌倉時代に茶の栽培を国内に普及した明恵上人が、茶の種を植えたのが伊勢川上であることからも、伊勢茶の歴史が深いことがわかります。
江戸時代の終わりごろには、水沢町にある常願寺の住職・中川教宏が宇治からお茶の種を持ち帰って、お茶の栽培を広めて、産業としての発展に寄与しました。
このように長い歴史と全国3位の生産量を誇る三重県ですが、残念ながらそのことはあまり知られておらず、「伊勢茶」としてのブランドもまだ確立されていないという課題を抱えています。
三重県のお茶の産地とブランド茶
南北に長く伸びる三重県は、ほとんどの地域で温暖な気候を持つ都道府県です。
年間平均気温は14〜15度。雨が多く、水はけの良い土質は、お茶の栽培に適した地域だと言えます。
三重県内で生産されるお茶は全て「伊勢茶」というブランド茶に内包されますが、その中に、大きく分けて北勢地域と中南勢地域という生産地があります。
北勢地域
鈴鹿市、四日市市、亀山市を中心とした北勢地域では、三重県全体のおよそ7割のお茶が作られており、煎茶・かぶせ茶・碾茶(抹茶の原料茶)の生産が盛んです。
鈴鹿山脈の麓、豊かな水源と緩やかで水はけの良い傾斜地に恵まれたこの地域はお茶作りに適しており、良質なお茶が作られている地域です。
中南勢地域
松坂市、大台町、度会町を含む中南勢地域では、谷あいの傾斜地や、川沿いの平地を利用して良質な煎茶、深蒸し煎茶が多く生産されています。
日本のお茶の産地|静岡県
日本のお茶の産地といえば、まず思い浮かぶのが静岡県。
宇治茶・狭山茶と並び、日本三大銘茶にも数えられる静岡茶は古くから重宝され、国内有数のお茶どころとして知られています。
静岡県は地勢・水質・気候など、お茶の栽培に適した地域が多く、都道府県別のお茶の生産量は日本トップクラス。日本のお茶の40%弱が作られている茶産地です。
煎茶、特に深蒸し煎茶が多く生産されており。品種としては”やぶきた”が主流ですが、それ以外にも”おくひかり”、”山の息吹”、”香駿”、”つゆひかり”、”やまかい”など、バラエティーに富んだ品種が栽培されています。
今回は、そんな静岡県のお茶づくりの歴史や産地をご紹介します。
静岡茶の特徴
国内最大のお茶どころ静岡県では、色々な種類のお茶が、県内の至るところで作られています。
地域によって差異はありますが、毎年日本全国数十件の生産者とお会いする私たちが感じる静岡のお茶の特徴をご紹介します。
香り高い山のお茶と、平野部で作る深蒸しのお茶
本山・川根・天竜など、古くから続くお茶の産地は山間部に広がっており、山の気候を活かした香り高いお茶が多く作れられています。
山間部の大きな寒暖差や、川に近く霧が出ることで、栄養をたっぷりと蓄えながら、柔らかく育つ山のお茶は、浅蒸しで仕上げられることが多く、ピンと伸びた美しい茶葉は高級茶としての風格も備えています。
それに対して、広大な平野部を誇る牧之原台地は、深蒸し茶発祥の地でもあります。
深蒸し茶は蒸し時間が長い分、茶葉が細かくなり、渋味も抑えられるため、淹れる際に味が出やすい、コクのある味わいが魅力的なお茶です。
淹れる際には色味が出やすく、味も安定することから一般消費者の人気が高まり、現在では主流のお茶です。
県内に多くの茶産地がある静岡県ですが、大きく分けるとこの2つのお茶作りを行う方が多い印象です。
静岡のお茶は”やぶきた”が主流?
