日本茶の歴史|江戸時代
江戸時代は、玉露の開発や日本茶の輸出の開始など、日本茶史上で非常に重要な時期でした。
ここでは、そんな江戸時代のお茶の歴史を解説していきます。
煎茶・玉露の開発
京都の宇治では古くからお茶栽培が行われていましたが、16世紀後半には「覆い下栽培」という独自の栽培方法を生み出し、旨味の強いお茶を作ることに成功していました。
ただ、この覆い下栽培は誰にでも許されていたというわけではなく、「御茶師三仲間」という限られた役職の家のみが用いることのできた方法でした。
そのような中、煎茶の新たな製法を開発したのが永谷宗円(1681〜1778)という人物。 彼は試行錯誤の末、元文3年(1738)に、「青製煎茶製法」という製法を考案しました。
青製煎茶製法というのは、乾燥炉の中で茶葉を乾燥させながら手で揉む製茶方法のことです。この方法によって、従来よりも味や香りが格段に良いお茶が誕生します。
その後、宗円がこの茶を持って江戸に赴いたところ、日本橋の茶商であった山本嘉兵衛がこれを絶賛。宗円のお茶は山本嘉兵衛を通じて販売されることになり、以後各地に製法とともに伝播していきました。
そして、1835年には6代目山本嘉兵衛が「甘露の味がする」と評されたお茶を作り上げ、現代でも親しまれている「玉露」が誕生したのです。
江戸時代に飲まれていたお茶って?
江戸時代には庶民の間にもお茶を飲む文化が浸透していました。
研究者の西村俊範氏によると、庶民に親しまれたお茶の種類は、茶褐色の番茶から黄緑色の緑茶へと次第に上質化していったそうです。
家庭や身分によっても飲まれていたお茶はやや異なるようですが、大まかに言うとこのような変遷があったことは間違いないでしょう。
お茶の流通の近代化
江戸時代は、問屋・仲買・小売商など、現代にも通ずるような流通形態が発達した時代でもありました。
お茶の製法が全国各地に伝播していったきっかけは、このような流通の発達が関係していたといっても過言ではありません。
また、江戸時代の日本が鎖国政策をとっていたことは周知の事実ですが、唯一長崎の出島だけは貿易が認められていました。 当時のお茶は、日本にとって重要な輸出品として、対外貿易の基盤を担っていたのです。
アメリカやイギリスとの不平等条約を締結した当時、お茶は181トンも輸出されていたと言います。
このような経緯から、明治に入ってからもお茶は外貨獲得のための有用な輸出品目として認識されていました。
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日本茶の歴史|奈良・平安時代
今や日本人の国民的な飲み物となっているお茶ですが、元々は奈良時代後期に中国から伝来したものでした。
ここでは、奈良・平安時代の日本のお茶事情について解説していきます。
お茶の伝来
日本にお茶が伝来したのは約1,200年前のことで、最澄や空海、永忠といった留学僧が「餅茶」という固形茶を中国から持ち帰ったのがはじまりだと言われています。
お茶を飲んだという最も古い記録は『日本後紀』にあり、弘仁6年(815年)に永忠が嵯峨天皇にお茶を献じたという内容が書かれています。
それがきっかけとなり、嵯峨天皇は同年6月に大和や播磨などで茶を栽培させることを決め、毎年献上するように命じました。
これが日本におけるお茶栽培のはじまりです。
平安時代の前から飲まれていたお茶
お茶を飲んだことに関する最も古い記録が弘仁6年、つまり平安時代に見られることは上述した通りですが、お茶はそれ以前から飲まれていたと考えられています。
というのは、古くは奈良時代後期にすでに茶道具などがあったという資料も存在しているからです。つまり、その時代にはもう遣唐使などを通じてお茶が伝来していたと推測できます。
ただし、この時代のお茶は上流階級の飲み物であり、庶民が口にすることはできませんでした。
餅茶(団茶)って?
奈良・平安時代に飲まれていたお茶は、「餅茶(団茶)」と呼ばれるお茶でした。
餅茶は、蒸した茶葉を粉状にし、仕上げの段階で餅のように固めたお茶で、 飲む時には必要な分を切り取って火であぶり、それを粉末にしてから熱湯に入れて飲んでいました。
その後、すり鉢を用いてさらに茶葉を細かくする固形茶、「団茶」も登場していくことになりますが、餅茶や団茶には「匂いが強い」という欠点がありました。
そのため、日本人の好みに合わず、餅茶や団茶は徐々に衰退していったといわれています。
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お茶の成分|香気成分
お茶に含まれる「香気成分」は、香ばしい香りや若葉の香りなど、様々な香りを構成しています。
お茶にはこの香気成分が数百種類以上も含まれており、お茶の複雑で繊細な香りを作り出しているのです。
今回は、お茶に含まれる主な香気成分や、それぞれの香気成分がどのような香りを構成しているのかをご紹介していきます。
お茶の香りは繊細で複雑
「お茶の香り」と一口に言っても、そこには香ばしい香りや若葉の香り、甘い香りや華やかな香りなど、様々な香りが存在します。
それらの香りを構成しているのが、数百種に及ぶ「香気成分」です。
お茶は香気成分を多く含む飲料で、緑茶で200種類ほど、紅茶・烏龍茶には600種類以上の香気成分が含まれています。 お茶の繊細かつ複雑な香りは、様々な香気成分が組み合わさって作られているのです。
紅茶・烏龍茶と緑茶の違い
紅茶・烏龍茶・緑茶は、全て同じチャの葉を原料として作られるお茶です。
しかし、それぞれのお茶は同じ原料から作られたとは思えないほど香りが異なります。その理由は、それぞれの製造方法の違いにあります。