日本全国で生産されるお茶の内、7割以上を占める”やぶきた”ですが、静岡県は特にその生産量が多いエリアです。
”やぶきた”は、茶の品質改良の父とも呼ばれる杉山彦三郎が1908年、現静岡市駿河区で発見した品種で、比較的栽培がしやすく、煎茶としての品質も極めて高い緑茶向け品種です。
1945年に静岡県の奨励品種となったことがきっかけに全国的に普及し、現在でも国内生産量のシェアの大部分を占めています。
国内でもいち早く”やぶきた”の栽培に着手した静岡県では今でもそのシェアが非常に強く、栽培面積の9割程を占めています。
近年では、当時植えられた”やぶきた”が改植のタイミングを迎えており、バランスの良い晩生品種である”おくみどり”や、華やかな香りが特徴の”香駿”、旨味と桜葉の香りが人気の”つゆひかり”など、様々な品種が作られ始めています。
静岡県のお茶づくりの歴史
静岡県でお茶の栽培がはじまったのは、鎌倉時代に僧の聖一国師が、留学先の宋からお茶の種を持ち帰ったことがきっかけです。
聖一国師は駿河国の生まれで、故郷に近い駿河足窪(今の静岡市足久保)にお茶の種を植えたそうです。このことから聖一国師は「静岡茶の祖」と呼ばれていて、誕生日の11月1日は静岡市の「お茶の日」に定められています。
江戸時代になると、静岡県のお茶(本山茶)は御用茶として徳川幕府に納められるようになり、将軍御用達となったことで静岡のお茶は銘茶として広く認められるようになりました。
明治時代には、山間部に多かった栽培地を台地にまで広げ、牧之原台地を開墾したことにより生産量が大幅に拡大。明治時代の半ばには、その生産量は日本最大となり、名実ともに日本を代表するお茶の産地となりました。
やがて機械による大量生産が普及し、全国的にお茶の生産量が伸びた今日においても、静岡県は日本トップクラスの生産量を誇っています。
ですが近年では、茶業の不振や山間部の農作業の難しさと後継者不足から、廃業に追い込まれる生産者も多く、生産量は伸び悩んでいます。
鹿児島県と覇権を争う静岡県のお茶
長年、全国一位の座を守り続けてきた静岡県ですが、ここ数年、鹿児島県の生産量が急速に伸びており、その座を脅かしています。
2020年の生産量は、静岡県が25,200トン、鹿児島県が23,900トンと既に肉薄しており、近い将来、順位が逆転するのではないかと言われています。
その理由は大きく2つ。
一つは、鹿児島が広大な平野部と後発地域としての強みを活かし、機械化・効率化によって生産量を急速に伸ばしていること。
そしてもう一つは、静岡県の茶畑の立地と後継者不足です。
山間部の多い静岡県では、農耕機械を導入できず、農作業の効率化が進められない畑が非常に多いことが課題とされています。
危険と負担の大きい農作業は、慢性的な後継者不足の原因ともなっており、茶業全体の不振と相まって、静岡県全体の茶生産が伸び悩む原因となっています。
静岡県のお茶の産地
静岡県では、県内のあらゆる地域でお茶が栽培されています。
特に生産量が多いのは、明治時代に開墾された牧之原台地のある牧之原市・島田市・掛川市などで、大井川・天竜川の上流域の、気候や水質に恵まれた山間部での栽培も盛んです。
栽培している地域ごとに個性あるブランド茶が作られていることも、静岡茶の魅力の一つ。以下のようなブランド茶が全国的にも有名です。
香り高い山のお茶「川根茶」
「川根茶」は、静岡県の中部を流れる大井川の上流域、川根本町で作られるお茶です。
山間部の標高の高い地域で作られたお茶は、水質や日照条件に恵まれ、香り高いお茶に仕上がります。日本茶業界で初めて「天皇杯」を受賞するなど、上質な高級茶として高い評価を受ける茶産地です。
浅蒸し特有のピンと伸びた茶葉。薄く澄んだ黄緑色の水色。さわやかな香りと旨味のある味わいが楽しめます。
歴史と伝統の御用茶「本山茶」
静岡県の中部を流れる安倍川の上流域で作られる「本山茶」。聖一国師がお茶の種を植えたのもこの地域だと言われており、静岡で最古の歴史を持つお茶です。
江戸時代にはその高い品質から、徳川家に献上される御用茶としても選ばれていた、歴史と伝統のある茶産地です。
急峻な山間に広がる畑では朝夕の川霧が天然のカーテンの役割を果たし、旨味をたっぷりと持った柔らかい葉が育ちます。
川根と同様、香り高い浅蒸しのお茶は、「金色透明」と呼ばれる水色を誇り、山間地特有の香りと、口当たり良くさわやかな味わいが楽しめます。
深蒸し茶発祥の地「掛川茶」
静岡県の西部に位置する掛川市は、深蒸し煎茶の発祥地のひとつとして知られています。
温暖な気候により葉が厚く育つ掛川のお茶。その苦渋味を抑えるために、通常よりも長い時間蒸しを行う深蒸し製法が考案されました。現在でも掛川市で作られているお茶の大部分が深蒸し煎茶です。
水色は濃く、甘味・旨味の濃厚なコクのある味わいのお茶です。
牧之原台地が跨がる、深蒸し茶の一大山地。島田市・牧之原市・菊川市
明治維新期に、中條景昭を筆頭に徳川藩士らによって開墾された牧之原台地では、掛川市同様深蒸し茶の生産が盛んです。
牧之原台地は島田市・牧之原市・菊川市に跨がっており、牧之原大地の開墾以降、多くの生産者がお茶作りを続けてきました。
濃い水色とコクのある味わいの深蒸し茶の一大産地です。
“藤枝かおり”の故郷。険しい山間部が広がる藤枝市
ジャスミンやシナモンのような香りが特徴的な品種”藤枝かおり”は、文字通り藤枝市で生まれた品種です。
地域のほとんどを険しい山間部が占める藤枝市では、香りを活かしたお茶作りが行われています。
名峰・富士山の麓で作るお茶。富士市・富士宮市
日本一の山・富士山の西方、富士市・富士宮市でも、お茶作りは盛んです。
決して有名な茶山地ではありませんが、茶業研究センターが近くにあったことから、”やぶきた”の導入が非常に早く、今でも茶園の全てが”やぶきた”という生産者もいます。
近年では「富士茶」としてブランド化しようとする動きもあり、今後は特色のあるお茶作りが行われることでしょう。
お茶の効能|コレステロール
歳をとるごとに気になり出す身体の健康。健康診断の度にコレステロールの数値にビクビクしている、という方も多いのではないでしょうか?
実ははお茶は、血中コレステロール値を下げる効能を持つ飲料。そこで今回は、お茶に含まれるコレステロール値を下げる成分や、効果的な飲み方についてご紹介していきます。
高いコレステロール値のリスク
そもそもコレステロールとは、細胞膜やホルモンの成分であり、人間の身体にとって非常に重要な成分です。
しかしコレステロールには「善玉(HDLコレステロール)」と「悪玉(LDLコレステロール)」があり、このうち悪玉コレステロールは、血管の内側にこびりつき、詰まりやすくさせる性質を持っています。
そのため、悪玉コレステロールが増えすぎると動脈硬化に繋がり、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な疾病のリスクが高まると言われています。
血中コレステロールが高くなる原因
コレステロールが高くなる原因には以下のものが挙げられます。
- 遺伝
- 欧米スタイルの脂肪の多い食事
- 運動不足
また、男性は40〜50歳ごろ、女性は閉経を迎える頃から特に悪玉コレステロールが高くなる傾向があるため、高齢者にとって悪玉コレステロールを減らすことは、健康を維持する上で重要な課題のひとつです。
※参考:なるほど、なっとく 高コレステロール血症 | 病気の知識 | 患者・ご家族の皆さま | シオノギ製薬(塩野義製薬)
お茶がコレステロール値を下げる
体に様々な悪影響を及ぼすコレステロールですが、お茶に含まれるカテキンの内、「エピガロカテキンがガレート」には、コレステロール値を下げる効果があることが研究によって明らかになっています。
エピガロカテキンガレートはカテキンの一種で、悪玉コレステロールの酸化を抑制する働きを担っています。さらにこのエピガロカテキンガレートは、善玉コレステロールには影響せず、悪玉コレステロールのみを低下させるという特性を持っており、血中コレステロールを低下させるのに非常に適した成分なのです。
コレステロール値を下げるお茶の飲み方
コレステロール値を下げることができるお茶の成分、カテキン。
カテキンの含有量は、品種や栽培方法、摘採時期によって大きく変化します。品種によって渋味の多寡が変わりますし、日本で多く作られている中国種よりも、インドなどで作られているアッサム種の方がカテキンの含有量は高くなります。
被覆栽培によってカテキンの生成が抑制される場合もありますし、逆に日照時間の長い二番茶・三番茶は、一番茶と比べて多くのカテキンを含んでいます。
ですのでここでは、一般的にお茶からカテキンを多く摂取する方法を以下3点に分けてお伝えしていきます。
- 高温のお湯で淹れる
- 二番茶・三番茶を購入する
- 出がらしの茶葉を食べる
高温のお湯で淹れる
カテキンは「低い温度では水に溶け出しにくい」という性質を持っています。
そのため、70度以上の高温で淹れることで、カテキンがしっかりと溶け出したお茶になります。渋味はやや強くなりますが、カテキンを多く摂るには、高温で淹れるのがオススメです。
二番茶・三番茶を購入する
お茶の葉は、その収穫される時期から一番茶(新茶)、二番茶、三番茶などに分類されます。
一般的には一番茶が最も香りが良く、品質も高いと言われていますが、日照時間が長い時期に育つ二・三番茶は、光の作用によって生成されるカテキン類を、一番茶よりも多く含んで育ちます。
渋味は一番茶と比べて強くなりますが、肥満予防でお茶を飲む際には二番茶や三番茶を選ぶのがおすすめです。
出がらしの茶葉を食べる
カテキンは水溶性の物質ではありますが、その全てがお湯に溶け出す訳ではありません。茶葉に含まれるカテキンを全て摂取するためには、出がらしを食べるのが一番です。
おすすめはお茶のおひたしにして食べること。簡単で意外にも美味しく食べられるので、是非試してみてください。
日本のお茶の産地|石川県
「加賀棒茶」発祥の地として有名な石川県は、決してお茶作りが盛んな地域ではありません。生産量は極めて小さいながらも、お茶どころとしてある一定の知名度があるのは、「加賀棒茶」のブランド力が非常に強いためでしょう。
石川県のお茶づくりの歴史