緑茶
緑茶を製造する際には、製造の初期段階で摘みたての茶葉を加熱して「殺青」を行います。これによって、それ以上の酸化発酵が起こらなくなり、茶葉本来の爽やかな香りが保たれるのです。
茶葉の香気成分は、酸化発酵によってより多くの成分が生まれます。酸化発酵をさせずに作られる緑茶は、お茶本来の香りを感じられるお茶なのです。
紅茶・烏龍茶
紅茶や烏龍茶は、緑茶のように初期段階で茶葉を加熱することはせず、まずそれらを萎れさせる「萎凋」という工程を行います。この「萎凋」の最中に酸化発酵が進み、様々な香気成分が生まれます。
緑茶に含まれる香気成分は200種類程度でしたが、紅茶や烏龍茶に含まれる香気成分はなんと約600種類以上。
緑茶にはない花や果物のような華やかな香りが加わり、紅茶や烏龍茶の味わいが作られます。
このように、同じ茶葉でも酸化発酵によって香気成分の種類や量が変化するのです。
主な香気成分
お茶に含まれる香気成分の内、主要なものについて解説します。
リナロール
リナロールは、スズランのような軽く爽やかな香りを持つ香気成分です。
細菌やウィルス感染を防ぎ、免疫力を高める効果があります。
ゲラニオール
ゲラニオールは、バラの花のような香りを持つ香気成分です。
シトラスなどのフレーバーや、ビタミンEやAの製造原料として用いられることもあります。
青葉アルコール
青葉アルコールは、若葉の爽やかな香りを持つ香気成分です。
人造花精油や食品香料などにも用いられています。
シス-ジャスモン
シス-ジャスモンは、ジャスミンやクチナシのような、甘くて重厚感のある香りを持つ香気成分です。
特に紅茶の中に多く含まれるほか、フルーツ系やフローラル系の調合香料によく用いられます。
ジメチルスルフィド
ジメチルスルフィドは、青海苔のような香りを持つ香気成分です。
ノリやワサビなどの食品に含まれており、大量に使用すると悪臭の原因にもなります。
ただし、お茶にはごく微量しか含まれておらず、かつ他の香気成分と混じり合って存在しているため、爽やかな香りを演出する一翼を担っています。
ジメチルスルフィドは被覆栽培によって生まれる成分で、かぶせ茶・玉露・抹茶などの高級茶に良くみられる香りです。その栽培方法から、「覆い香」と呼ばれることもあります。
インドール
インドールは、青苦く重い香りを持つ香気成分です。
ジャスミン油やコールタールなどの中にも含まれています。
単体だとヂメチルスルフィドと同様、悪臭の原因ともなる成分ですが、低濃度であれば花のような香りとして感じられます。
ピラジン
ピラジンは、加熱によって生じる香ばしい香りを持つ香気成分です。
「火香」とも呼ばれ、煎茶やほうじ茶で感じられる香ばしい香りは、このピラジンによるものです。
※参考文献:『日本茶のすべてがわかる本』、『現代用語の基礎知識2019』、『日本大百科全書』、『デジタル化学辞典(第2版)』
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お茶の成分|ビタミン
お茶は、ビタミンCをはじめとして、様々なビタミンを含む飲料です。中でもビタミンCは、体の免疫機能を保つ役割を担っている重要な成分で、お茶の健康効果を高める成分でもあります。
ここではビタミンCの基本情報や詳しい効能、効率よくお茶からビタミンCを摂る方法などについてお伝えしていきます。
お茶に含まれるビタミン
お茶に豊富に含まれているビタミンは、以下の3つです。
- ビタミンC
- ビタミンA
- ビタミンE
13種類あるビタミンは水溶性のものと脂溶性のものに分類されますが、ビタミンCは水溶性のビタミン、ビタミンAとビタミンEは脂溶性のビタミンです。
「水溶性」や「脂溶性」という言葉を使うと難しく感じますが、水溶性は水に溶けやすい性質、脂溶性は水に溶けにくい性質のことです。
そのため、茶葉からお茶を淹れて飲む場合、水溶性であるビタミンCは効率的に摂取できますが、脂溶性であるビタミンAやEはほとんど摂取できません。
ビタミンCの効能
独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構の調査によると、お茶に含まれるビタミンCの効能は以下の通りです。
- 抗壊血病
- かぜ予防
- 白内障予防
- 抗アレルギー作用
- 免疫機能増強
- 抗酸化作用
- ニトロソアミンの生成抑制
このうち、抗アレルギー作用や免疫機能増強などの効能は良いとして、「抗酸化作用」や「ニトロソアミン」といった言葉には聞き覚えのない方もいると思います。
ここではその2つについて簡単に解説します。
抗酸化作用
抗酸化作用とは、体内の余分な物質を無毒化するはたらきのことです。
「すべての病気の予防になる」と言われるほど重要な機能で、組織の老化を防ぐ役割を担っています。
ニトロソアミンの生成抑制
ニトロソアミンとは化学物質の一種で、強い発がん性を持つ成分です。
ビタミンCを摂取するとニトロソアミンの生成が抑えられるため、結果的にがんの予防につながります。
お茶からビタミンCを摂るためには?
ビタミンCを多く摂りたい場合にオススメなのは「煎茶」です。
ビタミンCは日光を浴びることで生成されるので、直射日光を浴びて栽培される煎茶に多く含まれています。
逆に、覆いをして栽培する玉露や抹茶は、煎茶に比べるとビタミンCの含有量はあまり多くありません。
また烏龍茶や紅茶は、発酵(酸化)の過程でほとんどのビタミンCが変化してしてしまうので、ビタミンCはほぼ含まれていません。
お茶から全てのビタミンを摂取するには?