石川県のお茶づくりは江戸時代から行われていました。現在の打越町で、大聖寺藩の藩主の命によりお茶づくりがはじめられたといわれています。加賀藩の藩祖である前田利家が、千利休から直々に茶の湯を学んだことや、栽培法や製茶法が宇治から伝えられたことが、石川県のお茶文化に大きく影響を与えました。
現在にまで続く石川県の銘茶である「加賀棒茶」が生まれたのは明治時代半ばのこと。それまでは捨てていた三番茶以降のお茶の茎を焙じたことがきっかけでした。
ところが、石川県の寒冷で日照時間の短い気候はお茶作りには適さず、昭和33年・平成11年には、圃場整備事業(土地改良事業)で多くの茶園が失われました。後に打越製茶農業協同組合がお茶の生産を守るために新しい茶園づくりを行い、現在ではそのわずかな茶園が伝統的に残るのみです。
現在でも石川県には茶道が盛んであり、日本でトップクラスだといわれています。
栽培している地域
冒頭に述べたとおり、石川県のお茶の生産量はわずかです。江戸時代には加賀藩主にお茶を献上するほど由緒ある産地でしたが、現在はほとんど作られていません。
加賀棒茶のほかにも、石川県には「中居茶」「輪島茶」といったお茶がありますが、こちらも生産量が少なくほとんど知られていません。
石川県のブランド茶といえば、やはり加賀棒茶なのです。
加賀棒茶
石川県で作られる「棒茶」です。
棒茶とはお茶の葉ではなく茎を焙じて作られるお茶をいいます。加賀棒茶では特に、新茶の茎だけを浅く焙じて作ります。ほうじ茶の一種であり、独特の芳ばしい香りが特徴だといわれています。
石川県内でお茶の生産量がごく僅かなため、他県で生産されたお茶を石川県で買い上げ、仕上げや焙煎を行っているケースがほとんどです。
加賀棒茶は石川県ふるさと食品認証食品にも登録されている、石川県を代表する名産品です。昭和天皇に献上されたこともあり、まさに銘茶と呼ぶに相応しいお茶です。
日本のお茶の産地|佐賀県
平成30年、佐賀県のお茶の生産量は1,270トン。この年のシェア第7位にあたる都道府県です。「グリ茶」とも呼ばれる玉緑茶の生産量にかぎっていえば、第2位の生産地でもあります。
”やぶきた”を中心に、”さえみどり”、”さえあかり”、”さきみどり”、”あさつゆ”、”おくゆたか”、”おくみどり”などの品種が栽培されています。
佐賀県のお茶づくりの歴史
佐賀県のお茶づくりは、県南西部の嬉野地区で始まりました。
1440年、嬉野に移り住んできた明の陶工が、お茶の栽培・製茶をはじめたことがきっかけだとされています。
1504年には、同じく明の陶工である紅令民が、焼き物文化とともに南京釜を持ち込み、釜炒り茶の製法を伝えました。
煎茶の製法が開発されたのは江戸時代なので、嬉野の釜炒り茶は日本で煎茶が広まる前にすでに誕生していたということになります。
嬉野が一大産地となったのは江戸時代の初期。佐賀藩の吉村新兵衛が嬉野の山林を切り開き、南京釜の製法を改良し、茶業の振興を図ったことで栽培量が大きく拡大しました。
江戸時代の末期には、長崎の女性貿易商である大浦慶によって、嬉野茶が輸出されるようになりました。これは民間人によるお茶貿易の第一号とされていて、横浜港が開港して日本茶が正式に輸出されるようになる100年も前のことです。
栽培している地域
佐賀県には武雄市、伊万里市、塩田町、北波多村など、いくつものお茶の栽培地域がありますが、佐賀県のお茶の産地として名高いのは、なんといっても嬉野市でしょう。
嬉野茶
佐賀県の南西部にある嬉野市を中心に作られるお茶です。
嬉野茶の栽培地域はなだらかな山間地で霧が深く、温暖な気候や日照量など、お茶の栽培に適しています。朝晩の温度差がお茶をまろやかにし、香りとコクを与えます。
嬉野では、玉緑茶が多く作られています。
通常、まっすぐピンとした形に仕上げる、お茶の葉を独特の丸く曲がった形(勾玉状)に仕上げるお茶で、「グリ茶」とも呼ばれています。
製法によって「蒸し製玉緑茶」と「釜炒り製玉緑茶」に別れており、お茶の葉を蒸して作られるのが「蒸し製玉緑茶釜」、炒って作られるのが「炒り製玉緑茶」です。
嬉野茶のほとんどは、「蒸し製玉緑茶」です。
日本のお茶の産地|宮崎県
平成30年宮崎県のお茶の生産量は3,800トン。この年の生産量の5%ほどを占める、日本第4位の生産量を誇る都道府県です。
宮崎県で産されているのは主に煎茶で、生産量の約80%を煎茶が占めています。
また、生産量こそ小さいものの、宮崎県は釜炒り茶で名高いお茶の産地でもあり、釜炒り茶の生産量に限れば、日本最大の生産地です。
”やぶきた”を中心に”さえみどり”、”ゆめかおり”、”さきみどり”、”はるもえぎ”などの品種が栽培されています。
宮崎県のお茶づくりの歴史
宮崎県では昔から、山間地に自生している山茶を飲んでいたといわれています。
お茶にまつわる記録が残っているのは1600年代から。当時、貢ぎ物や物税として使われていました。
宮崎県で本格的にお茶が作られるようになったのは明治時代以降。山茶にも使われていた釜炒り茶の製法と、宇治から伝わった煎茶の製法が宮崎県全域に広まりました。
釜炒り茶の製法は、1600年頃に朝鮮から。煎茶の製法は1751年、都城島津藩の藩医だった池田貞記が宇治から製法を学び、県内に伝えたと言われています。
大正時代の末期から昭和時代の初期にかけて、県が茶業奨励策を採ったことで、お茶づくりの土台ができあがりました。
昭和40年代には戦争の影響から減少した茶園面積や生産量も回復していき、その後平成10年頃までは茶園面積が減少傾向にありましたが、平成11年ごろからは茶園面積・生産量ともに少しずつ増えていき、近年では県全体で「品質日本一の茶産地」を目指し、全国茶品評会でも好成績を収めるなど、高品質なお茶づくりに力を入れている地域です。
栽培している地域
宮崎県は温暖な気候と肥沃な大地、降雨量などから、お茶の栽培に適した都道府県です。
海沿いの地域から標高700メートルの山間地にいたるまで、広いエリアでお茶が作られています。
高千穂茶
宮崎県の北西部にある、高千穂町を中心とする山間地で作られるお茶です。
高千穂茶のほとんどは釜炒り茶です。収穫直後のお茶の葉を、蒸すのではなく釜で炒って作られる釜炒り茶の生産量は日本全体の生産量の1%にも満たないほどですが、釜炒り茶の多くは九州で作られており、さらにその6割ほどが宮崎県で生産されています。
水色は透明感のある金色で、釜香(かまか)という独特の香ばしい香り、すっきりした味わいが楽しめます。
日本のお茶の産地|奈良県
平成29年の奈良県のお茶の生産量は1,730トンと、この年の生産量第7位の都道府県です。
奈良県で作られたお茶は、総称して「大和茶」と呼ばれ、かぶせ茶・煎茶・番茶・碾茶が生産されています。
奈良県のお茶づくりの歴史
奈良県でのお茶づくりの始まりには、弘法大師(空海)が関わっています。
806年、唐からお茶の種を持ち帰った弘法大師は、弟子の堅恵にその種を与え、堅恵はその種を佛隆寺(仏隆寺)に植えたといわれています。またこの時、弘法大師は唐から石製の茶臼も持ち帰ったと伝えられており、その茶臼は現在も仏隆寺で保管されています。
その後、寺院を中心にお茶の文化が広がり、室町時代には、奈良出まれの茶人・村田珠光によって「侘び茶」が生まれました。「侘び」の精神を重んじる茶の湯である「侘び茶」は、後に千利休が完成させる茶の湯や、現代の茶道へとつながっていきます。
自然条件に恵まれただけでなく、寺院が多いことから、仏教との関係でもお茶が広まり、お茶処として発展してきた歴史を持つ、国内でも珍しい茶の産地となっています。
栽培している地域
大和茶は主に、奈良県の東北部にある大和高原エリアで栽培されています。
大和高原は奈良市、天理市、桜井市、宇陀市などに渡って広がる、山間の冷涼地であり、日照時間が短く、朝晩の寒暖差が大きいため、良質なお茶を作るのに非常に適したエリアです。
日照時間が短いためにお茶がゆっくりと育ち、寒暖差により葉に養分がたっぷりと蓄えられたお茶が作られています。
中でも、奈良市月ヶ瀬で作られる「月ヶ瀬茶」は、銘茶として名高いお茶の一つです。
月ヶ瀬茶
月ヶ瀬はお茶の名産地としてだけでなく、良質の土の産地として、また梅の名所としても知られています。
山間にある栽培地域である月ヶ瀬は、日本で一番お茶の収穫が遅い地域ともいわれています。
通常新茶の収穫時期は5月2日前後ですが、冷涼地で栽培される月ヶ瀬茶は生育が遅く、一番茶の収穫が6月に行われることもあります。4月上旬から収穫がはじまる鹿児島県とは、収穫の時期に大きく違いがあります。