前述の通り、お茶に含まれる脂溶性のビタミンはお湯には溶け出しませんし、水溶性のビタミンも、その全てが溶け出す訳ではありません。
では、お茶に含まれる全てのビタミンを摂取するためにはどうすれば良いのでしょうか?
粉末茶を選ぶ
お茶に含まれるビタミンは、「粉末茶」を選ぶことによって余すことなく摂取することが可能です。粉末茶は茶葉を粉砕して作られているものなので、茶葉に含まれる成分をそのまま体内に取り込むことができるからです。
ただし、粉末茶を購入する際には、同じく顆粒のお茶である「インスタント茶」と間違えないよう注意してください。
出がらしの茶葉を食べる
茶葉に残ったビタミンを全て摂取するためには、出がらしをそのまま食べるのもおすすめです。
おすすめの食べ方は お茶のおひたしにして食べること。簡単で意外にも美味しく食べられるので、是非試してみてください。
ビタミンEは強い抗酸化作用、ビタミンAはお肌を健康に保つ作用のある成分なので、健康効果だけでなく美容効果も得たい方は是非試してみてください。
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お茶の成分|カテキン
「カテキン」は、お茶に特有のポリフェノールの一種で、悪玉コレステロール値の低下や、ストレス減少など、さまざまな効能を持つ成分です。
ここでは、カテキンの基本情報や、効率よくお茶からカテキンを摂るための方法をご紹介します。
カテキンって?
「カテキン」はポリフェノールの1種で、お茶の渋味の元となるお茶特有の成分です。
タンニンと呼ばれることもありますが、厳密にはタンニンは広く「皮をなめす性質を持った物質」のことを指すため、カテキンと全く同じ意味合いではありません。
お茶の中に含まれるカテキンは、主に以下の4種類。
- エピカテキン
- エピカテキンガレート
- エピガロカテキン
- エピガロカテキンガレート
「ポリフェノールは健康に良い」という話を耳にしたことのある方は多いと思いますが、カテキンも医学的に健康効果が実証されている成分のひとつです。
それぞれ微妙に異なる効果を持っていますが、「悪玉コレステロールを抑える」などの基本的な効能は同じです。
カテキンはお茶の渋味成分
カテキンは、お茶の渋味を構成する成分です。
カテキンにはタンパク質と結合し凝集する性質があります。これが舌で起こると、舌のタンパク質と結合して収斂作用が起き、渋味を感じるのだと言われています。
適度な渋味があることで、お茶の味わいに奥行きが生まれたり、キレのあるお茶になったりと、お茶の味わいを作り上げるのになくてはならない成分なのです。
紅茶・烏龍茶の色が赤いのは、カテキンのせい
カテキンは酸化することで、テアフラビン・テアルビジン類の合体カテキンへと変化します。
カテキンは水溶液中では無色な成分ですが、これらの合体カテキンは赤っぽい色をしているため、酸化発酵を経て作られる紅茶や烏龍茶の水色は赤銅色なのです。
カテキンの効能
カテキンの主な効能には、以下のものが挙げられます。
- 抗菌・解毒作用
- 抗酸化作用
- 悪玉コレステロールを抑える作用
- 脂肪の吸収を抑える作用
- 認知症を予防する作用
- 消臭作用
- ストレスの低下作用
抗菌・解毒作用
カテキンは抗菌・解毒作用を持つ成分です。
O-157やインフルエンザ、マイコプラズマ肺炎の原因菌に対しての抗菌作用を持ち、赤痢菌・コレラ菌などの食中毒菌やピロリ菌の増殖抑制作用があることも明らかになっています。
また、植物の毒素に多いアルカロイドと結合しやすいため、解毒作用もあります。
抗酸化作用
カテキンには、「抗酸化作用」という健康効果があります。
「抗酸化作用」は、体の中にある余分な物質(活性酸素)を無毒化してくれるはたらきのこと。「すべての病気の予防になる」と言われるほど重要な機能で、組織の老化を防ぎ、免疫力を保つ役割を担っています。
カテキンの抗酸化力はビタミンCやビタミンEの数十倍ともいわれるほど。お茶にはカテキン以外にもビタミンC・Eなどの抗酸化ビタミン類も含まれているので、非常に強い抗酸化作用を持つ飲みものなのです。
悪玉コレステロールを抑える作用
悪玉コレステロールを抑えることもカテキンの効能のひとつ。
コレステロールには「HDLコレステロール(善玉)」と「LDLコレステロール(悪玉)」の2種類がありますが、カテキンはこの内、LDLコレステロールのはたらきを抑える効果を持っています。
中でも、お茶に豊富に含まれる「エピガロカテキンガレート」はその効果が強いと言われています。
脂肪の吸収を抑える作用
カテキンは、食事とともに摂取することで、脂肪の吸収を抑える効果を持っています。
市販されている特保のお茶にもこのカテキンの効能を利用したものがあるように、様々な生活習慣病の原因となる肥満の対策にもぴったりな飲み物です。
認知症を予防する作用
記憶障害や判断力の低下を引き起こし、社会問題の一つにもなっている認知症。
あるアメリカの研究によると、カテキンは特にアルツハイマー型の認知症の予防に効果があることが明らかになっています。
消臭作用
カテキンには消臭作用があることも明らかになっており、口臭の抑制や出がらしを再利用した消臭剤など、様々な製品・利用法が見出されています。
1991年に宇井美樹氏らが行なった研究では、カテキンを含んだチュイーンガムに口臭抑制効果があることがわかっています。
ストレスの低下作用
お茶を飲むと心が落ち着く、と感じたことはありませんか?
実は、お茶を飲むことがでストレスや緊張を取り除く効果があることは科学的に立証されています。
2012年に大和孝子氏らが発表した研究によると、市販の一般茶やカテキン茶を飲むことで以下のような効果が得られたと言います。
- 緊張や不安を取り除く
- 疲労感を回復させ、気分を改善する
また、市販されている高濃度のカテキン茶を飲むと、さらに抑うつや落ち込みを軽減させる効果があったとのこと。
お茶を摂取することで、精神的なストレスを緩和することができるのです。
お茶からカテキンを摂るためには?
カテキンの含有量は、品種や栽培方法、摘採時期によって大きく変化します。品種によって渋味の多寡が変わりますし、日本で多く作られている中国種よりも、インドなどで作られているアッサム種の方がカテキンの含有量は高くなります。
被覆栽培によってカテキンの生成が抑制される場合もありますし、逆に日照時間の長い二番茶・三番茶は、一番茶と比べて多くのカテキンを含んでいます。
ですのでここでは、一般的にお茶からカテキンを多く摂取する方法を以下3点に分けてお伝えしていきます。
- 高温のお湯で淹れる
- 二番茶・三番茶を購入する
- 出がらしの茶葉を食べる
高温のお湯で淹れる
カテキンは「低い温度では水に溶け出しにくい」という性質を持っています。
そのため、70度以上の高温で淹れることで、カテキンの成分がしっかりと溶け出したお茶になります。渋味はやや強くなりますが、カテキンを多く摂るには、高温で淹れるのがオススメです。
二番茶・三番茶を購入する
お茶の葉は、その収穫される時期から一番茶(新茶)、二番茶、三番茶などに分類されます。
一般的には一番茶が最も香りが良く、品質も高いと言われていますが、日照時間が長い時期に育つ二・三番茶は、光の作用によって生成されるカテキン類を、一番茶よりも多く含んで育ちます。
カテキンを多く摂りたい場合には、二番茶・三番茶を選ぶのがおすすめです。
出がらしの茶葉を食べる
カテキンは水溶性の物質ではありますが、その全てがお湯に溶け出す訳ではありません。茶葉に含まれるカテキンを全て摂取するためには、出がらしを食べるのが一番です。
おすすめはお茶のおひたしにして食べること。簡単で意外にも美味しく食べられるので、是非試してみてください。
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茶種|釜炒り茶
お茶は発酵度合いで「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」「後発酵茶」に分けられます。
私たちが飲む緑茶は「不発酵茶」で、不発酵茶には蒸気で蒸して作る「蒸し製法」と、釜で炒って作る「炒り製法」がありますが、主流は蒸し製法。
炒り製法で作られたお茶「釜炒り茶」は日本では非常に生産量が少なく、その希少さから「幻のお茶」といわれています。
釜炒り茶って?
釜炒り茶は文字通り、釜で炒って作られたお茶のことです。
日本のお茶は95%以上が蒸し製法で作られており、大変な手間と技術が必要な釜炒り茶は全体の1%未満。まさに幻のお茶です。
釜炒り茶の始まりは15世紀頃に中国から九州に伝えられたといわれています。
当時のお茶といえば、蒸して固めたものを粉にして飲んだり、煮て干したものを沸騰させて飲んだりと、飲むまでに手間がかかっていました。
しかし、炒って作ったお茶(現在の釜炒り茶)はお湯を注ぐだけで飲めるという手軽さでまたたく間に世間に広まり、今に至ります。
日本では希少なお茶ですが、中国茶のほとんどはこの釜炒り茶です。
釜炒り茶の特徴
蒸して作られる茶葉は細くなるのに対して、釜炒りした茶葉は丸い形をしていることから「玉緑茶」と呼ばれることも。
釜炒り茶の特徴は「釜香」と呼ばれるその香りで、茶葉を釜に入れ、火で炒った時の香ばしい香りがそのまま茶葉についています。
緑茶独特の、苦渋味が少なくあっさりとした口当りのお茶です。
釜炒り茶の成分
不発酵茶は発酵のプロセスが無いため成分や栄養素の変化が起こりにくく、茶葉がもともと持っている豊富な栄養素をほとんどそのまま含んでいます。
ビタミンCや、テアニンなどのアミノ酸をはじめ、抗酸化効果が期待できるタンニン(カテキン)、免疫強化やガン予防に効果的とされるβカロチンなど多くの栄養成分がぎゅっと詰まっています。
釜炒り茶の製造工程
釜炒り茶は、通常緑茶で行う工程「蒸し」をしない代わりに「炒り」を行います。 生の茶葉を釜に入れて炒ることで失活させるのです。
炒りの作業には豊富な経験と技術を要するため、専門の職人さんが行います。
釜炒り茶の産地
釜炒り茶は主に九州で生産されており、お茶の有名な産地である静岡や京都でもほとんど作られていません。
現在は、佐賀県・熊本県・長崎県・宮崎県の自然豊かな山の中で生産されています。
九州での生産が盛んな理由は、「釜炒り茶が中国から伝えられたのが九州だったから」といわれています。
釜炒り茶の飲み方
飲み方は緑茶や煎茶を飲むときと同じで、80度前後のお湯を使って淹れます。釜炒り茶は水出しで飲んでも美味しいですよ。
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茶種|抹茶・碾茶
飲み物としてはもちろん、お菓子などにも使われ、国内だけでなく海外でも高い人気を誇る抹茶。
茶道で使うお茶から、若者が好む流行りのスイーツまでその用途が幅広い抹茶と、その原料である碾茶(てん茶)についてご紹介します。
抹茶・碾茶って?