また、月ヶ瀬で栽培されるお茶の約八割がかぶせ茶で、濃い旨味を持つお茶が多いのが特徴です。
日本のお茶の産地|福岡県
福岡県は、最高級のお茶・玉露の生産が盛んな茶産地です。2020年の生産量は1,600トンと、国内6位の生産量を誇ります。
“やぶきた”を中心に”かなやみどり”、”おくみどり”、”さえみどり” 、“あさつゆ”などの品種が栽培されています。
生産される茶種は、煎茶・かぶせ茶・玉露・釜炒り茶など様々ですが、特に伝統本玉露の生産量は日本一を誇り、日本屈指の高級茶の産地でもあります。
福岡県のお茶の特徴
伝統本玉露で知られる福岡県では、玉露以外にもさまざまな種類のお茶が作られています。
地域によって差異はありますが、毎年日本全国数十件の生産者とお会いする私たちが感じる福岡のお茶の特徴をご紹介します。
1kg30万円?最高級の玉露の産地
玉露は、最高級のお茶とされており、摘採前に20日間以上の被覆栽培を経て作られます。
かぶせ茶が10日前後の被覆栽培で作られるのに対し、その期間は倍以上。
福岡県八女市の「八女伝統本玉露」は、一般的な黒い寒冷紗ではなく、藁やよしずの覆いをかける「覆下」という伝統的な栽培方法で作られています。
手摘みで作られるため、生産量も極めて少なく、その分値段も他のお茶とは一線を画します。その年の品評会で最高の評価を得たものは1kg30万円の値がつくことも。
名実ともに、日本最高級のお茶です。
旨味のお茶作り
長年玉露を作ってきた経験からか、福岡県の煎茶は、旨味を楽しむお茶が非常に多いのが特徴的です。
日本のお茶の7割を占める”やぶきた”や、玉露に使われることもある”さえみどり”、天然玉露とも呼ばれる”あさつゆ”や、すっきりとした味わいの”おくみどり”など、濃厚な旨味を楽しめるのも、福岡のお茶の特徴です。
福岡県のお茶づくりの歴史
福岡県のお茶づくりは、県の南西部にある八女市で始まりました。
室町時代、周瑞禅師が筑後国上妻郡鹿子尾村(現在の黒木町笠原)に霊巌寺を建て、中国から持ち帰ったお茶の種を蒔いたといわれています。
同時期に、釜炒り茶の栽培や製造などを、鹿子尾村の庄屋である松尾太郎五郎久家に伝えたと言われており、これが福岡のお茶づくりの発祥となりました。
江戸時代の中期には、八女から京都や大阪へ、少量ながらも釜炒り茶が流通するようになりました。
ただし、当時はまだお茶の生産量が少なかったため、ほとんどのお茶は久留米藩内での流通に留まっています。
現在の八女茶最大の特徴である玉露が生まれたのは、明治時代の初期といわれています。
山門郡(現在のみやま市)にある清水寺の住職・田北隆研によって、玉露の栽培法や製茶法を教えるための修練所が作られ、玉露の生産が普及しました。
その反面釜炒り茶は、明治20年(1887年)アメリカが出した粗悪茶輸入禁止条例により、輸出量が激減。その後国内市場に置いても釜炒り茶よりも通常の蒸製緑茶の人気が高まった結果、釜炒り茶の生産は次第に縮小していきました。
その後、大正時代には煎茶の製造技術も発達し、複数存在していた郡産茶を「八女茶」のブランドの元に統合し、現在の八女茶に続きます。
福岡県のお茶の産地
福岡県の茶園の約90%は八女地域にあり、その全てを「八女茶」と呼んでいます。
伝統本玉露の「八女茶」
福岡県の南西部にある八女市と、その隣にある筑後市、広川町などで作られるお茶です。
主に煎茶が作られていますが、山間部では玉露も生産されています。
八女の玉露は、日本でも最大級の生産量を誇り、全国茶品評会でも19年連続で入賞するなど、非常に高い評価を得ています。八女の玉露は、生産量・質ともに、日本トップクラスのお茶です。
清らかな湧水と山間部のうきは市
県の南西部に位置するうきは市は、名水百選に数えられる湧水があり、今も上水道の設備を持たず、豊かな地下水と湧水で人々が暮らす、自然豊かな街です。
豊かな水源に支えられ、山間部に作られたうきはの畑では、香り高く仕上げられたお茶が作られています。
ほうじ茶の成分について
普段からほうじ茶を飲む方はたくさんいらっしゃると思いますが、その中でもほうじ茶に含まれている成分にまで詳しい方は少ないのではないでしょうか?