抹茶は知っていても碾茶(てん茶)を知らない人は多いのではないでしょうか。
碾茶は抹茶の原料となるお茶のことで、煎茶のように急須に入れて飲むお茶ではありません。
碾茶の多くは玉露と同じように20日間前後の被覆栽培で作られ、青海苔のような独特の香りと、まろやかでコクのある味わいです。
中国茶の甜茶(てんちゃ)と混同されることがよくありますが全く別のお茶です。
抹茶は、碾茶を細かく挽いたもので、茶道で使われているお茶です。
私たちがよく飲んでいるお茶は煎茶で、その煎茶ができたのは1783年。それ以前はお茶といえばこの抹茶でした。
茶道を思い浮かべ「抹茶は苦い」というイメージを持つ人も多いかと思いますが、実は抹茶は渋味苦味が少ない茶葉なんです。
抹茶は最近ではお菓子など、本来の飲み方以外での需要が増えたことで、食品加工用に被覆せずに栽培した碾茶を使って作られた抹茶もあります。
抹茶・碾茶の特徴
抹茶は碾茶をかなり細かく粉砕した微粒子になるため、湿度・温度・光などの影響を受けやすく、丁寧に扱わなければいけません。また飲み方もほかの緑茶とは異なります。
抹茶になる前の碾茶は滅多に市場に出ないため見る機会はなかなかありませんが、形状は青海苔によく似ています。
もともと被覆栽培で作るのが基本でしたが、お菓子などの原料になるものは被覆せずに栽培されることがあります。
また、碾茶がティーバッグやペットボトルのお茶になることはほとんどありません。
抹茶・碾茶の成分の特徴
抹茶の成分自体は玉露と大きな違いはありません。
しかし、お茶の葉から抽出して飲む通常のお茶と違い、細かく粉砕した茶葉をそのまま丸っと飲むため、煎茶などでは茶葉に残ってしまい、摂取できない成分もまとめて摂取できるのが特徴です。
脂溶性ビタミンやカテキンなど、健康や美容に良いとされている成分を沢山摂取できることから、最近は国内外で「スーパーフード」とも呼ばれています。
抹茶・碾茶の製造工程の特徴
碾茶は基本的には被覆栽培で作られます。摘み取る前の20日前後に茶畑に覆いをして太陽光を遮断し、茶葉をじっくり育てます。こうすることにより、苦味渋味が少なく、甘味旨味が強いお茶に仕上がります。
製造方法でも、揉捻(茶葉を揉むこと)のプロセスがなく、ただ乾燥させるだけという特徴があります。
また、お菓子などの原料になる碾茶は通常の煎茶の栽培と同じ方法で作られることもあります。
抹茶・碾茶の産地
抹茶・碾茶は全国各地で作られていますが、ここでは特に有名な産地をご紹介します。
京都府
碾茶の生産量が日本一の京都。
中でも城陽市上津屋の浜茶は平成29年度の全国茶品評会のてん茶の部で全国1位に輝き、その茶畑の景観が、日本遺産に認定されました。
碾茶の栽培方法「被覆栽培」は京都で開発されたといわれています
愛知県
特に愛媛県西尾市は、砂混じりの豊かな土壌と適度な湿度などの環境が碾茶の栽培に適しており、昔から盛んに栽培されてます。
西尾市では新芽を丁寧に手摘みする農家も多く、約150ヘクタールある茶園で高品質の碾茶が栽培されています。
抹茶・碾茶の飲み方
抹茶は、茶筅を使って点(た)てて飲みます。
点てたてが美味しいので温かいうちに飲みきりましょう。
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茶種|玉露
お茶に詳しくなくても「玉露」と聞いて高級なイメージが湧く人は多いのではないのでしょうか。
お茶の中でも「お茶の王様」とも呼ばれる最高級のお茶、玉露についてご紹介します。
玉露って?
玉露とは最高品質の煎茶のことです。
製造方法は通常の煎茶と同じですが、栽培方法が異なります。摘み取り前の20日前後を日光を遮断して栽培することで、旨味をたっぷりと蓄えさせるのが、玉露の特徴の一つです。
日本の茶葉全体の年間生産量が86,300トンに対し、玉露の生産は240トン程度。400分の1程度の生産量しかありません。特に最上級品となれば年に一度しか摘採されないものもあり、大変希少なお茶として扱われています。
玉露の歴史
玉露はそもそも「高級な煎茶」を開発しよう研究された上で誕生したお茶なのです。
1835年に有名な茶商「山本山」の6代目山本嘉兵衛が煎茶に被覆栽培を行ったことから誕生しました。
そこからは諸説ありますが、新芽が「甘露の味がする」と評価されたことから「玉露」と名がついたともいわれています。
玉露の特徴
手間ひまをかけて作られた玉露は味もその価格も抜きん出ています。
一番茶の手摘みなど、最高級のものだと煎茶の20倍ほどの価格がつくことも。
被覆栽培という特殊な栽培方法により生まれた茶葉は、深く濃い美しい緑色の水色、濃厚な甘味・旨味とコクがあるまろやかな味わい、覆い香と呼ばれる独特な香りを持ち、飲んだ人を感動させるほどです。
玉露の成分の特徴
煎茶に含まれるビタミンやカリウム、カフェイン、タンニン(カテキン)はもちろんのこと、玉露にはアミノ酸の一種であるテアニンが豊富に含まれています。
テアニンは旨味のもととなるだけでなく、神経機能や精神に働きかける作用があるため、リラックス効果や睡眠改善効果、さらには認知症予防などの幅広い効果が期待されています。
逆に、太陽光を浴びることで作られるカテキンがほとんど含まれていないので苦味が少ないお茶でもあります。
玉露の製造工程の特徴
玉露の製造工程は煎茶と同じですが、栽培方法が異なります。
玉露は摘み取りの3週間前からの約20日間は太陽光を遮る被覆栽培を行います。
お茶の葉は日光を浴びることで渋味が増すので、それを防ぎ、さらに旨味をたっぷり蓄えさせるのが目的です。
摘採も基本的には手摘みで行うので、玉露の栽培はほかのお茶と比べて手間と時間がかかります。
玉露の産地
玉露は全国各地で作られていますが、特に有名なのが京都府の宇治と福岡県の八女です。
京都府の宇治
玉露と抹茶の原料となる碾茶の生産量が日本一の京都。
中でもお茶の有名な産地である宇治は、お茶を求めて国内だけではなく海外からも多くの人が訪れます。
玉露独自の栽培方法「被覆栽培」はここ宇治で開発されたといわれており、宇治には多くの玉露ブランドがあります。
「宇治の玉露」はまさに高級の代名詞。手間と時間をかけ、手摘みした一番茶を使った玉露は世界が認める最上品質のお茶です。
福岡県の八女
福岡県の玉露の生産量は、京都府に次いで日本二位です。
福岡県が玉露を作り始めたのは明治12年。
八女は霧が発生しやすい土地で、霧が太陽光を適度に遮ることでアミノ酸を豊富に含む茶葉が育ち、昔から「天然の玉露」として重宝されてきました。
そんな八女の玉露は日本トップクラスの品質をもち、全国茶品評会で過去に10年連続農林水産量を受賞したり、玉露の部で1位〜26位までの全てを独占するなど、常に高い評価を得ています。
玉露の飲み方
煎茶を淹れる最適な温度は80度前後ですが、玉露の場合は60度前後。煎茶と同様、低温で抽出することで旨味だけを楽しむことができます。
また高級玉露は、少しだけ口に含み、味や香りをゆっくり楽しむという嗜むような飲み方をします。
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茶種|煎茶・深蒸し煎茶
日本で一番飲まれているお茶「煎茶」は、日本茶の生産量の80%を占めています。
日本人なら誰もが無意識のうちに必ず飲んでいる煎茶・深蒸し煎茶の事をみなさんはどのくらい知っていますか?
煎茶・深蒸し煎茶って?
煎茶は、もともと「煎じたお茶」のことを指していましたが、現在では、生茶を蒸して酸化を止め、葉を何段階にも分けて揉んで乾燥させながら、針状に形を整えて製造したお茶のことを煎茶と呼びます。
一般的な煎茶の蒸し時間は30秒〜40秒ですが、その倍の60秒〜80秒かけて蒸したお茶のことを深蒸し煎茶といいます。
また、煎茶は柔らかい新芽で作るので一番茶・二番茶の茶葉を使うことが多いです。
煎茶が生まれたのは今から約300年以上前の江戸時代。
この頃、庶民の間でもお茶文化が広がり、人々が茶葉を煎じて飲んだのが煎茶の始まりです。しかし、この頃はまだ煎じて飲むお茶のことをまとめて煎茶と呼んでおり、お茶の色も黒く味も悪かったそうです。
その後1738年、のちに日本緑茶の祖と呼ばれる永谷宗円が、これまでのお茶の製造方法に工夫を重ねて、新しい製法「蒸し製法」を生み出しました。
この製法により、これまで茶色だったお茶の水色が鮮やかな緑色になり味も格段に改善しました。その後この方法で作られたお茶が日本中に広まり、今の煎茶に至ります。
煎茶・深蒸し煎茶の特徴
煎茶は日光をたっぷり浴びて育った茶葉を使って作られるため、渋味成分のカテキン・苦味成分のカフェインが増加し渋味と苦味を感じますが、旨味成分のテアニンも豊富に含まれているので、渋味・苦味・旨味をバランスよく味わえるお茶です。
水色は深い緑色で、新芽を使っているため清々しく爽やかな香りがします。
深蒸し煎茶は、深蒸しすることで香りが若干弱くなるものの、通常の煎茶より渋味が抑えられ、甘味とコクが出てまろやかな味わいになります。水色は濃い緑色です。
また、深蒸し茶は茶葉が細く抽出しやすいため、水出しとしてのお茶にも向いていたり、通常は茶葉に残ってしまう栄養成分も抽出されるという特徴があります。
煎茶・深蒸し煎茶の成分の特徴
不発酵茶は発酵のプロセスが無いため成分や栄養素の変化が起こりにくく、茶葉がもともと持っている豊富な栄養素をほとんどそのまま含んでいます。
ビタミンCやアミノ酸をはじめ、抗酸化効果が期待できるタンニン、免疫強化やガン予防に効果的とされるβカロチンなど多くの栄養成分がぎゅっと詰まっています。
煎茶・深蒸し煎茶の製造工程の特徴