煎茶や番茶、茎茶を高温で焙じることで作られるほうじ茶は、その加熱の過程で含まれる成分も変化しています。
褐色の水色や独特の香ばしい香り、渋味と苦味の際立ったキレのある味わいは、どのように生まれているのでしょうか。
今回は、そんなほうじ茶に含まれる成分に関してご紹介していきます。
ほうじ茶に含まれる成分
ほうじ茶の一番の特徴は、「焙煎」です。ローストされた香ばしい香りと、すっきりと飲みやすい味わいを作り出すのは、ほうじ茶特有の加工方法である「焙煎」によるものです。当然成分も、加工前の緑茶から変化しています。
カフェイン
ほうじ茶にはカフェインが含まれていない、という話を聞いたことがある方も多いかと思いますが、実はこれは誤りで、ほうじ茶にもカフェインは含まれています。
カフェインは高温で昇華する特性がありますが、その昇華点は178℃と高く、ほうじ茶の加工は200℃前後なので製品によってはカフェインが昇華しきらず、茶葉に残っているものもあるのです。その場合は煎茶や紅茶と同程度のカフェインが含まれています。
お茶の苦味成分であるカフェインは高温で抽出が進むので、高温で淹れることが多いほうじ茶にはカフェインが溶け出しやすいといえます。
カテキン
フラボノイド系のポリフェノールの一種であり、タンニンとも呼ばれるカテキンは、お茶特有の渋み成分です。加熱では含有量が変化しにくい成分なので、煎茶と同程度のカテキンが、ほうじ茶にも含まれています。
褐色物質(メラノイジン)
ほうじ茶特有の褐色の水色は、褐色物質(メラノイジン)によるものです。
生葉の状態や緑茶にはこの褐色物質は含まれていませんが、加工の段階で加熱されるほうじ茶の場合、アミノ酸と糖類を一緒に加熱することでメイラード反応が生じ、褐色物質であるメラノイジンが生まれるのです。
サポニン
茶葉にごく微量含まれる物質であるサポニンは、お茶の苦味を構成する物質の一つであり、界面活性剤としての特性を持ち合わせているため、お茶が泡立つ原因の物質でもあります。
非常に微量なので効能は期待できませんが、ほうじ茶のエグ味・苦味を左右する物質です。
アミノ酸
お茶の旨味成分であるアミノ酸の、およそ50%はテアニンという、お茶に特有のアミノ酸で構成されています。
ほうじ茶の場合、前述のメイラード反応によりアミノ酸がメラノイジンに変化してしまうため、アミノ酸の含有量が緑茶に比べて少ない場合が多いです。
また、ほうじ茶には番茶が使われる場合も多いため、煎茶や玉露と比べると、そもそも生葉の時点でアミノ酸の含有量が少ない場合もあります。
ピラジン(香気成分)
ほうじ茶の一番の特徴である香ばしい香りは、ピラジンという香気成分に依るものです。このピラジンもまたアミノ酸と糖を加熱した際の反応によって生まれる成分で、お茶以外にも様々な食品を加熱することで生まれる物質です。
ほうじ茶のローストしたような香ばしい香りはほぼほぼピラジンによって構成されており、他のお茶には見られない、ほうじ茶特有の成分です。
ビタミン
茶葉にはビタミンA、C、E、B群が豊富に含まれているのですが、ほうじ茶の場合は加熱の段階でビタミンの酸化が進んでしまうため、加工後の茶葉にビタミンはほとんど含まれていません。
クロロフィル(葉緑素)
植物の緑色の色素成分であるクロロフィル(葉緑素)は、当然茶葉にも含まれています。
熱を加えても破壊されにくいのでほうじ茶のにも含まれていますが、クロロフィル自体は脂溶性の成分なので、水には溶け出しにくく、ほうじ茶を飲むだけではほとんど摂取できません。
ほうじ茶には栄養がたっぷり?