煎茶のような不発酵茶を作るには、まず最初に蒸すことで酸化酵素の働きを止め、茶葉の酸化発酵が進まないようにします。このことを「失活」といいます。
その後さまざまな方法で繰り返し揉み、茶葉を柔らかくしながら水分を抜き、乾燥させます。
その後火入れ(焙煎のようなもの)と選別を繰り返し、最後に品質を均一にするためにブレンドを行い、やっと完成です。
煎茶の産地
日本で最も生産量の多いお茶である煎茶は、静岡県・埼玉県・三重県・京都府・福岡県・鹿児島県など、お茶作りを行っている全国の各地で作られています。
煎茶の飲み方
煎茶はティーバッグでもよく売られているので手軽に飲むことができますが、やはり茶葉から淹れて飲むお茶は格別です。
茶葉の目安は2人分で4グラムほど。
使うお湯は熱湯でも問題はありませんが、高温だと苦味渋味も抽出されてしまうので、高級な煎茶なら80度前後の温度が低めのお湯を使い、茶葉の旨味成分だけを抽出して味わうのがベストです。
深蒸し茶の場合は、湯のみの底に溜まった茶葉にも旨味成分や栄養分がたっぷり含まれているので是非最後の一滴まで楽しんでください。
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お茶の農薬
お茶を栽培するにあたり必要なのが「農薬」。
病気や害虫の被害を受けやすい農作物は、安定供給のために農薬を使い栽培されます。
作物によって農薬を使う目的は様々ですが、今回はお茶の栽培時に使用される農薬について解説していきます。
お茶に使う農薬について
お茶の栽培時に使う農薬には、殺虫剤・殺菌剤・除草剤などがあります。
殺菌剤には、病気を予防するために使う保護剤と病気を治療するために使う治療剤があります。
農薬の使用に関しては農薬取締法や食品衛生法、水質汚濁防止法などの法令により、使用時期や使用方法、残留基準などが厳しく制限されています。
お茶の病気
お茶の病気は複数あり、侵される部分は新芽・葉・根・茎とそれぞれ異なります。
品種よってもかかりやすい病気が異なりますが、主なものとして、炭疽病・もち病・赤焼病・輪斑病・新梢枯死症などがあります。特に、炭疽病はお茶の代表的品種である「やぶきた」がかかりやすいため、全国の茶園でみられます。
これらの病気は農薬を使うことである程度防ぐことができます。
お茶の害虫
お茶の害虫は100種近くあり、多数の種類が存在しますが、そのうち防除を必要とするのは十数種類です。
主なものとしては、チャノキイロアザミウマ・カンザワハダニ・チャノミドリヒメヨコバイ・チャノホソガ・クワシロカイガラムシなどがあります。
種類によって、茶樹の樹液を吸うもの、新芽などの葉を食べるもの、幹や枝を枯れさせるものなどお茶栽培に及ぼす害は様々です。
農薬を使うメリット・デメリット
次に農薬を使うメリット、デメリットを解説していきます。
メリット
病害や害虫を防ぐためには、それらに耐性のある品種を栽培することが基本ですが、収量や品質の良さを兼ね備えた品種を育てることはなかなか難しいため、その欠点を補うために農薬を使います。
病気の発生しやすさは地形によって大きく異なり、病気が発生しやすい地域では、農薬を使わないと満足にお茶が育てられないこともしばしばです。
また雑草などが増えてしまうと、茶樹の生育に必要な養分が雑草に取られてしまうため、それを防ぐために除草剤をまき、雑草の増殖を防ぎます。
人手不足の続く農家にとっては労働の軽減にもつながります。
デメリット
殺虫や除草などの効果を発揮するためには強い毒性が必要となります。消費者だけでなく散布する農家も、その健康被害を懸念しています。
また、特定の虫や雑草だけに作用させることで生態系そのものを乱し、環境面への悪影響も否めないのが現状です。
昔に比べ、人体や環境に優しい農薬が増えましたが、いまだに多くの問題が残っています。
お茶の成分|カフェイン
カフェインは、コーヒーやお茶に含まれるアルカロイドの一種で、眠気覚ましや消化・吸収を促進する効能などを持っています。
今回は、カフェインの基礎知識や詳しい効能、お茶から摂取できるカフェインの量についてご紹介します。
カフェインって?
カフェインは、お茶やコーヒーに含まれる「アルカロイド」という化合物の一種です。
お茶・コーヒー・紅茶といった飲料に含まれるほか、栄養ドリンクに配合されていたり、頭痛薬や咳薬などの医薬品にも利用されています。
カフェインはお茶の苦味成分
カフェインは、カテキンやテアニンと同じく、お茶の味わいを構成する成分の一つで、お茶の苦味を構成する成分です。
カテキンが渋味を持つ一方、カフェインはさっぱりとした軽い苦味を演出します。
カフェインを発見したのは?
カフェインは1819年、ドイツの医師であるルンゲという人物によって発見されました。
1819年は日本でいうと江戸時代の後期に当たるので、カフェインの存在はかなり早い時期からヨーロッパで知られていたことになります。
カフェインは、当初コーヒーの中から発見されましたが、1827年にはお茶にも含まれていることが明らかに。
その後、カフェインの持つ多くの効能が確認されるようになりました。
カフェインの効能
カフェインには、以下のような効能があります。
- 眠気を覚ます
- 心臓や腎臓に作用し、利尿を促す
- 胃酸分泌を促し、食物の消化や吸収を助ける
- 体脂肪の分解を促進する
また、カフェインは飲んでからすぐに体に吸収されるので、即効性があるのが特徴です。
カフェインは摂りすぎに注意!
摂取することでさまざまなメリットがあるカフェインですが、摂りすぎるとかえって体に悪いことが分かっています。
たとえば、栗原久氏が2015年に発表した研究によれば、以下のようなことが明らかになっています。
- カフェインは100mg以上摂取すると、睡眠障害のリスク因子となる
- カフェイン200mg以上の摂取から1時間以内は、心筋梗塞の発症リスクが高まる
そのため、眠気を覚ましたいからといって過度にカフェインを摂取することはおすすめしません。
ただし、一般的な煎茶一杯(60ml)に含まれるカフェインの量がおよそ16mg程度なので、あくまで普通にお茶を楽しむ分には健康に問題はありません。
お茶とコーヒーはどっちがカフェインが多い?
「カフェインと言えばコーヒー」というイメージが強いですが、同量の茶葉とコーヒー豆を比べると、カフェイン含有量が多いのはお茶です。
例えば煎茶ならコーヒーの1.7倍、玉露であれば2.7倍程度のカフェインを含んでいます。
ただし、カップ一杯分で比べると、一杯あたりの茶葉・豆の使用量の関係から、お茶よりもコーヒーの方がカフェインを摂取できる量が多くなります。
たとえば、コーヒーとお茶の、100mlあたりのカフェイン含有量を比べると以下のようになります。
- レギュラーコーヒー:約60mg/100ml
- 煎茶:20mg/100ml
- 紅茶:30mg/100ml
- 烏龍茶:20mg/100ml
つまり、カフェインを摂りたい場合には、煎茶よりもコーヒーの方が効率よく摂取することができるのです。
お茶からカフェインを摂るためには?
コーヒーと同様にカフェインを含むお茶ですが、その種類や淹れ方によって、摂取できるカフェインの量が変わります。
ここでは、お茶からカフェインを多く摂る方法についてご紹介します。
玉露・抹茶を選ぶ
カフェインは、成熟した芽よりも、まだ若く柔らかい芽に多く含まれています。抹茶や玉露などの高級茶は、若い芽のみを摘んで作られるため、他のお茶と比べてカフェインの含有量が多いのです。
高温で淹れる
カフェインは低温だと溶け出しにくく、高温に溶け出しやすい成分です。80度以上の熱湯を使って淹れることで、より多くのカフェインを摂取することができます。
ただし、玉露はその豊かな旨味や甘味を味わうお茶です。高温で淹れると、苦渋味が強く出てしまい、折角の玉露の風味を台無しにしてしまうので、その点には注意してください。
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お茶の成分|テアニン
「テアニン」はお茶に含まれるアミノ酸類の一種で、ストレス解消や全身の血行を良くする効能を持っています。
ここでは、テアニンの基礎知識や詳しい効能、テアニンを多く摂れる方法までご紹介していきます。
テアニンって?
「テアニン」とは、お茶に特有のアミノ酸の一種です。
お茶にはテアニン以外にも、以下のようなアミノ酸類が含まれています。
- グルタミン酸
- アルギニン
- アスパラギン酸
- セリン
- その他
中でもテアニンは、お茶に最も豊富に含まれるアミノ酸で、お茶に含まれるアミノ酸類全体の50%程度をテアニンが占めています。
テアニンはお茶の甘味・旨味成分
テアニンはお茶の甘味や旨味を構成する成分です。お茶の旨味は、テアニンとその他のアミノ酸との相乗効果で作り上げられています。
コーヒーやココアには含まれず、お茶を飲むことでしかテアニンの演出する爽やかな甘味や旨味を感じることはできません。
テアニンを発見したのは日本人
テアニンは、1950年に酒戸弥二郎という人物によって、玉露から発見された成分です。
テアニンという名前の由来もお茶にあり、チャの古い学名である「thea sinensis」にちなんで「theanine」と名付けられました。
テアニンの効能
お茶特有の成分であるテアニンには、以下のような効能があります。
リラックス効果
テアニンはお茶の旨味・甘味を司るだけではなく、摂取することで「脳から出るα波が上昇する」という効能があります。
α波とは「リラックスしているときに出る脳波」のことで、科学的には「動物の脳が発生する電気的信号(脳波)のうち、8〜13ヘルツ成分」を指します。
(参考:浅野祐太(2010)「アルファ波とリラックス効果に関する研究」平成22年度電気関係学会東北支部連合大会)
このα波が脳から出ると、以下のような効果が得られます。
- 記憶力の向上
- 集中力のアップ
- 全身の筋肉がほぐれ、血行が良くなる
- ストレスが緩和される
このように、多くの効能を享受できることから、海外ではテアニンを抽出したサプリメントなども販売されており、その健康効果からリラックスをしたい時や集中力を高めたい時などに効果的です。
カフェインの興奮を抑制する
お茶には興奮作用を持つカフェインが含まれており、本来であればお茶にはコーヒーのように強い興奮作用があるのですが、実際にそのような興奮は感じられず、とても穏やかな興奮作用で留まります。
これは、カフェインの興奮作用をテアニンが抑制するためです。
そのため、カフェインから得られる興奮作用をマイルドにし、穏やかな興奮を持続させることができます。
お茶からテアニンを摂るためには?
テアニンは、お茶の中でも特にかぶせ茶・玉露・抹茶などの高級茶に多く含まれる傾向があります。これは、被覆栽培によってテアニンからカテキンが生成されるのを抑制して作られるためです。
また二番茶・三番茶よりも、一番茶に多く含まれており、一番茶の中でも若く柔らかい芽により多く含まれます。一番茶の中でもベストなタイミングで摘採されたお茶に、最も多くのテアニンが含まれているのです。
そのため、「テアニンをしっかりと摂りたい」という方は普段よりも少しお高めのお茶を選んでみてください。
また氷水や低温のお湯でお茶を淹れると興奮作用のあるカフェインの溶出が抑えられます。
そのため、高温で淹れた際よりもテアニンのリラックス効果や旨味をはっきりと感じることができるでしょう。
※参考文献:日本茶検定協会監修(2008)『日本茶のすべてがわかる本』農山漁村文化協会