以上のように、煎茶に含まれる成分の種類と含有量のバランスは非常にユニークで、それによって飲むことで得られる効能も他のお茶とは変わってきます。
お茶は温度で味が変わる?美味しい淹れ方を解説します。
お茶の効能|認知症
記憶障害や判断力の低下などの症状をもたらす認知症。
お茶は、そんな認知症を予防する成分を持つ飲料のひとつです。
今回は、お茶に含まれる認知症予防の成分や、効果的な飲み方についてご紹介していきます。
認知症のリスクと原因
厚生労働省の調査によると、2020年の日本の65歳以上の高齢者の認知症の発症率は16.7%。高齢化に伴いその数は年々増加し、2025年には20%以上の高齢者が認知症にかかると予想されています。
認知症のリスク
認知症にかかると、以下のような症状が引き起こされます。
- 記憶障害
- 理解・判断力の障害
- 計画を立てて行動できなくなる
- 時間や場所、人との関係がわからなくなる
また、人にうまく自分の気持ちが伝えられないもどかしさから、暴力行為を働いたり、抑うつ傾向になったりするケースも存在します。
認知症の原因
認知症には「アルツハイマー型」「脳血管性認知症」などの種類がありますが、それらの原因としては以下のものが挙げられます。
- 脳内における異常タンパク質の蓄積(アルツハイマー型認知症)
- 高血圧や糖尿病などの生活習慣病(脳血管性認知症)
- 神経細胞の減少(前途側頭葉型認知症)
- レビー小体による脳の神経細胞の破壊(レビー小体型認知症)
特に、日本の中で最も多いのが「アルツハイマー型」の認知症で、全体の7割弱を占めています。
※参考:認知症施策の総合的な推進について(厚生労働省老健局)、認知症の現状と将来推計(三菱UFJ信託銀行)
お茶は認知症を予防する
お茶に認知症を予防する効果があることは、以下のような研究から実証がされています。
- 緑茶を1日2杯以上飲んだ人は、1週間に3杯以下しか飲まない人に比べて、認知障害の割合が半分以下になる
- マウスによる実験で、お茶に含まれる成分が脳組織の萎縮や記憶力の低下を抑制した
認知症を予防するのは、お茶に含まれる「カテキン」です。
アメリカの研究によると、カテキンは特にアルツハイマー型の認知症に効果があることが明らかになっています。
現在日本で最も多い認知症の種類はアルツハイマー型なので、お茶が認知症予防になる可能性は非常に高いのです。
※参考:『日本茶のすべてがわかる本』農文協
認知症を予防できるお茶の飲み方
認知症を予防するお茶の成分、カテキン。
カテキンの含有量は、品種や栽培方法、摘採時期によって大きく変化します。品種によって渋味の多寡が変わりますし、日本で多く作られている中国種よりも、インドなどで作られているアッサム種の方がカテキンの含有量は高くなります。
被覆栽培によってカテキンの生成が抑制される場合もありますし、逆に日照時間の長い二番茶・三番茶は、一番茶と比べて多くのカテキンを含んでいます。
ですのでここでは、一般的にお茶からカテキンを多く摂取する方法を以下3点に分けてお伝えしていきます。
- 高温のお湯で淹れる
- 二番茶・三番茶を購入する
- 出がらしの茶葉を食べる
高温のお湯で淹れる
カテキンは「低い温度では水に溶け出しにくい」という性質を持っています。
そのため、70度以上の高温で淹れることで、カテキンがしっかりと溶け出したお茶になります。渋味はやや強くなりますが、カテキンを多く摂るには、高温で淹れるのがオススメです。
二番茶・三番茶を購入する
お茶の葉は、その収穫される時期から一番茶(新茶)、二番茶、三番茶などに分類されます。
一般的には一番茶が最も香りが良く、品質も高いと言われていますが、日照時間が長い時期に育つ二・三番茶は、光の作用によって生成されるカテキン類を、一番茶よりも多く含んで育ちます。
渋味は一番茶と比べて強くなりますが、肥満予防でお茶を飲む際には二番茶や三番茶を選ぶのがおすすめです。
出がらしの茶葉を食べる
カテキンは水溶性の物質ではありますが、その全てがお湯に溶け出す訳ではありません。茶葉に含まれるカテキンを全て摂取するためには、出がらしを食べるのが一番です。
おすすめはお茶のおひたしにして食べること。簡単で意外にも美味しく食べられるので、是非試してみてください。